人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
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No.53 | 社長インタビュー
ものづくりの逆襲
株式会社ミナロ 代表取締役 緑川 賢司 様 株式会社ミナロ
代表取締役 緑川 賢司 様
NDES 代表取締役社長 木下 篤
NDES
代表取締役社長
渡辺 雅治

渡辺 2002年8月にミナロを設立され、治具製作や、モックアップ、木型、モデル製作等を得意とされていますね。

日本の製造業を元気にしたいといろいろな活動をされておられますので、お話をお伺いしたいと思います。

ミナロ設立

渡辺 まずは、ミナロの設立の経緯についてお話いただけますか。

緑川 型製作所に勤めていたのですが、平成14年当時、今と同じくらい仕事がなくて51年続いた木型製作所でしたが時代の流れには逆らえず、一般業務を停止し、その時残された従業員で立ち上げたのがミナロです。

勤めているときは、途中で退職して会社を起こそうということは全く考えていませんでした。突然1ヶ月後に会社をたたむと言われたのです。

再就職するかどうするかいろいろ考え、いろいろな人に相談しに行きました。うちに来ないかと言ってくれる人もいて、ありがたいところもあったのですが、再就職してもまた廃業になってしまう可能性もありますし、ここで新しい会社を作ってみるのも面白いかなと思って、一緒に仕事をしていた2人に、「会社作ろうと思うんだが1人ではできないから一緒にやってくれるか?」と聞いてみたら、2人とも「やる」と言ってくれました。「最初は給料は払えないよ、それでもいいの? しかも最初はお金がないからみんなから借りる必要もあるよ」。そうしたら「資金も出す」と言ってくれたのです。そこまで言ってくれるんだったらと3人で会社を起こしました。今までのお客様に新しい会社を作りましたからお願いしますと言えるように、会社を閉じると言われた1ヵ月後には、新しい会社を設立しました。

製造業ですから、小さいといえども工場を構え、200Vを使うような機械も入れますから、電気工事をしなければいけません。その電気工事代を皆からかき集めたお金の中から、30万円ぐらいでやってくれるのではないかと電気工事をお願いしたところ、出てきた金額がなんと120万円だったのです。これでは、交渉も何もできる状況ではなく、そのときに出てきた言葉が、「出世払いじゃダメ?」そうしたらなんと、電気会社の社長が「いいよ。それでやってやるよ。」と言ってくれたのです。世の中にはいい社長がいるもんだと思いましたね。すぐに電気工事をお願いし、工場として始められるようになりました。その電気屋さんが出世払いでいいよと言ってくれなかったら、ミナロがあったかどうかわからないです。

営業活動はホームページ

渡辺 設立当初は、既存のお客様の延長上で事業をしようと考えていたのですか。

緑川 最初はそうですね。主要なお客様が3社ありましたので、3人であれば何とか回るかなと思っていました。しかし、仕事がなくてたたんじゃったわけですから、それと同時に新しいお客様を増やすことを考えました。

渡辺 会社を作られて、ホームページで情報発信やケミカルウッドの販売などなさっていますが、ある程度経験があったのでしょうか。

挿絵

緑川 今ミナロの営業というのは全てインターネットのホームページに頼っています。まだ木型製作所に勤めていた頃に、ホームページを作っていましたが、それは集客のためではなく、会社案内でした。当時この業界ではホームページはそれほど普及していませんでしたが、これからは面白いツールになるんじゃないかと手ごたえや可能性を感じていましたので、将来営業に役立つツールになるだろうと思っていました。

3人でミナロを始めましたが、3人とも職人、技術者ですから営業がいません。営業はホームページに頼ろうと、工場の場所や電話番号を決める前に、ミナロのホームページのアドレス、minaro.comを取り、これに賭けました。ホームページを見てもらってミナロを知ってもらうということが一番大事だろうと考え、情報発信をしてきました。

