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株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.7 お客様事例

設計と解析について

日本板硝子株式会社様は、ガラス技術とエレクトロニクス技術を融合し、さまざまな分野で事業展開されているガラス関連のトップメーカです。国内はもとより積極的に海外戦略を進められ、地球型企業を目指されています。さらに高機能、高付加価値の商品作りを追求され、ニューガラスへの研究開発に取り組まれています。

今回は、GRADE導入の背景、CAD/CAM/CAEを使っての設計などについて、輸送機材テクニカルセンター 先行技術開発グループ 主席技師 松下様にお話しをお伺いしました。

事業内容

当社は、ガラス事業、建材事業、輸送機材事業、ガラス繊維事業、光事業、ファインガラス事業、産業ガラス事業、磁気ディスク事業の8事業部門を持ち、大阪本社、東京本社、技術研究所、及び千葉工場、相模原工場、愛知工場、四日市工場、京都工場、舞鶴工場の6工場、また札幌から福岡まで全国に広がる支店・営業所が9つあります。

当社は社名の通り、さまざまなガラスを取り扱っていますが、事業の大きな柱になるのが、ビル・住宅用の板ガラスで、全体の約1/3の売上げを占めています。通常のフロート板ガラス以外に高機能ガラスとして、熱線反射ガラス、瞬間調光ガラスなどがあります。また複層ガラス、強化ガラス、合わせガラスなどの製品があります。最近のトピックスとしては革新的な真空ガラス「スペーシア」の開発をあげることができます。この「スペーシア」は、断熱、防露、省エネ、防音効果が非常に高いガラスです。これまでの複層ガラスは、2枚の板ガラスの間に数mmの空気層があるため通常のサッシにはめることができませんでした。そのため、既存の住宅に使おうとすると、サッシ部分ごと取り替えになり、高価なものになっていました。ところが「スペーシア」は、2枚の板ガラスの間には0.2mm の真空層を持つ、まったく新しい発想のガラスなので、一般サッシにそのまま使用することができます。

人物写真
輸送機材テクニカルセンター
先行技術開発グループ
主席技師 松下 様
製品

海外事業は北米、ヨーロッパ、アジアで展開しています。特に近年はアジアでの事業を活発に展開中です。マレーシアでは、合弁でマレーシアンシートグラス社を設立し、建築用ガラス、自動車用ガラスなどを生産し、東南アジア有数のガラスメーカに育っています。その他にも、韓国、台湾に合弁会社を設立し、自動車用ガラスの生産を行っています。また現在、中国やベトナムにも工場を建設中です。

相模原工場内に輸送機材テクニカルセンターがあります。こちらでは、自動車、車両、建設機械などの輸送機材分野のガラスの試作、開発およびエンジニアリングを担当しています。新技術、新商品の探索、基礎開発を技術研究所で行い、輸送機材テクニカルセンターではいかに輸送機材にその技術を適応して商品化するか、耐久性や量産する際の課題の解決、生産設備の設計、製作などを行っています。

自動車メーカ様へ納める量産製品を製造しているのは、京都工場と舞鶴工場です。特に舞鶴工場は素板ガラスから自動車用ガラスまでの一貫生産の一大拠点になっています。愛知工場は、アセンブリといわれている、ガラスに周辺部品を組み付ける作業を行っています。

導入の背景

GRADEを導入したのは、昭和63年です。それまでは、米国製のCAD/CAMソフトをVAXにグラフィック端末を接続して使用していました。このCAD/CAMソフトは、CAMの機能には問題がなかったのですが、自動車用ガラスのように3次元形状のデザインに関する機能が弱く、また図面を書こうとしても日本語入力がやりにくい、JISの製図機能に不具合があるなど、日本の状況に合いませんでした。そこで、3次元の曲面、曲線の機能が強く、入出力のインターフェイスが豊富で、カタマイズ可能な柔軟性がある汎用のCAD/CAMシステムということで調査を行いました。最終的に、要望項目をすべてクリアし、総合評価で最も良かったのが、HZSのGRADEでした。GRADEを選択した最大のポイントは、HZSが自社開発しているので、ソースコードがすべてあり、柔軟に対応できることです。また、営業、開発、技術の方とお話しをさせていただいたときに信頼感があり、非常にいい印象を持ったことをいまでも覚えています。

