人とシステム No.111
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11荒取り・中取り・仕上げ工程の自動化における開発成果を最新版Space-E/5Axis Plusに反映しました。その機能である「自動割り出しによる荒取り・中取り加工」「自動5軸仕上げ加工」「異形工具支援」について説明します(図1)。■自動割り出しによる荒取り・中取り加工荒取り工程では、材料から短時間で形状を加工することが重要です。荒取り工程から割り出し5軸加工を行うと、3軸加工に比べ段取り替えの回数が削減され工程を集約できるため、加工時間の大幅な短縮が期待できます。しかし、割り出し工程の作成を手動で行うと、割り出し方向の検討や補助面の作成に試行錯誤の時間を要します。この解決策として、切削体積の多い方向から順に割り出し工程を自動作成する「自動割り出し機能」をSpace-Eに追加し、CAM作業の時間短縮を実現しました。中取り工程では、荒取り工程で加工された素材加工形状から高品質な仕上げ加工を行うため、可能な限り残り量が少なく均一になるような加工を行うことが重要です。そこで、仕上げ時の小径工具切削の加工負荷を軽減かつ均一にすることで、最小限の工具本数で少ない加工条件という仕上げ工程の構成が可能になります。Space-Eの荒取りの自動割り出し機能と同様に、従来の割り出し加工工程を簡単にすることで、さらなるCAM作業の時間短縮を実現しました。 その上、Space-Eの自動中取り機能では、ストック(削り 図1 加工データ作成フロー(荒取り~仕上げ)と経路イメージ残し)が次工程に引き継がれるため、効率的な加工も実現できます。また、割り出し方向と工具を標準化でき、さらに補助面の作成が不要となります。 ■自動5軸仕上げ加工仕上げ工程では、形状内の箇所ごとに要求された面精度・面品位で加工することが重要です。荒取り・中取り工程と同様に補助面の作成、加工方向の検討が必要な工程ですが、仕上げ工程ではより高品質を実現するため、作業も複雑になり時間を要します。NDESはこの解決策として、Space-Eの「自動5軸仕上げ」の開発を進め、CAM作業のさらなる時間短縮を実現します。この機能は、2025年春にリリース予定の新バージョンからご利用いただけます。容易に経路が作成でき、形状全体だけでなく、形状から面を直接指定できます。指定した面の境界部は自動延長され角部を考慮した経路作成も可能となり、仕上げ工程で要求される箇所ごとの精度に柔軟に対応しています。また、指定した形状内の穴は自動でフタをし、アンダーカット部も自動認識できます。さらに、工具が干渉しない傾きを自動算出できるため、加工方向、軸制御方法の検討作業が不要です。これにより、荒取りから仕上げまでの全ての工程において5軸加工経路を容易に作成することが可能となり、CAM作業および加工時間の短縮を実現できます。■異形工具支援異形工具は、ボール工具よりも大きなRで加工できることから、ピッチを大きく設定しても同一のカスプハイトを保つことができ、加工時間の短縮が可能です。特に凹凸の少ない面の加工や大物の加工で効果が期待できます。しかし、異形工具で5軸経路を作成すると、次のような課題があります。①異形工具の角度設定が難しく、作業者の経験値に頼った作業となりバラつきが発生する。②異形工具の大きなRを利用することが多く、先端まで活用されていない。③複雑な工具形状であるため加工範囲が予測できず、試行錯誤が必要となる。次にこれらの課題を解決できるSpace-Eの機能について説明します。・工具の接触位置を利用した傾き角度の自動設定Space-Eは、加工物との「接触位置」によって、工具の最適な傾き角度を自動設定できます。加工に使用したい工具の場所(接触位置)を指定するだけで、工具の利点を最大限に生かした最適な傾き角度が短人とシステム No.111 January 2025SYSTEM & INTEGRATIONSpace-E/5Axis Plus最新版の機能

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