「ストーンスタジオ3」の開発について
株式会社石本石材様は、常にお客様に100%の満足をご提供することを合言葉に、石材や石材家具の販売をされ、日本最大級の展示場を完備されています。情報化時代の中、お客様との何千回にもおよぶ商談の中から、IronCADをベースに、墓石の対話式見積り機能付きCADシステム「ストーンスタジオ3」を開発されました。
今回は、「ストーンスタジオ3」の開発の経緯、「ストーンスタジオ3」におけるIronCADの位置付けなどを中心に、代表取締役 石本浩様にお話をお伺いしました。
事業概要

社長 石本 浩 様
石材店としては、1971年4月に創業し、父親がひとりで営んでいました。私は二代目となりますが、1989年に株式会社石本石材を設立し、13年目になります。新参の会社ですので、今までにない新しいことにチャレンジしていこうと考えています。
私どもの「ストーンスタジオ3」も、世界中からいいものを集めて商品を作るというコンセプトをもとに、IronCADによる開発を行っています。
IronCAD導入の背景
8年前から、見積書や発注書の作成など、紙で行っていた作業を、データベースに移し変えています。
さらに、お客様との商談をスムーズに、スピーディーに進めるために、CADとの連動を考え始めました。
ショールームで実物を見てもらっても、後で図面を持っていくようでは、お客さんの気が変わってしまい、駄目になる場合があります。
3年前、他のメーカのCADを見学するために設計・製造ソリューション展に行き、偶然IronCADを見つけました。IronCADは、トライボールと配置の機能が大変使いやすそうで、このような操作のCADを今まで見たことがなかったので一目惚れしました。
すぐに申し込みをして東京のセミナーを受け、代理店の契約をしたいと申し出ました。
IronCADの利用
IronCADを導入し、まず最初に墓石や巻石など商品をカタログに登録しました。

(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
特に、他のメーカがやっていない蓮華の形状が売りです。本物の蓮華を作成したのは業界初です。以前はデジタイザーで形をとっていたため、ポリゴンで面の数が多く、線だらけで見づらく、データ量も膨らんでいました。複雑な蓮華の形状を作成するのは非常に大変でしたが、このような複雑な曲面形状も、IronCADでは容易に作成できます。



欄干の作成も以前なら気の遠くなるような作業でしたが、今はIronCADでカスタマイズし、簡単に作れるようになりました。
見かけだけの図面だけではなく、発注書まで作成できる正確な製品を描こうとすると、以前は一週間ぐらいかかっていました。今は、IronCAD特有のマッチ機能などを使って1時間で作成できるようになりました。
IronCADを操作している社員は、他のCADを全く知りませんでしたが、問題なくすぐに操作できるようになり、現在4人で使っています。実際にお客様用のパーツを作って製品のカタログに登録する作業に1人、プログラムの作成に1人、計2人でソフト開発を行っています。
新作のお墓などの設計・デザインは、すべてIronCADで作業しています。2次元CADでのデザイン作業は熟練工でなければできません。図面を描きながら高さを想像していくのは、本当に石のことを知っていないと分からないと思います。IronCADの良さは素人でもそのような作業ができることだと思います。形状を回転しながらデザインできることも魅力です。

ストーンスタジオ3の紹介

お客様の墓地の大きさで、お墓をレイアウトしながら、自動平面作成機能、文字彫刻原稿図、自動更新機能、会席機能、干渉チェック機能、使用材料才数計算、製品重量計算、見積書、申込書、納品書、請求書、発注所、寸法書、工事予算書まで、自動的に作成するシステムです。
■見積書の自動作成
お墓の大きさは、お客様の墓地によって変わってきますので、IronCADでお客様の墓地の間口・奥行きの大きさを変更すると、自動的にデータベースの値も更新されます。
赤土の量も正確に計算して見積もり、巻石の大きさの変更、石種による短歌の変更にも瞬時に再見積もりします。
私どもでカスタマイズしました計算ツールを呼び出し、「金額計算」ボタンを押すと、見積書に金額が表示されます。
他の石材店では、土の値段などはトラック1台分で何円というふうにおおよその金額しかでませんが、このシステムでは、土の体積と単価から金額が瞬時に割り出されます。
しかも石の場合は、材料ではなく入り口の部分を削った本当の商品の才数で金額を算出できます。トラックに載せる積載重量まで正確に計算できますので、お客様にも情報を正確・明確に提示できます。
顧客データが登録されていますので、お客様の電話番号をお聞きし、600万件あるデータ中から、0.1秒でお名前を検索できます。この検索スピードが売りです。これで、お客様のお名前も、見積書に反映されます。

