人とシステム No.112
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5軸加工において、5軸荒取りによる自動割り出し(多軸3+2)機能や5軸中取りテンプレートの追加など、5軸経路の作成作業の簡略化に取り組んできました。今回リリースしたSpace-E 2024 R1(以下、2024 R1)でも、仕上げ工程の5軸経路を作成する作業の簡略化を実現するため、新ロジックによる同時5軸自動仕上げ機能を開発しました。それに加えCAMでも、加工形状、加工範囲、座標系の設定作業の簡略化を行いました。本稿では、2024 R1の機能の詳細についてご紹介します。・新ロジックによる同時5軸自動仕上げ経路の作成作業の簡略化(Space-E/5Axis Plus)新しい5軸自動仕上げでは、CAMの設定作業の簡略化を実現しています。加工対象となる形状のアンダーカット部が考慮され、自動で軸制御した経路が作成できます。また、指定した面の境界部を自動延長して角部を認識したり、穴部を自動で穴埋めしたり、加工用の補助面の作成作業が容易になります。形状全体を認識した中仕上げ経路や各面を指定した高精度な仕上げ経路の作成も可能で、お客さまが要 図1 CAMの設定作業の簡略化(5軸自動仕上げ)はじめにこれまでSpace-Eは、加工省力化の技術として注目される求する精度に対応します。これにより、熟練者でなくてもCAMの作業時間の大幅な削減が見込めます。図1に示す通り、従来の割り出し5軸での仕上げ加工と比べて経路作成の時間を最大91%削減しました。・5軸中荒取り工程の割り出し方向のバリエーションを追加工作機の稼働範囲や加工形状の条件に合わせて、最大17個の割り出し方向を容易に設定できるようになりました。従来の5軸中荒取りテンプレートでは、割り出し方向が固定でしたが、本機能ではお客さまの用途に合わせて割り出し方向のカスタマイズが可能です。さらに削り残しを抑止するために、形状の平面を割り出し方向に指定できます。また、現工程で発生した削り残りと工具形状をビューアで確認しながら工具軸を検討できるため、割り出し方向の検討ではトライ&エラーの回数を削減できます(図2)。 図2 5軸中荒取り工程の割り出し方向のバリエーション・異形工具形状による加工範囲の点群出力設定した異形工具を基に、加工が可能で工具が干渉しない場合は緑色の点群、加工が不可能、または加工は可能だが工具が干渉する場合は赤色の点群で表示します(図3)。10最新バージョン株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ製造ソリューション事業部 技術開発部 開発課 課長代理若原 朋子 図3 加工範囲の点群出力人とシステム No.112 May 2025SYSTEM & INTEGRATIONSpace-E/5AxisSpace-E 2024 R1リリースのお知らせ

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