解析・リバース・コミュニケーション
~ものづくりに有効な新サービスを追加~
| 株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 営業本部 MSビジネスユニット 営業部 企画課 課長 阿部田 哲史 |
はじめに
2013年10月1日にManufacturing-SpaceRのサービスを開始してから2年半が経過し、現在600社以上のお客さまにサービスをご利用いただくまでになりました。昨年10月にはデータ管理サービスを刷新した「データコンシェルジュサービス」をサービスインし、ものづくり業界のお客さまにとってクラウドサービスを一段とご利用しやすい環境が整いました。今号では、Ver.3.5で新たに追加した、ものづくりに役立つ3つの新サービスについて、その概要をご紹介します。
解析サービス(TMD-FLOW)
解析サービスは、もともとお客さまの関心が高くクラウド化へのご要望も多かったサービスです。従来は、高価な解析システムの導入や外注といった手段しかありませんでしたが、今回クラウドサービス化することで、用途や利用頻度に合わせた月額利用料制にてご利用いただくことが可能になりました。今回はまず、樹脂製品の成形メーカーや金型メーカー向けのプラスチック成形シミュレーションツールとして、樹脂流動解析をサービス提供いたします。
利用者の用途としては、樹脂金型設計時に成形方法(ゲート位置など)の最適化やそり傾向の評価ツールの活用があります。解析結果をデータ管理サービスへ預けていただくことで自社ノウハウの蓄積が可能になるばかりでなく、各部門や取引先との確認や打ち合わせがスムーズになります。
また、上流工程の中で不良予測と対策が可能となり、手戻りやトライ工数を削減することができます。
解析ソルバーは、樹脂流動解析システムとして国内実績の高いTMD-FLOWを採用し、開発元の東レエンジニアリング株式会社様との業務提携により、Manufacturing-Space上でサービスのご提供を実現しました(図1、2)。
リバースエンジニアリングサービス
『オートサーフェス』
近年、ものづくり業界では非接触 3 次元測定機が普及し、実物から 3D データを作成するリバースエンジニアリングおよび品質検査など、さまざまな用途で測定(以下、STL)データを取り扱う機会が増えています。しかし、この STLデータは、一般的なCAD では直接編集することができず、また専用ソフトウェアは高価で新たなオペレーションを習得する必要があります。そこで、専用ソフトウェアを使わずにリバース要件のビジネスチャンスを生かしたい、という多くのお客さまの声にお応えして、クラウド環境による自動面張りサービス『オートサーフェス』をご提供します。
『オートサーフェス』は、クラウド上にある高スペックのサーバーを利用し、STLデータからIGESデータ に自動変換するサービスです。変換したIGES データは CAD に取り込み3Dモデルの編集が可能になります(図3)。
コミュニケーションサービス
『マルチビューアーPlus』
協力会社や部門間といった複数の関係者が打ち合わせをして作業を行う場合、効率良く情報共有ができていなければ、要件を欠落してしまうという問題が少なくありません。
そこで、クラウド環境において要件や作業指示を1つのファイルで管理し、情報を一元管理できる「マルチビューアーPlus」を利用することで、円滑な情報共有および伝達が可能になります。「マルチビューアーPlus」は、データコンシェルジュサービスの特長である「CAD マルチビューアー」に打ち合わせ機能を追加したサービスで、計測機能、打ち合わせなどのやり取りを記録するコミュニケーション機能、3次元コメント書き込みツールなど打ち合わせに適した機能を搭載しています(図4)。