また、IronCADでは、2次元から3次元の形状がおこせるので、お客様に、2次元の平面図ではなく、3次元の実際のイメージを見ていただけます。
実際に墓地の予定地の写真をとって、IronCADに背景に貼り込み、お墓を建てたらどのようになるかも見ていただけます。

背景にしたモデル

効果
■契約までの時間短縮
8年前からCADを導入していましたが、当時はデータベースとは切り離して考えていました。CADでは図面を描いて外観が確認できるだけで、正確な才数も取れず、後で手で計算して見積もりを作成していました。当然、交渉の場では見積もりが出ませんのでその場での契約は難しいわけです。後日、図面と見積もりをお出しして交渉していました。
IronCAD導入後は実際にリアルな形状を見ながら金額の交渉もできますので、契約までの時間が早くなりました。また、契約書・発注書・施工予算書まで自動で作成されるようになりました。
■社員の自発性
IronCADはVisual Basicでカスタマイズできるので、Excelも使いこなせ、色々な分野で活用できます。
データベース機能により、製品や部在庫との仕入先登録、仕入原価、販売原価、施工単価や施工金額、消耗費、配達金額、乙中代、運賃などが登録できるため、正確に粗利を自動計算し、粗利による歩合計算ができます。
社員は、施工費から固定費などを引いた金額が、ボーナスの査定としてプールされていきます。経営者は、朝が遅い、休憩時間が長いなどという時間管理から開放され、社員は、渡された仕事について、自発的に責任施工するようになりました。
今後の課題、展開
検索機能を向上させたいと思っています。プロパティに持たせた名前や売値、石種などからも検索できるようなって、本当にデータベースを網羅したということになると思います。
■よりリアルに
石によって反射するものと反射しないものがあります。バーナー仕上げのものは反射しないので必要はないのですが、磨いたものはすべて反射しています。その質感を出したいのです。
今はレイトレーシングを設定すると、ガラスのように完全に透き通ってしまいます。完全に透き通るのではなく、ある程度透き通っている上に、反射させたいのです。
石種を貼り付けて、しかも鏡面仕上げができるようになればと思っています。
HZSについて
カスタマイズ用の詳細なドキュメントがほしいです。
IronCADがどのようにして作られているかを、ほとんど1年間かけて、調査してきました。
現在は、英語のドキュメントを日本語に訳し、ようやくその資料の分析が終わって作り始めた段階です。
もう少し手がかりをいただいて、IronCADの「ツール」カタログにある止め具やギアのようなコマンドを、蓮華にも作成したいと思っています。
そのためにも、カスタマイズ用の詳細なドキュメントを提供していただきたいと思います。
おわりに
データベースと見事に連動した「ストーンスタジオ3」を見せていただき、ここまでカスタマイズをしてIronCADを利用されていることに驚きました。
他の分野にもいろいろ応用できるのではないかと、逆に勉強させていただきました。
お忙しいところ、貴重な時間をさいてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
会社プロフィール

本社
株式会社石本石材
本社 | 福井県鯖江市定次町23-3 |
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創業 | 1989年10月 |
資本金 | 1千万円 |
従業員 | 25名(日本国内) 350名(中国、フィリピン) |
業種 | 石工・石材工事 |
営業品目 | 石材の小売卸・石材家具・建築資材の輸入・ソフト開発販売 |


