営業本部 AMビジネスユニット 営業部 事業戦略課 竹内 典子 |
はじめに
2014年11月25日から28日までドイツのフランクフルトでEuroMold2014が開催されました。本来EuroMoldは金型や加工に関する技術展ですが、3つある展示ホールのうちのひとつが、全て3Dプリンター関連の展示場となっており、産業用のハイエンド3Dプリンターから安価なパーソナル3Dプリンターまで、さまざまな装置が会場内に並びました。産業用途としては、航空機部品や医療用インプラントなど実際に製品として使用されているものや、量産で使用されている金型などが展示物の多くを占めていました。2013年までと比べて実際の適用事例が増えていることが印象に残る展示でした。
EuroMoldでのEOS社



遠隔地から複数の装置をモニタリングでき、レポーティングやメール通知機能を持つ管理ソフトウェア。
写真、資料提供:EOS
EOS社は例年、入口を入ってすぐの場所にブースを構えており、ブースのサイズも広く存在感があります。
EOS社の2014年の展示テーマは、「Experience Additive Manufacturing Quality」でした。このテーマは、造形物が高品質であるだけでなく、その「品質」を保証するためのソリューションや取り組みが重要であるというメッセージです。EOS社のブースには、品質を重視した実際の活用事例が多数展示されており、装置や造形物以外にも、装置の安定稼働や品質保証のためのモニタリングソフトウェア「EOSTATE ANYWHERE(開発中)」が紹介されていました。このモニタリングソフトウェアでは、一層ごとに内蔵カメラで撮影した「材料を撒いた後の状態」および「レーザーを照射した後の状態」を、タブレット端末などで遠隔地からリアルタイムにモニタリングすることができます。同時に造形チャンバー内の温度や酸素濃度など実際の造形条件が確認できます。また、それらの情報は、データベース化されており、目的に応じた形式で出力することで、品質管理やノウハウ蓄積に利用できます。さらに、造形物に問題があった場合は、その原因の特定に役立てることもできます。
多くの新興装置メーカーが装置の展示に注力する中、EOS社の品質管理に対する取り組みは特徴的であり、その点が本格的なハイエンド3Dプリンターを求めている来場者に高く評価されていました。
コンサルティングサービス
EOS社は、お客様のハイエンド3Dプリンターの導入効果を最大限に引き出すため、コンサルティングサービスを開始しました。3Dプリンティングの技術を活用して最終製品を製造する際に課題となる設計や造形条件の最適化をサポートします。日本では、私たちが同様のサービスを行っており、ご利用いただいたお客様からは高い評価をいただいています。
EOS M400-4(仮称、開発中)

EOS M290 で造形されたチタン64 製のブレーキペダル。無垢のアルミ製(写真左)からラティス構造のチタン製(写真右)に設計を最適化することにより軽量化と強度向上を達成。
写真提供:Materialise, EOS
2013年のユーロモールドで、大型金属造形機EOS M400(以下、M400)が発表されました。この装置の造形チャンバーは、400mm×400mm×400mmの大きさです。そして、1kW高出力ファイバーレーザーを搭載し、高速で大型の部品を製造できる装置です。材料は、アルミとインコネルが使用でき、特に航空機部品の製造で使用されています。今回は、このM400の別バージョンといえるEOS M400-4(以下、M400-4)の造形サンプルが展示され、注目を集めました。M400-4は、4機の400Wファイバーレーザーが400mm×400mmの造形エリアを分担して照射し、4つの3Dプリンターが同時に造形を行うような仕組みです。そのため、4レーザーで比較的小さな部品を効率的に生産したり、大きな部品を短時間に生産したりすることが可能です。またM400-4には、EOSINT P(プラスチック)やEOSINT S(砂)で使用している高度な複数レーザー制御技術が生かされています。この製品化は、2015年以降を目指して開発が進められています。

設計最適化により従来品より40%軽量化を実現。造形時間は2個セットで41時間。
写真提供:Altair, RUAG

複雑な形状を一体造形。
写真提供:AEROMARITIME

(燃焼器)
M280で造形され、表面処理が施されたインコネル製の部品。
写真提供:MMP, EOS
まとめ
今回のユーロモールドでは、EOS社のブースにも2013年以上に多くの日本のお客様にご来場いただきました。これから本格的に3Dプリンターをご検討されるお客様、既に導入され先進的な活用方法を探されているお客様もいらっしゃいました。
すでに、3Dプリンティング技術は新しい加工技術として認知されています。今後、これまで以上に「どう生かすのか」が出展社および来場者の関心事になっていました。
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