設備構成

現在、輸送機材テクニカルセンターには、GRADE/NCが4台、GRADE/CUBE-NCが4台、ICEM SURFが1台、GRADE/FEM-CUBEが4台、Power Indigo2(解析用)が2台、京都工場にはGRADE/CUBE-NCが2台、舞鶴工場にはGRADE/CUBE-NCが1台、関連会社の日本硝子繊維(株)にもGRADE/CUBE-NCが1台あります。

現在、CAD/CAM/解析には10名ほどが携わっています。自動車用ガラス設計・製作に、CAD/CAM/CAEを利用しはじめて10年以上になりますが、まだまだ熟練した技術を持つには至っておらず、試行錯誤の連続のところもあります。そのため、CAD/CAM/CAEのオペレータを育成することが非常に重要な課題になっています。

CUBE-NC,FEM-CUBEなどを使った設計

自動車メーカ様からは、ガラスの形状データは基本的にIGESデータでいただきます。IGESデータは変換してCUBE-NCに取り込み、仕様をチェックして、マスターゲージを作ります。もし、いだだいた形状に不具合がある場合はICEM SURFなどを使って、形状を修正し、自動車メーカ様に設計変更の提案をします。生産する工程が決まると、CUBE-NCでその工程に合わせた生産型を製作します。

ガラス、型などの形状を3次元測定機で測定し、そのデータを解析などに使うには、適切な滑らかさにスムージングするためにICEM SURFを使っています。

FEM-CUBEと組み合わせて、さまざまな解析ソフトを使用しています。MSC/NASTRANを使用して、ガラスの強度や共振特性の解析を行っています。またガラスの成形の解析には高温でのガラスの粘弾性の解析ができるソフトを使っています。

MOLDFLOWはガラス廻りのプラスチック部品の射出成形の金型のランナー、ゲートバランスを最適化するのに使っています。

これまで、単体で導入してきたシステムが、ここ数年間で横の連携を持ち、有機的につながっています。例えば、自動車メーカ様からいただいたモデルをもとにFEM-CUBEでメッシュを作って解析して、型の形状を最適化し、その結果をICEM SURFで面のスムージングをしてから再度CUBE-NCに読み込みNC加工するということができるようになってきました。

金型メーカはGRADEのユーザが多いので、直接モデルファイルを変換なしに渡せます。複雑なモデルではIGES変換したデータではうまくいかない場合があります。射出成形の金型のモデルファイルは、特に大きく数十MBにもなるため、IGES変換せずに直接GRADEのモデルファイルでやり取りできるので助かっています。

現在、社内にftpサーバを設置して、国内、海外の取引先とのデータ交換に使用しています。特に海外であっても短時間でデータ転送できるので大変便利になりました。

これまでは日本国内のガラスメーカのみとの競合関係であったわけですが、昨今では、自動車用ガラスも海外から多数輸入されるようになってきていますので、北米、ヨーロッパのガラスメーカとも競合しなければいけない状況です。このような大競争時代の中で、品質、技術、価格面で優位にビジネスを進めていくためには、CAD/CAM/CAEの技術を使いこなしていくことがますます重要になってくると思います。

解析を使う効果

自動車メーカ様からいただくガラスデザインに関する検討にさまざまな解析技術を使っています。生産可否やさまざまな提案など、短期間に返答することができるようになってきました。自動車メーカ様の設計部門に適切な情報を、タイムリに伝えるためには解析技術が不可欠になってきています。

操作画面
成形前
操作画面
成形後

従来は、ガラスの試作品を生産するためには、実際の工程において数回の試作の中で型、操業条件をチューニングしてやることが必要でした。現在ではこのようなチューニングをシミュレーションで行えるようになってきています。所定の公差内に収まるように型を設計すると、1回目の試作から良品を生産できるようになるため、型修正の工数が減り、試作のための設備の使用も減らすことができます。この方法により、短期間で試作品を生産できるようになってきました。

また、プレス型の面形状が適切でないとガラスの透視像や反射像が歪んでしまいますが、上記の方法でガラスの品質も向上させることができます。

設計に解析を取り入れるには

解析ソフトを使って正しい解を得るためには、適切な入力値、境界条件を設定する必要があります。我々が扱っているガラスという材料及びその成形プロセスは特殊なものでしたので、ガラスの材料モデル、特殊な境界条件の設定などを開発する必要がありました。またガラスの温度、ガラスの形状、ガラスの粘弾性の物性パラメータなどの、測定方法を含めた開発が必要でした。

