人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.77 | お客様事例
金型や治具の設計・製作から手がけ
お客さまのニーズに応える

一井工業株式会社様は、本社・岡山工場と総社工場、福岡県の九州工場の3拠点で自動車の重要な構成部品であるボディーパーツや内外装部品を生産する自動車の部品加工メーカーです。製品設計の計画段階から参画して工法計画を立案し、金型および治具設備の設計・製作、部品生産まで一貫した体制を確立しています。

そして、お客さまに高品質・高精度の製品を短期納入する生産体制を支えるシステムの一翼を担うのが、NDESのソリューションです。スプリングバック解析が可能な「Space-E/Press+(順送プレス金型設計)」およびManufacturing-Spaceなどの活用法と効果を伺いました。

より良い自動車部品を提案

専務取締役 井川 直樹 様
専務取締役 井川 直樹 様

当社は、自動車ボディー骨格部品や内外装部品のプレス加工を中心に、単動型プレス、順送型プレス、溶接組立加工の加工技術を製品開発段階から織り込み、生産性の向上と品質の向上をベースにコスト競争力のある製品を数多く生み出しています。そして、「品質第一」を合言葉に、「お客さまに満足いただける品質で、かつ品質不良ゼロ」「お客さまに満足いただける価格」「指定時間通りの納入」の目標を実現できるよう、生産部門の従業員はもちろん、全社一丸となって業務の改善・合理化活動に取り組んでいます。

当社の強みは、岡山県に生産拠点のある三菱自動車工業様をはじめ、多くの自動車メーカー様とお取引いただいていることです。そして、各社の部品の特長を把握してきたことで、その「生きた技術」がノウハウとなって蓄積され、今後さらに優れた部品をご提供することができると考えています。

例えば、燃料の給油口の扉と受け口の両部品をセットで受注して品質を保証しています。特に給油口の扉は自動車の外観デザインと関係するため、繊細なデザインに違和感なく取り付けるには両部品の精度が重要となります。また、部品をセットで受注することで、その治具に関しても共通化のご提案ができます。いろいろな種類の部品がありますが、類似の形状であれば、その形状を工夫することで簡単な治具で汎用設備を使用できるため、設備のコスト削減につながります。

フロント フェンダー エプロン
フロント フェンダー エプロン
バック ピラー パネル
バック ピラー パネル
ルーフレール ブレース
ルーフレール ブレース
フュラドア パネル
フュラドア
パネル
フュラネック ブラケット
フュラネック
ブラケット
門型マシニングセンター
門型マシニングセンター
工場内の設備
工場内の設備

金型の設計・製作を自前で

高張力鋼板にも対応した金型を自社で製作

生産技術部 部長 兼 総社工場長 原 康道 様
生産技術部 部長
兼 総社工場長 原 康道 様

自動車メーカー様は、環境へ配慮し、部品の軽量化による低燃費と高い安全性を追求されています。その結果、自動車ボディーは「より強く」、「より薄く」することが命題になっています。シャシーなど骨格部品に限らず、ドアやシートなどの部品もより強く、より薄くすることが求められており、最近は高張力鋼板(ハイテン材)を使うことも多く、スプリングバックは難易度を増し、新たなノウハウが求められています。

また、お客さまの要求は高度化、複雑化する一方、コスト削減も欠かせません。そのため、図面段階からドロー工法ではなく、材料を無駄なく加工できるブランク工法に変わってきています。当然、金型も難しくなり、特に難しい金型の設計・製作は外注に出さずに、プレス金型設計に適したCAD/CAMを活用して社内で行っています。

サポート面でも安心なSpace-Eを導入

NDESの3次元CAD/CAMシステム「Space-E」を総社工場に導入したのは2001年頃のことです。以前、他メーカーのCAD/CAMを利用していましたが、自動車の板金、プレスには向きませんでした。そこで、CAD/CAM採用の第一の要件として、プレス金型向けシステムであることを前提に検討した結果、Space-Eを導入しました。

そのとき、海外メーカーのソフトウェアも検討しましたが、機能のバージョンアップやサポート面で国内メーカーのSpace-Eのほうが安心できると判断しました。さらに、プレス加工などの技術革新は目覚ましく、CAD/CAMシステムを含め技術開発面に注力しないと他社に後れをとってしまいます。その点、Space-Eは機能面の強化など定期的にソフトウェアのバージョンアップに対応してくれる点が心強いと感じています。

また、NDESは岡山市にサービス拠点を構え、サポート体制もしっかりしているので、安心して業務が行えます。そのうえ、Space-Eを利用する金型メーカーが多いということも安心感につながりました。

Space-Eのほかには、CATIA V5を導入しています。現在、CATIA V5はお客さまから提供されるCATIA V5の設計データの受け取りやデータ変換などに利用しています。

型モデル1(Space-E)
型モデル1(Space-E)
荒加工経路1(Space-E)
荒加工経路1(Space-E)
隅取り加工経路1(Space-E)
隅取り加工経路1(Space-E)
型モデル2(Space-E)
型モデル2(Space-E)
荒加工経路2(Space-E)
荒加工経路2(Space-E)
隅取り加工経路2(Space-E)
隅取り加工経路2(Space-E)

金型の精度を向上

トライ回数を半減

2014年9月には「Space-E/Press+(順送プレス金型設計)」(以下、Space-E/Press+)を導入しました。導入に際し、いくつかのシステムを比較・検証して、Space-E/Press+は実際にトライして製品になったときの形状とブランク展開の結果が最も近かったことが導入の決め手となりました。

