「embedded world 2024」は、このニュルンベルク中央駅からUバーン(U-Bahn)に乗って少し先にあるニュルンベルクメッセで開催されています。この会場は東京ビッグサイトの1.5倍を超える大きさで、その展示場に1000社ほどの出展がありました。とにかく1社あたりのブースが広く、展示品を見て回るのに十分なスペースがありました。この展示会の最小サイズのスペースは、東京ビックサイトで開催される展示会の最小サイズの3倍程に相当していました(図3)。 「embedded world」は、組み込み技術の展示会ですので、多くのハードウエアの展示がありました。またそれ以上にAIの活用やバーチャル化の展示が多く、ハードウエアとソフトウエアはより密接なものになったと改めて実感できます。ここでは、フラウンホーファー研究所で行われているバーチャルECU(以下、vECU)のデモの説明を拝聴する機会を得ました。vECUとは、制御がより複雑化する自動車のECU信号処理の開発をより良くするためにバーチャルなECU上でシミュレーションするSILS(Software In the Loop Simulation)のことで、製品の品質向上や開発コストの低減などを目的としています。日本では、2012年ごろより議論が始まった記録が見受けられます[1]。 私は、vECUを専門にしていませんので詳細な取り組みを把握していませんが、縁あって2018年ごろに日本のvECU関係の会合に参加したことがあります。当時は、まだまだ課題が山積みで、とても実用に足るレベルではなく、各社の草の根的な研究に過ぎない状況であったと記憶しています。それが現在では、展示会でアピールできるほどのコンテンツへと昇華されていることに驚きました。 図4はvECUへ各信号が入力され、処理した結果がビークルダイナミクスモデルで3Dシミュレーションができるというデモンストレーションです。自動車の制御をする上で、応答性は非常に重要な問題です。その厳しい条件を満たせるようになりつつあることに技術の進歩を感じます。 4月10、11日は、今回の一番の目的であるPSIのシンポジウムに参加しました。ミュンヘン中央駅からUバーンで45分ほど揺られるとシンポジウム会場に到着します。PSIは1993年に、効率的な製品データ管理のためのプロセス開発を目的としたドイツの組織体です[2]。年に一度、所属企業が持ち回りでシンポジウムを開催しています。今回のシンポジウムは、ドイツ国内外から700名以上が参加しました。日本の出席者は、JAMBEに積極的に参加している私たちを含むメンバー5名の他に、10名以上がいたと思い13図3 embedded world 2024の様子prostep ivip Symposium 2024
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