~生産準備業務の効率化を目指す~
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 営業本部 MSビジネスユニット 営業部 企画課 阿部 昭久 |
はじめに
2016年3月末にSpace-Eの最新バージョンであるVersion 5.5をリリースしましたので、その概要をご紹介します。Version 5.5は、前回までのバージョンアップと同様にCAM機能の拡充をメインテーマとし、さらにお客さまの業務効率化やミスの低減につながる機能改善を実施しています。
ぜひ、お客さまの業務効率をより一層高めるためにもVersion 5.5をご利用ください。
Space-E/CAM
計算処理ロジックの改善
従来の計算ロジックを改善したことにより、「等高線荒取り」「等高線仕上げ」「面なり」「ガイドカーブ」において、CL計算の高速処理ができるようになりました。従来機能との計算時間を比較すると、約30%の短縮効果が期待できます(図1)。
◆改善した計算処理により、計算時間の短縮を実現できます。
【注意事項】
- 形状によって、効果が出ない場合があります。
- 計算マシンスペックにより、効果が低くなることがあります。
OS | Windows 7 Professional 64bit |
---|---|
CPU | Intel(R) Core(TM) i5 CPU 670 @3.47GHz 3.60GHz |
メモリ | 8GB |
初期値変更の数式対応
Version 5.4では、各機能の『パラメータ初期値』を見直しました。次にVersion 5.5では、一部のパラメータで数式を入力し、保存することができるようになりました。
これにより、パラメータの初期値として工具径や加工条件に適切な数式や変数を与えることができ、加工工程設計時において各種パネルのパラメータの設定漏れによる『作業ミス』が防止できます。また、操作の手数削減の効果も期待できるため、社内の加工標準化にも役立ちます(図2)。
◆数式入力を利用することで最適な値を設定でき、設定手数の削減および設定漏れの防止を実現できます。
【制限】
- インタラクティブ機能の初期値は変更されません。
- バージョンアップインストールの際は、モデルトレランスおよび機能パレットの初期値変更は適用されません。
Space-E/Modeler
STLモデルのワイヤー描画速度改善
従来のSpace-E/Modelerでは、STLデータを取り込んで追加の作業を行う際に、ビューイング処理が遅くSTLで作業することが困難でした。そこで、Version 5.5ではワイヤー描画ロジックを改善し、従来に比べてストレスのないビューイングを実現しました(図3)。
これにより、Global Deformation PLUSのようなSTLデータを参照する機能やSTLデータをもとにしたCAMデータ生成の作業などでスムーズな操作ができます。
◆STLモデルの描画速度の改善により、作業効率の向上を実現できます。
【注意事項】
要素数の多いモデルでは改善効果をご確認いただけますが、少ないモデルでは、描画に時間がかからないため、改善効果をご確認いただけない場合があります。
Space-E/Mold
モデル読み込み時間短縮
Version 5.4では、Moldファイル保存時のファイルサイズを30%削減することを実現しました。さらにVersion 5.5では、下層フィーチャを保存しなかったMoldファイルの読み込み時に、下層フィーチャを復元せずにファイルオープンできるようになりました。
これにより、Moldファイルの読み込み時間を約80%削減でき、無駄な待ち時間を解消できます(図4)。
下層フィーチャは、ユーザー部品編集コマンド実行時など、元の情報が必要となったタイミングで復元されます。
◆下層フィーチャが保存されていないMoldモデルファイルを読み込む際、
『下層フィーチャ情報を復元しない』を選択すると、待機時間の短縮が実現できます。
【制限】
部品配置数により、効果が変わります。下層フィーチャ情報を保存しているファイルは、ファイルオープン時に下層フィーチャ情報も同時に読み込むため、ファイルオープンの時間は改修前と同等になります。
おわりに
今後は、5軸割り出し作業の自動化、より高品質な仕上げ加工の実現など、さらなる加工機能の拡充はもちろんのこと、初心者や海外のスタッフでもミスなく簡単に操作を習得できるユーザーインターフェースの実現を目指します。
また、Space-Eを単なるCAD/CAMツールにするのではなく、加工ノウハウの蓄積や参照・流用など、クラウドサービスと連携することで、お客さまのものづくり環境を広角的に支援できる有効活用ツールとなるように、関連機能の充実も図ります。
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