渡辺 ホームページでケミカルウッドの販売をされていますが、販売しようと思ったきっかけは何でしょうか。

緑川 木型製作所にいたときは、ケミカルウッドの端材は、費用を支払って廃棄処分していました。でも、まだ使えるものを捨ててしまうというのは、本当にもったいないと思っていました。きっと欲しい人がいるのではないかと思って、Yahooオークションに出してみたら1個500円で売れたのです。やっぱり欲しい人がいるんだと思って、ミナロを設立したときに本格的にサイトを立ち上げて販売を始めました。

渡辺 お客様はやはり製造業の方ですか。

緑川 個人もいますね。

材料は個人の人に買ってもらおうと思って始めました。そしたら意外にも企業の人が買ってくれます。逆に加工は明らかに企業向けですが、個人からも依頼がくるのです。

今まで材料しか買ってくれなかったお客様に加工まで提案したり、材料支給のお客様に当社の材料を使っていただいたり、やってみなければ気がつかないことでした。

個人の方は趣味の世界で、うまくいけばそれを商品として売り出そうとか、飾りだったり、実用新案で特許をとるためのものだったりします。

業界全体がこういう厳しい状況でも、個人のお客様はあまり不況とは関係ないようで、個人のお客様から仕事をもらえるのは結構助かります。

インターネットで商売が随分やりやすくなったというのはあります。ミナロは、IT革命以降の営業スタイルに乗っかった会社で、インターネットをフル活用して業容を拡大してきました。

渡辺 「やり方を変えられた」ということが、ミナロさんのひとつのキーワードですね。

協力会社、製造業を応援する仲間との横のつながり

【横のつながり】

緑川 ホームページで営業をかけると同時に、横のつながり、協力会社を増やそうと思いました。たとえば金属加工の依頼がきた場合、ミナロではできないけれども、協力会社にお願いすることによって完成品になる。ミナロに頼めば何でもできるよと言ってもらえる会社にしたくてそのためには横のつながり、仲間が必要でした。

実は設立当初、ホームページよりも協力会社を探すほうに力を入れていました。

渡辺 今までやっていたケミカルウッドを削るということと内容的に違うメニューを幅広く受けられるようにということですか。

緑川 そうですね。横のつながりができれば、ケミカルウッドや木型を削るだけではなく、金属部品を取付けて付加価値の高い治具の製作を受けることができ、新しいお客様につながります。また、当時買った機械があまり大きな機械ではなかったので、寸法の大きな仕事がきた場合、大きなマシンを持っているところに協力してもらうこともあり、とにかく協力会社を増やしていきました。

渡辺 いろいろなチャネルを作りながら、仕事は予想以上にありましたか。

緑川 最初は明確な予想は立てていませんでした。設立したときに、僕の中では半年くらいは給料が払えないのかな、もしかしたら1年近く払えないのかなと思っていたのですが、予想していたより早く4ヶ月目には払えるようになりました。それからも毎月給料が払えていますので、考えていた以上にお客様は増えました。最初の1年でお客様は10倍の31社に増え、5年後は約400ユーザ、現在は約1,000ユーザ以上になりました。

製品の写真
試作エンジン用カムカバー
(アルミ)
製品の写真
自動車モックアップ用Aピラー
(ケミカルウッド)
製品の写真
内装部品検査治具
製品の写真
ヘッドランプ検査治具
製品の写真
自動車モックアップ
製品の写真
靴の木型

ホームページも、ミナロにとってはなくてはならないツールですが、それだけではなく、「口コミ」で紹介をしていただけます。設立当時から、ミナロを知っている人が、いろいろなところでミナロという会社を紹介してくださり、仕事に結びついています。

【製造業を応援するブログ仲間】

渡辺 緑川社長にはものづくりの会社を元気にしようというお仲間がたくさんいらっしゃいますね。

緑川 ありがたいことです。みんな似たような考えだと思います。製造業を何とかしたい、自分達が関わっているものづくりを何とかしたいと思っている人たちが、ミナロを支えてくれていると思います。

