人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.80 | システム紹介
つなぐ・ためる・わかる技術が進化した
身の回りにあるIoTとは
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
開発本部 サービス開発統括部
統括部長 髙岡 隆裕

はじめに

2015年6月23日に株式会社NTTデータよりプレス発表のありました「IoTを用いた製造業向けメンテナンス業務高度化の実証実験」について、NDESの取り組みをご紹介するとともに、身の回りのものを例にしてIoTをご説明します。この記事を読まれてIoTに興味を持っていただければ幸いです。

IoTとは

IoTとは、Internet of Thingsの略称で、モノのインターネットといわれていますが、基本的な技術は現在の皆さんの周りにある

  • つなぐ技術(インターネットとの通信)
  • ためる技術(コンピューターのハードディスクやメモリに情報を格納すること)
  • わかる技術(コンピューターのCPUで情報を整理、分析すること)

を利用したものです。

では、なぜIoTという言葉が最新技術のように取り上げられているのか。それは、上記の技術において、広さ、大きさ、速度が飛躍的に向上したからです。そうなると何が起こるのでしょうか。

つなぐ技術が広くなると

通信網の発達によりインターネットにつながる地理的範囲が広くなり、スマートフォンのような小さな通信装置ができたことによって、さまざまなモノに通信する機能の付加が可能となりました。さらに、小型GPS装置のおかげでモノの位置情報の取得ができるようになりました。一番身近なものでいえばカーナビゲーションです。

また、ワールドカップでの活躍により最近話題のラグビーですが、なんと練習にGPSを活用することにより、各選手の走行の距離、速度、軌跡、時間帯による変化などをデータ取得して分析し、試合に役立てているそうです。GPS装置は、上着の首の後ろに小さなポケットがあり、そこに格納されていました。

ためる技術が大きくなると

ハードディスクやメモリーなど記録媒体の小型化、大容量化、そして価格が下がったことで、さまざまな情報の選別が不要になり、また、動画や音声などのリアルタイム性のあるデータを圧縮することなく大量に格納できるようになりました。このことは、コンピューターの世界に革命をもたらしたといわれています。いわゆる「ビッグデータ革命」です。では、ビッグデータを使って何ができるのでしょうか。

少し乱暴な言い方ですが、コンピューターに考えるためのプログラムがいらなくなったようなものなのです。1997年にIBMのディープブルーというスーパーコンピューターが初めてチェスの世界チャンピオンを破りましたが、当時、より複雑なルールのある将棋については、人間に勝つことはできないといわれていました。しかしながら、2010年にコンピューターが女流王将のプロ棋士に勝利したのです。しかもそのプログラムの作者は将棋初心者の科学者でした。

このプログラムは、過去のプロ棋士による対局の棋譜から自動的にパターンを見つけ出すため、膨大な棋譜データを記憶して、盤面でどの手を指すのが最も効果的かをパターン判断していたのです。つまり、コンピューターに答えを導き出す式を教えるのではなく、膨大な数の式と答えを覚えさせているわけです。

例) X+Y=Z
ではなく1+1=2、1+2=3......1+1000=1001

実はプロ棋士も頭の中では同じことを行っているという話を聞いたことがあります。

わかる技術の速度が上がると

何十年にもわたってコンピューターの頭脳であるCPUの速度も飛躍的に上がってきました。30年ほど前にCAD/CAMを動かしていたEWSなどよりも現在のスマートフォンの方が高性能なことは明白です。つまり、皆さんはかつて机2台分を占領していたコンピューター以上のものを毎日ポケットに入れて持ち歩いているのです。最近では、時計型やリストバンド型のウェアラブル端末など、より小さく高性能化が進んでいます。忘れてはいけないのが、皆さんの身の回りのもの、洗濯機や冷蔵庫にもコンピューターが入っているということです。

そして、全てのモノがインターネットを通じてつながったある日、洗濯機からあなたのスマートフォン宛てに「○○製の白いパーカのポケットの中に携帯音楽プレーヤーを忘れてますよ」と通知があり、洗濯開始をストップしてくれることが可能となるのです。

IoTを用いた製造業向けメンテナンス業務高度化とは

全自動運転が実現した未来のメンテナンス
全自動運転が実現した未来のメンテナンス
(クリックすると拡大画像が表示されます)

NDESが3Dプリンター向けにご提供している保守業務は大きく二つに分かれます。

一つ目は定期保守で、これは自動車で例えると車検のようなものです。定期的に必要な保安部品を交換し、重要箇所をチェック・メンテナンスすることによって突発的な故障を未然に防ぐための予防措置です。

二つ目はオンコール保守で、これは予期せず起こった故障に対して技術スタッフがお客さまを訪問するサービスです。自動車に例えると動かなくなった自動車を修理するサービスに該当します。当然のことですが機械が故障している間は、お客さまは機械を稼働できません。このような状態を一般的にダウンタイムといい、このダウンタイムを最小化するためにはどうするのか。例えを自動車に戻しますが、皆さんの自動車に専用メカニックがいて、毎日利用した後に、

運転手
「今日は100キロメートル程度走ったよ、そういえば、ここに到着する直前に右後ろのあたりから、少し変な音がしたような気がする。それとエアコンの調子がよくないんだけど」

メカニック
「そうですかわかりました。それでは、後ろ側のサスペンション回りとエアコンのチェックをしておきますね」

このようなメンテナンスが毎日行われていれば、あなたの自動車は大きな故障もなく走ることできますが、これは現実的ではありません。ところがIoTを利用すれば、これが可能となるのです。自動車のあらゆる情報をさまざまなセンサーで取得し、その情報はインターネットを通じてメーカーやディーラーの分析を受け、各自動車に適切なメンテナンス内容を通知し、そのメンテナンスを各ユーザーは受けることができるのです。

さらに車の全自動運転が現実になると、夜中に車自身がメンテナンス工場へ行って戻るという時代も来るかもしれませんね。

少々話が飛躍しましたが、全てのモノがインターネットでつながると、もはやハードウエア、ソフトウエアの垣根がなくなるかもしれません。

おわりに

NDESは、株式会社NTTデータおよび株式会社JSOLとともに、お客さまの協力を得て3Dプリンター向け保守メンテナンス業務にIoT技術を適用する実証実験を開始しています。

NDESは、この実証実験で得たデータを分析し、お客さま導入機器のダウンタイム最小化に向けて取り組むとともにIoT時代を見据えたさまざまな技術を利用して、お客さまの業務改善・効率化に向けたご提案をいたします。

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