非常に複雑な実現象をいかに簡単なモデルに置き換えるかというモデル化技術と、モデル化された解析の物性値をどのように収集するかで、解析結果の精度が決まるわけですが、我々の解析対象が特殊なガラスだったため、物性値に関する資料がなく、いかにして物性値を測定するかが一番苦労したところです。その他には、解析対象が複雑な3次元形状であるため、メッシュデータを作成するのにも苦労しました。

解析技術を実用化、定着化させるためにはどういうことが大切であるかを考えてみると、まずは、実際に現場で使ってみて、本当に品質が向上し、納期が短くなることを実証することにより現場で作業している人に、解析で設計したデータを信頼してもらうことが非常に重要なことではないでしょうか。

また、解析結果を美しい絵にして見せたところで、自己満足に終わってしまうので、実際の物作りにいかに役立てるかいつも考えながら開発を進めています。

将来について

我々のグループの一番の課題は人材の育成です。良いソフト、速いハードはお金ですぐに買うことができますが、人を育てるのは何年ものスパンで考えていかないといけない難しい問題です。地道な努力の積み重ねで、より強力な部隊にしていきたいと考えています。

CUBE-NCは、非常に完成度が高いシステムだと思います。特に3次元曲面に関してはできないことはないぐらい自由度が高く、我々の業務には非常に適しています。また、CUBE-NCのモデルは、FEM-CUBEに読み込むとき、変換なしにそのまま利用できるので非常に便利です。しかしながら、ICEM SURFなどのように全く別のモジュール、マシンのものに関しては、インターフェイスが用意されているとはいえ、オペレーションする人にとってみれば負担となってきます。今の時点ではしょうがないことかとは思いますが、今後の方向としては、よりインテグレートされた使いやすいシステムになることを期待しています。パソコンが1人1台になってきていますので、1台のパソコンでさまざまなCADを含めたシステムを操作できるのが理想です。たとえば、ワープロ、表計算、メールなどPCで行っている業務と平行してCADが使える、バックグラウンドでは解析を実行しているというような環境が実現できる日もそう遠くないような気がします。

HZSについて

GRADEを導入した10年前と比べると、ソリッドモデラーが実用化されてきたり、パソコンがどんどん普及してきたりと世の中の状況が随分違ってきています。

HZSは、CUBE-NCやFEM-CUBEそしてCUBEの開発を続けられていますが、それにも増して代理店販売している商品の数が非常に多くなっています。必然性があって、いろいろな商品を揃えられているということはわかりますが、HZSには、ただの商社になって欲しくないと思います。CUBE-NCのことであれば、いろいろな要望を出したときに、それが解決しにくい場合でも、HZSは納得のいく説明や回避方法を提案してくれました。それが、商品を自社開発している利点であり、信頼できるところだと思います。

HZSには、日本の会社のいいところの「何とかしましょう」という姿勢があります。

GRADEを自社開発されたときのベンチャー精神をいつまでも持ち続け、ソフトウェアメーカであって欲しいと思います。

おわりに

板ガラスは、原材料を千何百度で溶解して、それを熔融金属(スズ)の上に浮かびながら流しながら生産するそうです。熔融金属の表面は、完全に水平なので、軟化したガラスも自然に両面とも完全な平らになります。そのまま冷えて固まると、ゆがみのない光沢のあるガラスが仕上がります。ガラスにもいろいろな種類があり、作り方もさまざまなことが、今回のお話しでわかり大変勉強になりました。

たいへんお忙しいところ、貴重な時間をさいてお話しを聞かせていただき、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

会社プロフィール

本社大阪市中央区
設立大正7年11月22日
資本金約408億円(平成9年3月現在)
従業員約2,500名(平成9年3月現在)
関連会社等、出向含まず
売上げ高2,065憶円(平成8年度)
輸送機材テクニカルセンター神奈川県相模原市
主な営業品目板ガラス、加工ガラス、建材 ガラス繊維強化セメント 防音エンジニアリング ガラス繊維 光ファイバ セルフォックレンズ 光部品、ファインガラス、産業用ガラス ガラス磁気ディスクなど。
会社写真
相模原工場(輸送機材テクニカルセンター)
製品
建物の外観(曲げガラス)
製品
自動車ガラス
製品
ガラス磁気ディスク