「ミナログ」では、日本全国の製造業ブログを紹介、がんばる製造業を応援しています。

渡辺 思いのある人たちの集まりですね。そういう方と仕事のつながりはあるのですか。

緑川 製造業が多いですが、仕事のやりとりはないですね。みんな同じような状況で仕事をしていますし、ブログをやっている人たちなので年代も近く、いろいろな話も合います。

渡辺 話は変わりますが、昨年は弊社のセミナーで講演をいただきましてありがとうございました。セミナーに参加された方々とも繋がりができているそうですね。

緑川 話の続きを聞かせてくださいと来てくださいます。人との出会いは大事ですね。仕事は、人との繋がりがあってこそ生まれるものだとつくづく感じます。

仕事ができて初めてお金が動く。初めからお金お金という人には、人はついてこないという考えです。

静岡にあるジーズ・フィールドという会社の山本社長が、損得勘定なしで純粋に製造業を盛り上げたいという気持ちから、「製造業応援ブログ!」を開設しています。

製造業を営んでいる会社、主に町工場と呼ばれる日本の製造業を支えている企業を毎週1社ずつ紹介し、「ここの会社はこんなことやってるんだよ!」「こんなにすごい技術を持ってるんだよ!」「こんな思いで作ってるんだよ!」ということを伝えていくブログです。

金型屋さんがメインですが、山本社長自らが会社を訪問して写真を撮り、記事を書かれています。

【本質を理解すること】

緑川 ミナロを作ったときにホームページに社長の考えや思いを一文書いたのです。「すべてにおいて、本質を理解し行動すれば自ずと進む方向は見えてくる。

色々な物事が目の前に起きようが、その人が言っていることの本当に言いたいこと、装置でも機械でもいいですが、その機械が本当にやるべき仕事は何かということを理解すれば、その機械を修理するときや、その人に仕事を与える場合、自ずと見えてくる、ということを書いたのです。

渡辺 本質という言葉の意味は、現状を把握しているということもありますが、本質の言葉の意味にはいろいろな思いがあるんでしょうね。意味深いです。私も職員によく言うのですが、現実を知ること、現実を見ることというのが私の考え方です。

緑川 人というのは都合の悪いことはだんだん見えにくくなってくるのです。そこに解決する答えがあるのです。そこにいかに目を向けるようにするかです。

渡辺 私は常に数値化をしなさいと言うのです。そうすると、ああこういう状態なのだということがわかります。

緑川 あると思います。本質というのは、見る人によって違うと思います。数値化するというのは、ある程度の規模の会社では数値にすることによって、みんなが同じ意識になると思います。ミナロはまだ人数が少ないので、社長一人の本質の見抜き方でいいのだと思います。

楽しく仕事をすることが一番

渡辺 新しい商品、アピールの仕方、提供するものの内容が変わってきていると思います。「ナッちゃん」もそうでしょうが、削るというキーワードは同じでしょうか。

緑川 自分の中ではそれほど変わってるとは思いませんが、ミナロで働いてくれる人たちが増えていますから、それぞれの人の考え方や得意なこととともに変わってきます。ミナロでは、仕事が暇なときには自分で好きなものを作っていいのです。好きなものを作ることは、スキルの向上にもなります。

挿絵
「ナッちゃん」
たなかじゅん(著)
ジャンプ・コミックス
デラックス
©たなかじゅん/集英社

「ナッちゃん」は、ある社員がミナロに入社しなければ実現できなかったことです。彼がミナロに入社したことで、あんなこともやってみよう、こんなこともやってみようと出来上がったのが「ナッちゃん」です。

そんな好き勝手に作った物が、あちらこちらで取り上げられて、ミナロを知ってもらうきっかけとなっています。

広告宣伝費をかけるよりよっぽど費用対効果は高いんじゃないですかね。ミナロの中でやれることは、複雑になってきていますが、ミナロ自体はそんなに変わっていないと思います。

元々、方向性というのはあまり重要視しいていなかったですし、業界にべったりいると、今のような経済状況になったときに方向転換が難しいと思います。今の状況を半年前に予測できた人がどれくらいいたか、ほとんどいないと思います。

