人とシステム No.110
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も、自分の机の上をキレイにすることでもいいので、日頃のルーティンに浸るなということです。前進していないのは後退していると同じことだと言えるでしょうし、その意味でもChangeは大きなファクターですね。だからこそ、目標を設定しなくてはいけないのです。よく言っているのは、5年後の目標を作って3年たったら見直して、その時に目標のどのくらいにいるのか、もし半分到達していたら、残りの2年間で達成できるのか、達成できないようであれば見直して、そこから改めて5年をスタートしてもいいということです。5年の間にそういうサイクルをしっかり作って目標設定すると、それに対して自分がどう変わっていくべきなのかを考えることになります。これがChangeの一つですね。 それから、海外の技術と競い合っても勝てる社員の技術者育成と、人にディペンドしない技術への変革を目指しています。技術者には、技術を何かの形に変えてもらい、それを世界にアピールできるような会社になってくれたらいいと思うところです。それをこの「Create the Future」の言葉に込めています。東 では、10年後のありたい姿を掲げられている御社が取り組む社会インフラのライフサイクルについてお伺いしてもよろしいですか。家入 既にSIPの第3期で取り組んでいる内容となりますが、BIM/CIMを活用したデジタル化による情報共有です。社会インフラの計画、設計、施工、点検、維持管理計画、経過観察、補修補強設計といったライフサイクルの情報の連携は重要課題であり、建設業界では、これまで情報がつながっていなかったコンサルタンツ、ファブリケーター、ゼネコン、それから発注者まで入れた業界全体の情報を一元的に管理できる情報データベースを作るというのが、この取り組みです。 基幹となるデータベースには発注者情報を含めたすべての設計情報と製作ディテイルデータ、その後の点検データや補修・補強設計データなどが格納され、誰でも必要な情報が取り出せ、その情報を変更したら、いつ誰が何を変更したかといった変更履歴も併せてアップロードしていきます。そうすることで、データ変更がどのプロセスによって起きた事象であるかを知ることができます。またアップデートされたデータの影響を関係者へ知らせることで、連絡の遅延や欠落を避けることも可能となります。 データベースへのアクセスは共有APIを作成する予定です。このAPIを公開することで、業界各社が保有するシステムとの連携が可能となります。将来的にはAPI認定組織を立ち上げ、各社が作成したAPIの共有化を図ることで、業界全体の効率最適化につながればと願っています。土木業界全従事者の作成するデータが有効に蓄積されるデータベースを構築し蓄積していくことで、企画、設計、施工、維持管理のライフサイクルの全プロセスの全体最適化の仕組みを作ることができます。5日本の総力を上げて海外に打って出る東 冒頭でお話したように、私たちは御社の橋梁設計システムを活用した受託サービスを行っています。今後、私たちに期待することがあればお願いします。家入 私たちが得意とするのは建設業ですが、御社は製造業に強いと思います。そしてオリジナルのCADを製品として持っているので、いろいろな工場とのネットワークができる可能性があります。そういう意味で、本当にうらやましいと思っていました。工場の中には、さまざまな課題があるはずです。例えば、工場のラインのあり方、それから機械故障の検知、あるいは人の配置、部材の保管場所の管理などです。これほどITが面白く活用できる環境が揃っているのはそれほど多くないと思います。それを解決していくステージがあって、御社と協業していくことができるとしたら大きな魅力を感じます。東 ビジネス的な協業ということで話をすると、どうしても小さくなりますが、日本のものづくりをどのように支えていくのか、さまざまな業界をどうしていくのか、ということになれば、たぶんいろいろな話ができると思います。家入 今後、データマネジメントの世界できちんとした標準化ができあがれば、ゼネコンやファブリケーターであっても、海外のコンサルタンツを使おうが、海外の工場を使おうが、どのような形でも、きちんとマネジメントできる体制が整っていくと思います。あとは、マネジメントができる教育をきちんと受けていくと、どこのどんな物件でも対応できます。そういうものを日本の総力を上げて作って、トップマネジメントができさえすれば、海外に打って出ても勝てると思います。東 御社の取り組みは、将来の日本のために必要だと思います。今後、私たちでお役に立つことがありましたら、ご協力させてください。ご活躍を応援しております。 本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

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