人とシステム No.111
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12時間で算出され、全自動で設定できます。これにより、5軸加工の経験が浅い作業者でも、短時間で設定できるようになります(図2)。 図2 工具の接触位置を利用した傾き角度の自動設定・先端Rを活用した隅部加工Space-Eでは、隅部加工に特化している3軸経路の「隅取り」 「面沿いオフセット」「複合面沿い」を異形工具の5軸経路へ簡単に変換できます。これにより、異形工具の先端Rを活用した5軸での隅部加工が可能になります(図3)。 図3 先端Rを活用した隅部加工また、ボール工具より剛性のある工具先端を活かし、たわみを抑えた高精度な加工ができます。これにより、隅部加工の時間短縮を実現するだけでなく、異形工具の利用範囲を拡大できます。・工具形状による加工可否の予測および経路による加工済み範囲の抽出CAMで設定した加工機の情報や異形工具の形状をもとに、CADのモデル上に加工可否を点群で表示できます(図4)。加工できる箇所は緑色の点群が表示され、経路が作成できなかったり、工具が干渉したりする場合は加工できない箇所として赤色の点群が表示されます。この点群により加工可否を予測することで、異形工具による加工領域の作成を 図4 異形工具による加工可否の予測、加工済み範囲の抽出支援しています。また、CAMで作成した異形工具の経路から加工済み領域を抽出し、CADのモデル上に表示することも可能です。これにより、加工済みの領域を視覚的に確認しながら、後工程の加工範囲の作成が可能となります。以上のことから、異形工具による試行錯誤を減らし、作業者をサポートする機能がSpace-Eに揃っていることが分かります。自動割り出し(荒取り・中取り)、自動5軸仕上げ加工図5に示す入れ子の加工は、自動割り出しによる荒取りと中取りの事例です。図6に示す切削サンプルの加工は、傾斜スライドの自動同時5軸仕上げの事例です。すべての工程で、補助面作成、加工方向や加工軸制御の検討が不要となります。その結果、手動による割り出しの経路作成に比べて、荒取りおよび中取りでは84%、仕上げでは91%のCAM作業の短縮となりました。また仕上げ加工の品質を割り出しでの仕上げ加工と比べると、一定のピッチで均一な加工目となり、境目のない加工面で高品質な加工を実現しました。異形工具の加工事例図7で示すエンジンカバーの仕上げ加工は、異形工具による事例です。表2に示す5本の異形工具で仕上げ加工を実施しました。側面(立ち壁)部や底面部では、異形工具の大きなR部を活用しながら、隅部では先端の小径Rまでを用いた加工を行うことで、大幅な加工時間の短縮を実現しました。図8に示すように、通常のボール工具による加工時間に比べ、約76%の加工時間を短縮できました。ードになると考え、最新のIT技術に注力しながらSpace-Eの開発を推進していきます。さらに、お客さまと共に課題を解決しながら、Space-Eを通して「CAMの自動化」および高精度・高品質加工の実現に取り組んでいきます。人とシステム No.111 January 2025SYSTEM & INTEGRATION加工事例今後の展望今後もNDESは、「省人化につながる5軸加工」がスタンダ

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