人とシステム No.109
13/20

11SYSTEM & INTEGRATION<隅取り加工>・微小パス制御で「推奨値を使用する」設定が可能です。中仕上げ加工などそれほど精度を必要としない場合に、推奨値を利用すると、微小パスを制御した効率の良い加工ができます。<面沿いオフセット加工>・パスの折れ部に任意の半径で経路を挿入することが可能です。折れ部で工作機がスムーズに動作し、加工面の品質が向上します。<平坦部走査・周回>・等高線機能のXY・Z 仕上げ代を個別に設定できる機能が、「平坦部走査」「平坦部周回」でも使用可能です。補助面の作成が不要になることで、作業時間を短縮します。段取り工数と加工コストを削減し、さらに加工精度の向上につながる5軸加工を推奨しています。そのメリットを十分に生かせるSpace-E/5Axisの機能強化を行いました。ここでは、5軸荒取り加工と経路5軸変換機能についてご紹介します。経路計算を高速化した5軸荒取り加工経路計算時の内部処理を改良し、5軸荒取り加工の経路計算を高速化しました。テストモデルで比較した結果、2023 R2は従来の経路計算時間より92%削減を実現しました (図5) 。これまでは、通常業務の終了後に経路計算を実施し、翌朝になって作成された経路を確認するという流れでしたが、当日のうちに経路計算の実施、確認ができます。また、加工座標系の設定を行った3軸経路にも経路5軸変換ができるようになり、複数ファイルに分けて対応を行っていた経路作成が、1つの加工工程設計ファイルの中で完結できます。これにより、2023 R2は従来の作業時間より80%削減した結果が得られています(図8)。私たちは「ものづくり分野のお客さまの未来をITで支援する」を掲げ、本バージョンアップにとどまらず、今後もお客さまのお声を取り入れながらSpace-Eを進化させていきます。ぜひ、新しくなったSpace-Eをご利用ください。 図7 異形工具を使用した加工モデル 図5 計算時間の比較(従来と2023 R2)また、任意の加工距離・時間で経路を分割できるようになります (図6) 。これまで工具寿命を考慮して加工を行う必要があったものも、任意の設定で自動的に経路の分割ができ、夜間に加え長時間の加工機の自動運転が安心して行えます。また、加工品質の低下や工具破損も同時に解消し、安心と自動を兼ね揃えた5軸荒取り加工を実現しています。その他、5軸荒取り加工では、チップ工具に対応し切れ刃 図6 左:分割設定 右:工程ツリービューが無い部分での加工を回避する微小経路の抑止や、割出角度変更時に送り速度の個別設定など、3軸加工の機能を追加しています。異形工具に対応した経路5軸変換機能「隅取り」「面沿いオフセット」「複合面沿い」の3つの機能に対し、経路5軸変換時に異形工具が利用できるようになります。異形工具の先端で加工をすると、従来のボール工具よりもたわみを抑えた高精度な加工が可能です (図7) 。剛性の高い工具を利用することで品質を維持しながら送り速度を上げることができ、加工時間を短縮できます。 図8 工程作成の作業時間の比較(従来と2023 R2)Space-E/5Axis  さらなる省力化おわりに

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る