FRESREH16電源不要のスマートデバイスたち 最初に誕生した自動巻きの腕時計は、腕などの振りを半円形のおもりの回転エネルギーに変換してゼンマイを巻く機械式腕時計でした。その後、ゼンマイの代わりにおもりの回転で発電する自動巻き電気腕時計が現れました。さらに、太陽光電池ユニットを用いて蓄電する太陽電池式腕時計や、体温を利用した熱発電の腕時計、熱と光を併用する腕時計も発表されています。 ところで、近年作られているスマートハウスは、インターネットで家電を制御したり、エネルギーを最適化したりすることで安全・安心で快適な暮らしを実現しています。IoTやAIなどの技術を駆使した環境を構築したスマートハウスの例として、環境発電を用いた照明制御用の無電源ワイヤレススイッチがあります。スイッチを押す力学エネルギーを電気に変えて照明器具や制御装置にオン・オフの信号を送るもので、文化財や美術館の照明スイッチにも使われます。 その他、ロンドンのスマートストリートでは、床発電システム(電磁誘導)が採用されています。社会でも人体でも活躍する環境発電長距離道路のインフラ整備やアクセスが制限されている高速道路の監視・維持には、太陽光の他、車走行による振動を用いた環境発電が利用されています。 また道路だけでなく、自動車でも環境発電として未利用エネルギーを活用する回生ブレーキが採用されています。電気自動車やハイブリッド自動車では、加速時には電気モータを利用した電気加速が行われ、減速時には、モータにより運動エネルギーを電気に変換し、車のバッテリーに充電されます。エネルギーは相互に変換が可能なため、放電して加速、減速時に充電というやりとりが可能となります。これが回生ブレーキで、電気自動車だけでなく、電車、エレベーター、電動アシスト自動車などにも採用されています。 その他、人体のエネルギー源での発電も開発されています。運動や腕などの振動だけでなく、汗の乳酸塩を利用したバイオ燃料電池発電や摩擦を利用した静電発電などがあり、それらを組み合わせたものを使って、時計やスマホなどの充電に利用することが期待されています。● ● ● ● ●振動発電無線信号(ON/OFF信号)文化財の照明スイッチ美術館の照明スイッチロンドンのスマートストリートは、三角形のタイルが踏み込まれて起こる運動エネルギーを電力に変える設計で、人々が通るたびに発電し、鳥の声が流れます。夜はLEDランプが点灯します。スイッチ発電事例 床発電システム(電磁誘導)さまざまな分野への応用環境発電➁IoTからIoHへと夢が広がる発電
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