人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.42 | システム紹介
コニカミノルタ製 ハイスペック非接触3次元デジタイザVIVID9iの活用事例
「新しいものづくり方法への挑戦」
コニカミノルタ
センシング株式会社
国内販売部 VIVIDチーム
岡村 貴浩 様

Q(品質)C(コスト)D(納期)、デジタル化で顧客ニーズにあった金型づくり

人物の写真
代表者取締役
長谷川 秀和 様

長谷川社長:「これからの、金型づくりには製造プロセスにおけるトータル的なデジタル化が不可欠!」

現在、同社は顧客ニーズにあった金型づくりを追求し、ものづくりプロセスにおけるリエンジニアリングを推進されています。

長谷川社長:「我々が市場から求められる会社になるためには、顧客の求めるQ(品質)C(コスト)D(納期)を従業員が意識し、その達成のために必要な新しい技術は積極的に受け入れ、経営革新を行っていくことが必要と考えています。」

会社創業以来の蓄積された技能・技術と新しい3DツールVIVID9iの融合による、製品の新たな生産方式の導入とその効果をご紹介します。

従来手法からの脱却、そしてVIVID 9iの導入がQCDを強力にサポート!

同社は、大手トラック・バスホイールメーカー向けの、プレス金型や各種金属加工製品の製作を主な業務とされています。以下に、得意先と同社の間にみる業務の代表的な流れを説明します。

人物の写真
長谷川社長(右)と
CAD/CAMご担当の長谷川一英様

① 相手先の3D CADデータをベースにSpace-EでNCデータを作成し、金型を製作。(長谷川加工所)

② 得意先では、その金型に細かな修正を加え、成型用として使用。(得意先)

③ 金型の長期使用などによる磨耗から、金型の複製依頼を受ける。(得意先 ⇒ 長谷川加工所)

④ 元の3D CAD/CAMデータは、②により使用できないため、実際に得意先で修正された現物金型をベースに複製を行う。(長谷川加工所)

従来の手法としては、倣い加工機を使用した複製を行っていましたが、次のような問題が発生しました。

問題1
倣い加工機の故障の際、同機(NC倣い加工機も含む)の更新を検討しましたが、メーカーより製造中止、またメンテナンス不能の情報を得ました。

問題2
顧客からの、高精度・短納期・低コストの要求が高まっており、従来の金型製作の手法では顧客ニーズに追いつかなくなりました。そこで、これらの問題を解決するツールとして、VIVID9iシステムの導入に踏み切りました。

■導入メリット

① 加工時間の効率化

倣い加工の場合は1個ずつしか製作できませんが、導入後は計測データを元にSpace-Eで同一複数個加工のプログラムを作成すれば、連続した加工が可能になります。(図1のプロセス参照)

説明図
図1 長谷川加工所におけるVIVID導入後のものづくりプロセス
(同一の金属加工製品を3個作る場合)
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

→無人稼動・無人加工が可能になり、夜間運転による加工時間の効率化を実現できました。
※"NC倣い加工機"も同様のことができますが、現物からNCデータの作成までの時間が大きく違います。
(図1サンプルの場合 VIVIDシステム:15分程度 / NC倣い:1時間半程度)

② 現物形状の一部変更にも柔軟に対応

取引先からの金型製作依頼は、常に現物と全く同一のものの製作とは限りません。
現物形状をベースにし、一部形状を修正したいとの要望があった場合、計測データがあればソフト(RapidForm2006/Inus technology社製)上での形状修正が可能になり、得意先の細かな要望にも柔軟に対応できるようになりました。

③ 短期間の現物金型の貸出にも柔軟に対応

金型製作用の現物金型の貸出期間は非常に短く、貸出期間によっては依頼を受けることができないなどの機会損失が発生していました。
導入後は複数のサンプルを預かった場合でも、それらの金型はVIVID9iでの計測終了時点で全て返却できるようになりました。それにより、取引先でのタイトな生産スケジュールの合間にくる現物からの金型製作依頼にも対応できるようになり、CS(顧客満足)の向上につながりました。

④ 既存のマシニングセンタなどの設備の稼働率アップ
⑤ 新たなビジネスチャンス

最近は、現物からモデリングをするデータサービスの依頼を受けるようになり、新たなビジネスが生まれつつあります。

長年の技とデジタル技術の融合によるシナジー効果

■VIVID9iの選定ポイント

長谷川社長:「一般に同等精度といわれる製品の中で、コストパフォーマンスが一番良く、カメラ感覚の簡単操作でだれでもすぐに使えそうなところが気に入りました。また、検討時からのフットワークの良いサポート体制などから、導入後も安心して使えそうだと実感できたのもポイントです。」

■導入後の感想

設備投資がいかに商品の付加価値アップにつながり、有効なビジネスツールになるか・・・

長谷川社長:「導入当初は、大型カメラのようなものでここまで精度がでるとは思っていませんでした。取引先からも、"倣い加工時に比べ、今の方が形状加工精度もよくなり、納品後の修正も少なくてすむ。"と、とても評判です。また導入当初は考えていなかった使い方もいろいろあり、VIVIDは現在フル稼働状態です。
今後はVIVIDとSpace-Eとの融合を軸に、さらに新たな可能性を追求する中で、Space-E CAA V5 Basedについても非常に関心を持っています。

現在の業務の約8割が、現物をベースにした金型製作を行っている同社では、VIVIDは必需品になっているとのことです。

最後に

長谷川社長:「長年蓄積された技術やノウハウの伝承にも、ものづくりのデジタル化が大きく役に立つと考えています。」

顧客・取引先からの要望に対し、企画・提案を行いさまざまな独自性のあるサービスの展開を試みることで「経営革新」を進める同社。蓄積された"長年の技"と"デジタル技術"の融合が同社の製品への付加価値を高めていくのが感じられました。

今回の取材へのご協力ありがとうございました。

工業用ハイスペック
非接触3次元デジタイザ VIVID9i

VIVID9i

VIVID9i
本体価格 \4,830,000-(税込)
●お問い合わせ先
コニカミノルタセンシング株式会社
東京営業所 鶴田・岡村
Tel.(03)3349-5323 Fax.(03)3349-5325

  • リバースエンジニアリングや試作・量産プロセスにおける形状評価・型承認・品質検査等に最適です。
  • 対象物の大きさに合わせた3種類のレンズを標準装備!
  • カメラ感覚の簡単・高速・高精度計測によって業界トップクラスのコストパフォーマンスを実現!
  • オプションのデジタル写真測量システムにより、大物や形状に特徴のないものでも高精度計測!

会社プロフィール

有限会社 長谷川加工所

資本金 800万円
従業員数 8名
設立 1969年5月10日
業務内容 金型部品・機械部品製造(トラック・バススチールホイール金型、タービンブレード製作等)
主な取引先 大手ホイールメーカー他