昨今、部品生産を受注し、納入するまでの期間がますます短くなっており、金型の製作期間についても短縮しなければなりません。このSpace-E/Press+は、トライ回数を半減でき、金型製作のリードタイム短縮とコスト削減に大きく貢献しています。

非接触測定機とスプリングバック

本社・岡山工場で新たに非接触測定機を導入したことも、Space-E/Press+を導入するきっかけになりました。非接触測定機は、製品精度を確認するという役割以外に、金型製作にも利用しようとSpace-E/Press+と組み合わせた運用を始めています。非接触測定機で製品形状を測定し、その測定データをSpace-E/Press+に取り込んで、レ・フィット機能を使うことでスプリングバックを見込んだ形状に自動変形させることができます。かつては人手で計測し、その数値を基にスプリングバックの見込みを経験値で調整してきましたが、レ・フィット機能を使うことで、作業工数の短縮につながっています。

Manufacturing-Spaceサービスを活用

場所の制約なくSpace-Eを利用

工機課 課長 浅沼 圭三 様
工機課 
課長 浅沼 圭三 様

Space-Eの利用に際しては、Manufacturing-Spaceのクラウドネットワークライセンスサービス(以下、クラウド)を活用し始めています。これまでは総社工場にCAD/CAMシステムなどを配置し、金型の設計・製作を行ってきましたが、本社・岡山工場の生産技術部門でもCAD/CAMシステムや非接触測定機の測定データを利用するニーズが出てきました。その際、NDESから提案されたのが、どこでもSpace-Eを利用できるクラウドです。本社・岡山工場に加え、今後、九州工場でも必要に応じてSpace-Eを利用できるシステム環境を整えておく狙いもあり、同サービスを利用することにしました。

クラウドの利点は、ソフトウェアをパソコンにインストールしておけば、場所の制約なく利用できることです。ライセンスがあいていれば、使い慣れた個人のパソコンで自由に操作できます。また、総社工場から岡山工場の技術者にSpace-Eの操作方法を教えるなど、手軽に遠隔から指導できるメリットもあります。

CAD/CAM操作の人員確保

CAD/CAM室
CAD/CAM室

金型業界は仕事に山谷があるので、仕事が最大になったときのCAD/CAM操作の人員を確保することは厳しい状況です。現在、Space-Eの操作は総社工場の従業員が担当しており、業務が集中すると負荷が高くなりがちです。そうしたとき、クラウドを活用して本社・岡山工場の従業員がサポートすることで仕事量が増えたときの対応ができます。

今後の展開

外注先の負荷を軽減

当社では数百点に及ぶ自動車部品を生産しています。この生産している部品のすべての金型を内製化するのが理想ですが、納期の関係もあり、製作の7割以上は金型メーカーに外注しているのが実情です。

近年は自動車部品の複雑化に伴い、製作する金型の難易度も高くなっています。例えば、高張力鋼板などの難易度が高いスプリングバックもあり、金型が完成するまでの負担が大きくなります。そこで、スプリングバックの見込みデータを外注の金型メーカーに提供し、データを活用してもらう構想もあります。これにより、外注の金型メーカーの負担を軽減できれば、金型の納期短縮とコスト削減につながり、当然、当社においても金型検査の回数が減るため、負担が軽くなります。

営業活動にもクラウドを活用

クラウドを利用してSpace-Eをフル活用していくことも今後の取り組みの一つです。例えば、営業担当者がSpace-Eをインストールしたノートパソコンを取引先に持ち込み、クラウドを利用してブランク展開しながら商談するといった使い方も考えられます。実際の3Dモデルを操作しながら説明できるので、スムーズな打ち合わせや商談ができます。

NDESへの期待

より利便性の高いソフトに期待

Space-Eのほかにも、CAD/CAMを導入しているので、それぞれ異なる操作を覚えるのが大変です。また、データ変換も必要ですから、同じCAD/CAMで操作できれば作業効率もアップします。できれば、金型設計から加工データの作成までをSpace-Eで統一することも考えたいので、使い勝手の良い操作、機能開発に期待しています。

今後もビジネスパートナーとして、当社とNDESの両社の事業成長に役立つ情報交換を積極的に進めていきたいと考えています。

おわりに

QCサークルの金賞賞状とクラフトマン一部のメンバー
QCサークルの金賞賞状と"クラフトマン"一部のメンバー

総社工場を取材で訪れたとき、CAD/CAM室の壁一面に飾られた数多くの表彰状を拝見しました。これは、製品・サービスの価値を向上させる全社VE提案活動と品質管理のQCサークル活動に対する表彰だそうです。総社工場工機課は、"クラフトマン"というQCサークル名で、納期短縮の工法の提案により、平成26年度QCサークル活動で栄えある金賞を受賞されました。

大変お忙しいところ、貴重な時間を割いてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

会社プロフィール

本社工場
本社工場
総社工場
総社工場

一井工業株式会社

URL http://www.ichii-ind.co.jp/(外部サイトへ移動します)

本社・岡山工場 〒701-0202 岡山県岡山市南区山田2117-3
設立 1970年5月
資本金 8,000万円
従業員数 本社・岡山工場 140名
総社工場 11名
九州工場 123名
事業内容 自動車の部品加工、
特殊ボディー製造、金型・治具設計製作、
試作品特殊板金加工
総社工場 〒719-1121 岡山県総社市赤浜1020

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