利益を上げたときに、従業員を増やし、設備を増やしてということをしていたら、今本当に大変だと思います。

ミナロはそういうことは絶対にしない。ミナロで働いている人、ミナロを知ってくれている人が、楽しいとか面白いとか気持ちいいとか、そういうふうに思ってくれることが目的であって、従業員を100人にしたいとか設備を倍にしたいという目標は一切ありません。それでもいいからミナロで働きたいという人が現れれば積極的に交わってもらう。そういうやり方の方がいいのではないかと思っています。

渡辺 仕事としての働きがいや生きがいが大事だということですね。

緑川 一生のうちの大半は会社で仕事をしているわけですから、働いている人たち、関わる人たちが、お金以外の、楽しいとか、感謝されたとか、といういい思いをすることが重要じゃないかなと思っています。

製品の写真
等身大の「ナッちゃん」
画面例
ナッちゃん パスデータ
画面例
ナッちゃん 形状データ
挿絵
たなか じゅん氏「ナッちゃん」目の墨入れ
挿絵

子どもたちにモノづくりの楽しさを 地域の小学校や工業高校で講師

渡辺 小学生にサマースクールを開いたり、工業高校で講師をされたりしているそうですね。

学校の風景
学校の風景

緑川 近所の小学校が、夏休みの課題を学校側でいくつか出して、生徒がどこに行くか選択するそうです。夏休みのサマースクールでミナロの工場見学をしようという企画をもらったときに、見学だけではもったいないので、彫刻刀を持っているなら実習もすることにしました。小学校5・6年生で30名強ですが、初めて立体を作ったそうです。道具を使うというのはいいと思います。2年続けてやっていますので、5年生で来て、6年生でまた来た子もいます。よっぽど面白かったんだろうと思います。その経験が将来の製造業に進んでくれればありがたいですね。

同じように工業高校にも出向いて、2日間に分けて2クラスに、ケミカルウッドを持って行ってカッターナイフで削ってもらいます。大人じゃ絶対思いつかないようなものを作るのです。パルテノン神殿や、サーファー、ドラムセット。「ナタデココを作る」と言われたときに、一体どんな形になるんだろう、何言ってるんだろうと、僕の頭の中では想像できなかったのです。授業が終わる頃に見に行くと、ちゃんとナタデココになっているのです。ケミカルウッドを細かく切って、別にケミカルウッドを削りだした皿を作って、そこに盛り付けてあるのです。「ああ、これはナタデココだ、負けた。こいつすごい!」と思いました。大人じゃできない発想です。

こういう発想の子たちが世の中に出て行けば、いろいろな物ができてくるのではないかなと期待しているのです。大人になるとまず作るときに面倒だと思って、それをやらないと思うのです。でも子ども達は、とにかく自分が作りたいものに向かって一生懸命やる。年を取るといつの間にかこういう気持ちを忘れてしまいます。

大人になって物を作り始めると、お金儲けのためになってしまいます。お金は使えばなくるけれど、人と人の繋がりは使えば使うほど増えます。人との繋がりをいかにたくさん持っているかによって、お金は自然に集まってきます。

若い人たちには、いろいろなものを見て、感じで、正しい感性を身に付けてほしいと思っています。

渡辺 苦しい中から立ち上げたということがキーワードかと思っていましたが、話をお伺いしてきて、人と人との繋がりがミナロさんの会社のキーワードですね。

緑川 当社の財産は人です。

QCD 納期が最も重要

渡辺 ホームページに、コスト、スピードともに満足度日本一を目指すとありますね。

緑川 木型製作所で仕事をしているころの自分の売りは、スピードだったのです。納期を5日もらっても、2日でできれば、すぐに納品する。もう1日もらえれば、修正することもでき、それでも、納期より早く納めることができます。

渡辺 私もQCDの中で重要なのは、納期だと思っています。早めに届ければ、修正できますよという余裕ができるのです。これは社内でも同様です。提出期限までに、完璧なものでなくてもいいので見てくださいと持ってくると、議論する余裕があるのです。

