人とシステム

季刊誌
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No.43 | システム紹介
EOSINTとe-Manufacturing
「EOSINT の活用事例」
RPシステム部 橋爪 康晃

e-Manufacturingとは
EOSが提唱する新しいものづくりのコンセプト。
定義は「迅速に、柔軟に、低コストで、デジタルデータから直接製品を自動的に生産する手法」

はじめに

このコラムでは、3次元CADデータからダイレクトに製品を造形するレーザー焼結型RP(ラピッドプロトタイピング)システムEOSINTシリーズについてご紹介しています。今回はEOSの近況、最新の活用事例などをご紹介します。

ワールドワイドリーディングカンパニー:EOS

挿絵
EOSは「Technology Leadership of the year award」など多数のアワードを受賞

EOSは、1989年にBMWを最初のパイロットユーザとして、現在のCEO以下数名で設立されました。e-Manufacturingコセンプトを提唱し、そのキーテクノロジーである粉末焼結法を採用するEOSINTシリーズの開発を行っており、関係する特許の多くを所有するドイツの専門メーカです。現在は、5ヶ国に現地法人を持ち、社員数も200名を超え、30ヶ国以上にユーザを持つ業界のリーディングカンパニーの地位にあります。また製品だけでなく、その開発力や姿勢も各方面から高く評価される企業となっています。

EOSINT Pの活用事例

他のEOSINTシリーズにも共通しますが、RP(試作のための装置)としてだけではなく、新しい生産プロセス(e-Manufacturing)を実現する装置としての活用が増えています。また、今まではなかった新しいアプリケーションも登場し、その適用範囲は業界、製品ライフサイクルのフェーズを問わず、拡大しています。

■スポーツヘルメット

写真は、アテネオリンピックのボート競技に出場する選手のために造られたヘルメットです。これは、単に従来の生産方法を変えただけではなく、EOSINTによる生産を前提にしたe-Manufacturingデザインによって造られ、選手と競技開催地の環境に最適化されたまったく新しい製品です。最高の性能と品質が求められるトップアスリートの道具としてもEOSINTで製作したものが認められ、効果を発揮しています。

画面例 挿絵
光、熱の反射を考慮したトップ部の形状、最適化されたベンチレーション構造、
水しぶきから視界を確保するサングラスが組み込まれたデザイン

■自動車部品アセンブリ用ツール

製品の写真
左:アセンブリ用
製品の写真
右:塗装された試作車の部品

製品あるいは試作品そのものを生産するのがEOSINTPの主な利用法ですが、生産用ツールの作成にも使用されています。写真左は、現在発売されているジャガーXKの生産に使用されているものです。窓の開閉部品のアセンブリ時に、ポジショニングを行うために使用されています。専用設計されたこのツールにより、時間とコストの低減に効果を発揮しています。また、同社で導入されているEOSINTは、試作部品製作にも活用されています。このように、製品ライフサイクルの様々なフェーズで、EOSINTは使用できます。

■アルミ入りナイロンによる簡易金型

製品の写真 製品の写真
製品の写真 製品の写真

EOSINT Pの材料にAlumide(アルミ入りナイロン)があります。これは、主にPA2200(ナイロン12)よりも硬度を必要とする部品の製作や加工性が良いため、高品質な表面を必要とする部品の製作に適用されていますが、これを金型製作に利用した事例があります。通常の金型と比較すると強度や耐熱において劣りますが、「極少量しか製作しないが、金型での成形が必要な製品/試作品」には効果的な場合があります。例えば靴のソール(写真左上)です。試作段階で、それぞれは少量で良いのですが、サイズ違いで多くの種類を揃える必要があります。これにEOSINTを使えば、低コストで、短時間で製作できます。

■これからのe-Manufacturing

挿絵
FOC 社製作のランプ

この他にもレーザー焼結型RPは、実用に耐えるパーツが生産できるため、少量生産されるロボットの開発・生産手法として期待が高まっており、各メディアでも取り上げられています。介護用のロボット、人に代わって危険な場所、劣悪環境下で作業を行う救難用ロボットや調査用の無人航空機・車両などです。RPの技術の進化が、これらの分野の進化・普及を加速させようとしています。一方、インテリアやアクセサリーといった身近なところでも、e-Manufacturingは始まっており、EOSINTでそれらの商品を製作しているFOC社は、2006年インテリアイノベーションアワードを受賞し、その工法に制約されない画期的デザインと製造方法が注目されています。

EOSINT Mの活用事例

より実用的な新材料の登場で「金属製品を直接製作する」という利用方法が増えています。

■歯科アプリケーション

以前にもいくつかテスト的な事例を紹介してきましたが、低コストで個々に異なる形状を高精度かつ短時間で多数生産するというe-Manufacturing手法が確立され、ビジネスとして本格的な活用が始まりました。写真は、ドイツの歯科用機器専門メーカSirona社のものです。同社は、今年の4月からEOSINTを利用したデンタルレストレーション(歯の審美修復)のサービスを開始しています。EOSINT M270とEOS CobaltChrom SP1(歯科アプリケーション用コバルトクロムモリブデン粉末)を使用しています。

挿絵 挿絵

■ロックボックス試作品

写真はEOSINT Mで製作され、展示会に出展されたSentrilock社のロックボックスです。同社はこれを1週間で製作しており、従来工法と比較してリードタイムを80%短縮しています。内部にリブ、チャネルなど複雑な構造を持っていますが、加工データを作ることなく、製品データからダイレクトに一体造形できるEOSINTが効果を発揮しました。なお、この製品は現在すでに10万個以上売れている同社の売れ筋製品となっています。

製品の写真 製品の写真

■e-Manufacturing を具現化する新材料

EOSINT P用として材料リサイクル率を高めたナイロン(PrimePart)がリリースされ、難燃性能を持った材料(PA2210FR)やカーボン入りナイロン(Carbonmide)の発売が予定されています。EOSINTM用には従来までの材料と比べて、より高い硬度、強度、耐熱性能を持つ新材料EOS CobaltChrom MP1(コバルトクロムモリブデン粉末)、EOS Titanium Ti64(チタン<合金>粉末)、EOS StainlessSteel 17-4(ステンレス粉末)が登場し、新たなレベルへと進化しつつあります。EOSINT S用では、日本国内の材料メーカ(群栄化学工業株式会社様)が開発した、高品質材料がご提供できるようになり、大きくレベルアップしました。これら新しい材料の登場により、e-Manufacturingによるパラダイムシフトは、現実のモノとなってきています。

製品の写真
EOS CobaltChrom MP1で製作された
航空機用マイクロ、タービン
製品の写真 製品の写真
EOS StainlessSteel 17-4で製作された
VW コンセプトカーのシフトノブ

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