人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.80 | システム紹介
沖縄マニファクチャリングラボにおける
5軸加工機能の技術開発
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
開発本部 ソリューション開発統括部 基盤ソリューション開発部
CAD/CAMソリューション課 課長 堀川 茂稔

はじめに

沖縄マニファクチャリングラボでは、金型加工の生産性向上を目的とした技術開発を行っています。現在、取り組んでいる技術開発は、3軸から5軸加工における工程最適化・割り出し加工、4・5軸加工機能です。次期Space-E/CAMおよびManufacturing-Spaceに搭載予定や開発途中の機能もありますので、いくつかご紹介いたします。

4軸自動干渉回避

図1 同時4軸加工
図1 同時4軸加工[人とシステム No.78]
(クリックすると拡大画像が表示されます)

傾斜軸を固定して、回転軸のみ制御する同時4軸加工において、テーブルの動作がスムーズになるような制御方法を追加しました。これにより、急激な速度変化による仕上がり面の傷を防止できます(図1)。

本機能はSpace-E/CAM Ver.5.4に搭載しています。

割り出し角度の算出

割り出し加工の支援機能として、GPU(グラフィックスプロセッシングユニット)を利用した工具最小突出し長さと工具軸を算出する機能を開発中です。これにより、割り出し角度の検討にかかる時間を最大で約60%削減できる結果を得られています。その上、割り出し方向を算出するとき、加工経験者の勘であれば迷っていると次の作業に移れないため、見込みで決めることになりますが、割り出し角度を算出する支援機能であれば、最良の割り出し方向を決めることができます。

また、突出し長さの最適度が手作業よりも高くなることも確認できています。テストケースでは、最大5.4ミリも突出し長さを短くでき、副次効果として工具負荷低減に効果があることを実証しています(図2)。

図2 開発中の機能と加工経験者の比較
図2 開発中の機能と加工経験者の比較

5軸荒取り

5軸加工の生産性向上を目的に、5軸荒取り加工の検討を行っています。これが実現すると、金型形状から部品加工までさまざまな形状に対して5軸加工で荒取りが行えるようになります。

具体例の紹介

5軸荒取り機能の活用シーンおよびメリットを挙げます。

深物金型の加工

オイルパンの金型のように加工形状が深い場合、小径工具ではシャンクや焼きばめホルダが干渉するため、割り出し加工を行う必要があります(図3)。

この割り出し加工の回数が少なければ手間もかかりませんが、CAD/CAM操作と割り出し加工の準備を繰り返すため、5回以上の割り出し加工を行う場合は、かなりの工数増になります。このため、作業者の負担が大きくなり、その結果、ケアレスミスを誘発することも考えられます。このような場面に5軸自動回避が可能な5軸荒取り機能を活用することで、割り出し方向やホルダ干渉を気にすることなく、加工ができるようになります。

図3 深物金型の加工(左:割り出し方向 / 右:同時5軸経路)
図3 深物金型の加工(左:割り出し方向 / 右:同時5軸経路)

工具軸設定が複雑な形状

現在の5軸加工機能では、工具軸設定により加工時の工具動作を制御します。しかし、複雑な形状においては設定に手間がかかることがあります。

例えば、以下の形状のように内側と外側の間口が細く、焼きばめホルダが通らない形状の場合には、加工範囲を区切ったり、工具軸方向を制御するガイドカーブを適宜設定したりします。このように、ホルダを干渉させないために試行錯誤を行い、最適な工具軸の設定ができるまで繰り返す必要があります。

こうした形状においては、工具軸の制御を自動的に行う干渉回避機能はとても有効です(図4、5)。

図4 加工途中の写真
図4 加工途中の写真
図5 工具軸設定が複雑な形状
図5 工具軸設定が複雑な形状

起伏の多い形状

立ち壁の下部に小径フィレットがあるような部位の加工は、3軸加工であれば工具突出し長さがとても長くなり、安定した加工ができません。そこで、突出し長さを短くしたツールセットにて加工するため、同時5軸加工へ変換する機能を開発しました。これにより、ホルダが干渉しないように工具軸を傾斜させることで安定した加工ができます(図6、7)。

図4 加工途中の写真
図6 工具のシャンクやホルダが干渉しない経路
図7 起伏の多い形状
図7 起伏の多い形状

ギア形状

図8 沖縄マニファクチャリングラボで加工した形状
図8 沖縄マニファクチャリングラボで加工した形状

ギア形状のような部品加工形状においても、5軸荒取り機能は効果を発揮します。これまで、工具のシャンクやホルダの干渉を避けるために工具軸の設定で手間がかかっていた加工形状に対して、自動的に干渉を回避できます(図8)。

おわりに

今回ご紹介した5軸加工機能以外にも、実際の加工にトライしながら既存の3軸加工機能のブラッシュアップも実施しています。技術開発の成果については、随時Space-E/CAMおよびManufacturing-Spaceに反映する予定ですので、ご期待ください。

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