人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.50 | お客様事例
3次元切削シミュレーションソフト VERICUTお客様事例
開発試作品・部品加工のプロ
新妻精機株式会社様でのVERICUT事例
株式会社 エムフュージョン
新田 栄二

開発試作をトータルソリューションする試作専門集団

人物の写真
技術部
課長 高木 政勝 様

新妻精機様は、一般精密部品(試作、開発製品)の加工および設計を得意とされる試作専門メーカです。東京、山形、長野にある工場では、最新鋭の設備であるマシニングセンタやSpace-Eなどを保有し、幅広い分野のお客様のご要望に柔軟に対応されています。

今回は、機械加工の検証が事前に行える3次元切削シミュレーションソフトVERICUT(ベリカット)を導入した経緯などを、技術部 課長 高木 政勝 様にお聞きしました。

5軸加工でのデータ信頼性の限界

■事業内容をお教えください。

当社は、試作全般を受けており、お客様の業種は、F1レーシング、自動車、医療、航空、宇宙、事務機器、その他というように多種多様です。また、加工材料もチタン、アルミ、樹脂、その他の材質を扱っており、材質の特定も無いので、幅広い加工が可能です。

■VERICUT導入の経緯をお聞かせください。

Space-Eでの高速・高精度の切削加工に取り組んでいましたが、5軸高速マシニングによる5軸、同時5軸加工が多くなり、CAM側で正常に見えるNCデータでもポストを通すことで、その動きが予測できなくなっていました。

そこで、NCデータとして正常な動きができるのか事前に確認するために、VERICUTを導入したのが6年前です。

■導入前はどのように確認していましたか?

導入前は、CAMからポストを通してNCデータを作成した後、データを手作業で確認してから機械に流していたので、正しく動作するのか不安でした。また、機械が高速加工のため、現場の作業者は、不具合が発生したらすぐに機械を停止できるように非常停止ボタンに手をかけた状態で対応しており、作業効率が悪い状態でした。

■VERICUT導入当初は、どのような状態でしたか?

CAM側の内部データでの検証では正常ですが、VERICUTで検証すると、不可解な動きをするケースがかなりあり、その原因が分からず試行錯誤しながら対応していました。

また、加工検証と切削機械の検証を行っているので、VERICUTの設定に手間がかかりました。1回設定してしまえば、後はコピーすればいいのですが、刃物工具などを全部作って設定するまでは大変でした。

30台の機械全てに検証を実施

■現在の運用状況はいかがですか?

東京、山形、長野の工場には、60台以上の機械があり、東京の本社工場で稼動している機械の半分は5軸です。全体的に4軸以上の機械、5軸、同時5軸加工機を多く保有しており、30台ほどの機械に対して、加工前にVERICUTで全データを検証しています。

当社は、先端点制御を利用していないので、CAM側でも機種ごとにポストを作成しており、VERICUT側で検証が必要な機械を全て設定して運用しています。

特に最近では、多面加工での切削が多いので利用する回数も増えています。

また、見積り段階でも正確な見積りを行うため、VERICUTで検証しています。小物はいいのですが、大物は正確に見積る必要があるため、VERICUTの使用頻度は増えています。

※ 新妻精機様では、VERICUT基本モジュール+多軸オプション+マシンシミュレーション+オートディフを導入され、東京、山形の工場で3台運用されています。

現場の安心感を実現

■VERICUT導入後の効果はいかがですか?

機械干渉や工具干渉の事前チェックなどが、正確に確認できるので非常に良い効果がでていると思います。

以前、同時5軸の加工の際、動きがおかしい現象が発生したとき、CAM側では再現できないのに、VERICUTでは同様の現象が再現できました。

このように、事前にVERICUTで検証し、エラーがないことが確認できると、現場も安心して機械に流す判断ができます。現在、現場の担当者は、機械の横に常時付いている必要はなくなり、機械のボタンを1回押して確認後は、安心して帰宅しています。具体的な効果を数値化しているわけではありませんが、現場の安心感という部分では、大きな効果がでています。

今後のVERICUTに期待

■VERICUTの各機能についてはいかがでしょうか?

Ver.5の時は、検証時間が非常にかかり、遅い印象でしたが、現在のVer.6では、だいぶ早くなり、納得できる処理速度だと思います。

また、複数取りや段取替、異なる機械への段取替なども、Ver.6からは、セットアップして1回の検証をするだけで実行できることが良くなった点です。

■VERICUTへの要望はありますか?

メーカによってコードが違う場合があるので、MコードやGコードを追加したい場合に、もっと簡単に設定できるようになれば良いと思います。

■今後VERICUTで対応したい作業はありますか?

VERICUTの他オプションで興味があるのは、プローブオプションです。最近は、CNCで動かして計測、検査を行うことが徐々に増えています。現在は、CAMなどでプローブ用の機能が無いので、検査用プログラムを手で組むしかない状態です。

そのため、手組みプログラムを検証する用途も考える必要があります。

■最後に

今後もCAM→VERICUT→加工の流れで利用していきます。

お忙しいところ、ありがとうございました。

VERICUTについて

現在の高品質な製品精度の追求、短納期を求められる加工環境で加工時の機械トラブルは致命的です。特に5面加工や同時5軸など複雑な動きをする場合、CAMによる中間ファイル上でのシミュレーション動作とNCデータにポスト処理した状態での実機械上の動作は、どのような動きになるか全く予測できません。VERICUTは、CAMからポスト処理されたNCデータを元に実機と同じ動作環境をパソコン上で実現し、実加工と同じ動きを事前に確認、検証することが可能です。標準で3軸までの加工検証(3軸フライス加工、放電加工、割り出し加工、2軸旋盤、ワイヤー放電、複数材料・治具の同時加工など)が行え、材料、治具などへの干渉、切削モデルへの測定、各種分析などが行えます。(標準でフローティングライセンス対応、ライセンス数分どの場所にあるPCでも自由利用可能)

画面例

さらにオプションを利用することで、マルチアクシス(4軸以上の加工・5面加工や同時5軸、複合旋盤など)マシンシミュレーション(工作機械全体の動作検証、機械部品の完了やリミットのチェックなど可能)、オートディフ(CADモデル(STL)と切削後形状を比較可能)、最適化(切削状態を分析し、効率的な送り速度のNCデータを出力可能)、NCマシンプロービング(プローブを使用した3次元計測確認、機械部品の位置決め検証、プログラミングが可能)、他モデルインターフェイス/モデルエクスポートなど、お客様用途に応じた機械加工の事前検証+付加価値効果を実現します。

ぜひ、担当営業にお問合せください。

会社プロフィール

会社の写真

新妻精機株式会社

URL http://www.niizuma.co.jp/(外部サイトへ移動します)

本社 東京都大田区下丸子2-36-21
設立 昭和40年4月
資本金 1,000万円
主な業務内容 一般精密部品加工
精密歯車製造
設計(生産技術治具耐久試験機)