人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.53 | システム紹介
構造熱解析ソリューション
Femap with NX Nastranのご紹介
株式会社エヌ・エス・ティ
技術部 材木 裕

はじめに

説明図
図1 Femap with NX Nastran
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

「Femap with NX Nastran」(フィーマップ・ウィズ・エヌエックス ナストラン)は、構造熱解析プログラム「NX Nastran」と、Windowsベースのモデル作成/結果評価プログラム「Femap」をひとつにした、コンパクトで強力な構造熱解析ソリューションです。解析モデルの作成、解析実行、解析結果の評価までのすべてを使いなれたWindowsデスクトップ上で行えます。

さらに、Microsoft Office製品とも親和性よく機能し、煩雑になりがちなモデル作成や結果レポートの作成について、高い生産性を実現します。

基礎的な線形静解析から定評のあるNASTRAN動解析、高度な非線形解析までのすべての機能を取り揃え、高度な工学問題の解決を強力に支援します。

Femap with NX Nastran

Femap with NX Nastranは、3つの言葉で表現することができます。

「コンパクト」「柔軟」「強靱」

【コンパクト -性能と価格の高度なバランス-】

どんなにすばらしいソフトウェアでも、道具として使える価格でなければ、役に立ちません。どんなに安くても、必要なときに十分な機能を発揮できなければ、それはないことと同じです。

Femapは、特にNASTRANのモデル作成とポスト処理に重点を置き、20年以上のご愛顧とともに、真に使える道具としての出来映えと価格を実現してきました。

【柔軟 -しなやかなインターフェイス-】

Femap with NX Nastranは、人と設計(CAD)、評価(FEM)を結び、解析ソリューションを実現します。数多くのプログラムを、Femapという共通のユーザーインターフェイスを通じて自在に駆使することができます。

Femapは、様々な解析プログラムのモデルと結果にアクセスでき、解析情報の資産を有効活用します。

また、Femap with NX Nastranは場所を選ばず、ノートPCから高性能デスクサイド機まで、ハードウェア性能を最大限に引き出します。

【強靱 -40年の実績-】

説明図
図2 LNGタンカーの大規模モデル

構造熱解析プログラムの中で最も古くから開発が行われてきたNASTRANは、40年以上の歴史を持ち、航空宇宙分野や防衛、自動車、造船を中心に、あらゆる業種で使用され、数々の実績を誇ります。DMAPに代表される革新的なプログラムアークティチャにより、40年の歳月を経てもなお、最先端の機能/性能を実現しています。

Femap with NX Nastranは、64bit Windowsの広大なアドレス空間を有効活用し、数百万要素もある巨大なモデルの作成、解析、結果処理が可能です。

製品構成

Femap with NX Nastranでは、基本製品を軸に用途に合わせた機能の追加が簡単に行えるので、ニーズに応じた機能を選択することができ、効率的な運用が可能です。

【基本製品(Femap with NX Nastran Basic Bundle)】

現場のエンジニアを想定したコンパクトで柔軟性のあるソリューションパッケージです。フル機能のFemapと、以下の解析機能が利用できます。

■線形静解析

静的つり合いでの変形や応力の計算機能です。NX Nastranでは摩擦を考慮した面接触、不整合メッシュの接着結合など、便利な機能が利用できます。

■実固有値解析

減衰なしを仮定した構造物の共振現象を計算する機能です。空気や水などの流体の影響も考慮できます。

■線形座屈解析

座屈形状と座屈が発生する荷重を計算します。

■非線形静/過渡解析[ベーシック非線形]

大変形や弾塑性、あるいは超弾性などの問題を扱え、コンパクトな機能で多くの非線形問題に対応します。

■定常/過渡熱伝導解析

温度分布を計算する機能です。固体熱伝導の他、対流、輻射が取り扱えます。モデル形状から輻射形態係数を計算し、輻射熱伝達を計算します。

時刻歴の熱解析も可能です。また、相転移の考慮や温度制御系の組み込みが可能です。

【Dynamic Response-動解析パッケージ】

NASTRANの真骨頂である、線形動解析機能を追加するためのモジュールです。過渡解析、周波数応答解析を基本とし、広範囲の動的設計評価を行えます。

  • 時刻歴の動的応答
  • 周波数領域の応答
  • ランダム振動への応答
  • 複素固有値の計算

【追加モジュール群】

製品の解析機能を飛躍的に高める、追加機能モジュールが利用できます。

■Advanced Nonlinearモジュール

画面例
図3 高速飛翔体の貫通
(非線形過渡)

高度な非線形問題を処理するためのモジュールです。

大変形で面接触を考慮できる他、大ひずみ弾塑性、破断の模擬、気密解析、多彩な超弾性材料モデルが利用できます。弾塑性特性をすべて温度依存性で定義できるので、広い温度範囲の解析が可能です。

取り扱える非線形解析は、通常の静解析、(陰解法)過渡解析の他、陽解法過渡解析が利用できます。陽解法過渡解析は、通常の非線形過渡解析で取り扱いが困難な、高度な非線形問題を取り扱います。

■Rotor Dynamicsモジュール

画面例
図4 回転体の過渡運動
(振れ回り運動)

回転体の力学を考慮し、危険速度、周波数応答、過渡的な運動を評価できる先進のモジュールです。回転体は非対称なものでも処理します。

■Super elementsモジュール

大規模なシステム開発で威力を発揮する、有限要素モデルの階層化機能です。システムをモジュールとサブコンポーネントに分割でき、それぞれ独立に解析できるので、複雑なシステム解析を処理できます。

■設計感度・最適化モジュール

モデルのパラメータ変更による最適設計の探査ができます。解析機能を駆使し、設計仕様を満足しながら、重量を最小化したり、実物と同じ結果を与えるようにモデルをチューニングしたりできます。

■DMAPモジュール

DMAPモジュールはNASTRAN本体の根幹をなす、高度なプログラム言語です。DMAPを使うと、既存の解析機能に新しい結果出力を追加したり、NASTRANの高度なマトリクス処理能力を駆使して全く新しいプログラムを記述したりできます。

■空力弾性モジュール

航空機の空力設計に必要な機能です。空力設計で重要なダイバージェンス、フラッタ、突風応答、安定微係数などのパラメータサーベイが可能です。