緑川 サラリーマンの頃から、納期管理をして製品を納めてきました。ミナロになっても同じ姿勢ですし、ミナロの社員も同じです。納期というのは、神様みたいなもので、絶対にその日に届けなければならないものなのです。

たいていのお客様が驚かれるのですが、前の日にもらったデータが、次の日にお客様に来ていただいた時にはある程度形になっています。そこまで早い会社はないとおっしゃっていただきます。スピード、小回りを利かせるのが中小企業の生き残る道です。

お客様は、ミナロというのはありがたい存在だと言ってくださいますし、作っている我々にとっても心の余裕があります。

渡辺 お客様の信頼を得るためには、品質確保も必要ですが、何よりも納期です。納期という言葉には、完成品を納めるということと、途中途中でここまでできていますという報告と両方あると思います。

緑川 あると思います。ある大企業から仕事をもらった時に、すべてスケジュールを出すように言われました。スケジュールを書くより、その時間で製作したほうが早くできます。スケジュールを書いても、予想以上に時間がかかる部品もあれば、早くできる部品もありますから、その通りにはいかないものです。スケジュールを出しましたが、お客様は、とても心配されている様子でしたので、「作っている現場を見に来てください。」とお願いをしてミナロに来ていただきました。

最初はちょくちょく見に来られていましたが、最終的には納期の1日前に納品することができました。

その次にいただいた仕事は、本当に短納期でしたが、お客様はミナロに任せると言ってくださり、今度はミナロに見に来られることもありませんでした。

お客様の信頼を勝ち取るには、いかにお客様のニーズに応えるかです。ニーズとは、納期です。

NDESさんの対応も早いです。問い合わせをしても、すぐに返事をくれますので助かります。

製造業を元気にするメッセージ

渡辺 世の中も大変な状況になっています。私も社内で自分が暗くなってはいけないと思っているのですが、緑川社長から元気になるようなメッセージは何かございますか。

緑川 ミナロ自体が7年前にどん底の状態から起業したのです。僕の中では当時は今より悪い状況だったのです。でも今までやれているのは、ミナロが歩んできた過程の中で、それまでと違ったやり方をしたということに答えがあるのではないかと思います。僕もまだ見つけられていませんが、縛られないのがいいのではないのかなと思います。ミナロをやる前はサラリーマンだったので縛られる側でしたが会社の社長となったら縛る人は誰もいない。自由にやってきて、それが今存続できているというのはひとつあると思います。

渡辺 今はどの会社も大変な状況ですが、こういうことだけは考えた方がいいよというメッセージはございますか。気持ちの問題になるかもしれませんが。

緑川 まさに精神論になってしまいますね。僕が起業したときにまず考えたのは、会社のトップになったら失敗できないわけですね。そのときに、仲のいい保険屋さんに、「これから会社を作るけれど、お金が払えなくなったら、命で払える保険はないの」と聞いてみたのです。残念ながら、ないのですね。僕の中では、腹をくくった以上、失敗したら命に代えてでも清算したいという思いでスタートしました。

崖っぷちに立たされて、つまずいたら落っこちるという状況を経験したら人はたぶん強くなると思います。今までだったら泣き寝入りしていたことであっても、言うべきことはちゃんと言ったほうがいい。いい子で我慢していたことも、自分達にとってはよくないと思ったら口に出して言うようになる。言い続けることによって、独自の特色が出てくると思います。ミナロはそれをホームページを使って発信することによって、いろんな人がミナロを見つけてくれて、注目をしてもらって、メディアなどでもミナロを取り上げていただいているということだと思います。

