人とシステム No.112
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●8CUSTOMERS REPORT人とシステム No.112 May 2025各種加工機とファインカーボンの特性を知り尽くした経験者の手によって活用されているSpaceーESpace-Eの加工シミュレーションと形状モデル●SpaceーE/5Axisと5軸加工機の活用効果 5軸加工のメリットについて宮下様は「まだ5軸加工を必須とする部品はそれほど多くありませんが、3軸加工では手間がかかる斜めからの切削は、5軸加工であれば簡単にできるので加工の幅が広がりました。また、3軸加工では難しいアンダーカットであっても5軸加工であれば対応できます。その他の5軸加工の大きなメリットとして工程集約があります。3軸加工では何工程もあったものを5軸加工では1工程にすることができます。この工程集約で加工に要する時間が短縮できるので、その空いた時間に他の仕事を入れて5軸加工だけでなく3軸加工の機械を稼働させると生産性向上を図れます。その結果、売り上げを上げることにつながります」と話します。 金属加工が主流となるSpace-Eに対しても宮下様は次のように説明します。「当社がSpace-Eを使用するにあたり、欠けやすい素材のカーボンに特化した加工方法を自分たちで試行錯誤する必要がありました。硬い金属とは異なる加工条件が必要で、切削により欠けたり割れたりしないための経験値が求められます。長年、工作機の切削に携わっていると、機械の動きが頭の中でシミュレーションできるようになり、そのイメージとデータが合致したとき経験値が生かされた達成感があります。今後は、5軸加工機を自分の思うように動作するNCデータが常にSpace-Eから作成できれば一番よいと考えています」 5軸加工の稼働率について平岩様に伺うと「今、製作している製品は表と裏の加工があって、連続加工であれば表が約15時間、裏が約20時間かかります。しかし、削った粉が機械内に残ってしまうため、途中で機械を止めてこまめに清掃する必要があります。それがなければ、もっと連続運転を行う需要はあります」と説明がありました。ファインカーボン事業の強み 宮下様は「当社の場合、CAD/CAM専任のオペレーターはいません。基本的には誰もがSpaceーEでプログラムを作り、自分で機械を動かして製品を作っています。それは5軸加工だけでなく3軸加工でも同じです。さらに現場では、お互いに仕事の状況を覗いたり、立ち話しながら情報交換を行うなど、何となく教えたり、教えてもらったりする環境があります。それがおのずとノウハウの共有になり、現場の強みの一つだと思います」と説明します。 さらに金属とカーボンの違いによる工作機の使用についても宮下様は「金属加工の工作機は削りくずを切削油で洗い流しますが、カーボン加工ではエアーがその役割を担います。カーボンという素材の特性上、油も水分も天敵となります。そのため、切削時はそれらの成分をフィルターで防いだエアーを使います。また、工場内については防塵対策を行っています」と話します。5軸加工による生産性向上CAD/CAM、現場のノウハウを共有

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