みんなを元気にさせる言葉なんて言ったところで薄っぺらになると思います。みんな一度腹をくくってみろということでしょうか。

渡辺 私もいつも考えるのですが、世の中大変だ大変だと言って傷を舐め合っていても仕方がないと思いますね。

緑川 大変なら大変ななりに何かしないといけない。だから何かする側に行きなさいということでしょうか。

2.5次産業

緑川 第2次産業が我々ものづくり、第3次産業がサービス・販売ですね。その両方をやってしまおうということで、2.5次産業と勝手に名前をつけています。

我々は製造業ですからものを作ることはできるのですが、お客様から注文をもらったものしか作っていなかったですし、仕事の量も納期も価格も結局はお客様次第です。せっかく物を作れるいい技術があるのに、自分達のやりたいようにできない。たまには自分達の好きなものや自分の欲しいものを、好きな数、好きな値段、好きな納期で作って、それを自分達でインターネットや、口コミで売るという製造業の新しい経営スタイルです。暇なときに作っておけます。製造する側が主体となるものづくりから販売までのやり方です。

このひとつに、動いていて見えないものが見えたら面白いだろうと、「ML Flasher」を作りました。振動したり回転している物は、人間の目では残像が見えるだけで、その実体を見ることができません。そこへこのML Flasherの発光をあてると、あたかも止まっているかのようにハッキリと実体が目視できます。これは動いていて止められない物を、動いているときに点検したり確認するための装置です。

これは、大企業に購入いただきました。

NDESに期待するところ

渡辺 緑川社長には、GRADE、Space-Eと20年にわたって当社のシステムを使っていただいていますが、最後にNDESへのメッセージ、期待することについてお話いただけますか。

緑川 NTTデータのグループになったのですから、今までの延長線上のCADベンダーではないところに突き抜けていってほしいですね。見上げたらいつの間にか殻はなくなっているはずなのです。でも、飛ぶことを忘れた人たちはいつまで経っても飛べないのです。そこを飛び立ってほしい。そういうところに期待したいです。

ユーザ同士、あるいは大手のお客様とユーザを結びつける機会を作っていただきたいです。NDESさんならそういうセッティングもできるでしょうから、会社見学を企画されてはどうですか。

渡辺 その地域の中ではお客様はよくご存知だと思うのですが、他の地域との交流がなかなかないですね。

緑川 NDESユーザの会社見学だったり、ユーザを募って大企業に会社見学をさせてもらったり、我々のような小さな会社ではできないことを計画していただけたらいいなと思います。

また、そこに集まった人たちと交流することも面白いのです。年代が近いとか似たような業種であればすぐに仲良くなれますから、仕事で困ったときなど手伝ってもらえる可能性もあります。

渡辺 そういう目的で集まってきた人たちでまた輪ができるということもあるのですね。

緑川 やはり、人と人との繋がりが重要です。

渡辺 今日は、工場も見学させていただき、お話をお伺いするなかで、ミナロさんのいろいろなキーワードを聞かせていただき、大変参考になりました。本当にありがとうございました。

会社プロフィール

株式会社ミナロ

URL http://www.minaro.com/(外部サイトへ移動します)

2002年 株式会社ミナロ 設立
所在地 〒236-0004 神奈川県横浜市金沢区福浦二丁目13番地34
営業品目 ・治具・検査治具(検具)
・ケミカルウッドやアクリル等の樹脂でモックアップ、木型の製作、アルミや真鍮等の金属加工
徹底的に効率化を追求し、コスト・スピードともに日本一を目指す。品質管理の厳しい自動車メーカ様から信頼を頂ける仕上がりはミナロの自信作です。
【株式会社ミナロの情報発信】
並木第四小学校 サマースクール講師(2008/7)
小田原城北工業高校 キャリア教育の講師(2008/5)
デザインフォーラム パネラー(2008/3)
「環境と人に優しいモノづくり経営者の会」ミナロ見学(2007/5)
日経新聞掲載(2007/1)
NHK「ラジオあさいちばん」出演(2006/8)
TV神奈川に出演(2006/8)
TBSテレビ「筑紫哲也NEWS23」に出演(2006/5)
ブログ作者と自民党幹部との懇談会(2005/7)
朝日新聞政治面に掲載(2003/8)