人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
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No.84 | システム紹介
5軸加工への取り組み
沖縄マニファクチャリングラボにおける
5軸加工機能の技術開発
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
カスタマー&サービス事業本部
クラウドサービス事業部 第二開発部
基盤開発課 課長 堀川 茂稔

はじめに

沖縄マニファクチャリングラボでは、金型加工の生産性向上を目的にし、さまざまな技術研究を行っています。

今回は、Space-E/CAMおよびManufacturing-Spaceに搭載予定の機能として、既存加工機能の改良と新加工技術の開発の2点に絞ってご紹介します。

既存加工機能の改良

3D円弧アプローチと特殊隅取り機能の改良についてご紹介します。

3D円弧アプローチ

仕上げ加工において、被削材へ工具が接触していくアプローチには3D円弧アプローチがあります。これまでは、垂直円弧の後に水平円弧が続く経路となっており、前加工で仕上げた底面にキズが付く場合がありました(図1と図2の改良前を参照)。

今回開発した3D円弧アプローチは、傾斜した平面上を円弧で侵入する経路になるため、仕上げた底面にキズを付けることがありません(図1と図2の改良後を参照)。

(写真)
図1 改良前後の経路
(クリックすると拡大画像が表示されます)
(写真)
図2 改良前後の加工結果
(クリックすると拡大画像が表示されます)

この3D円弧アプローチは、等高線仕上げ、特殊隅取り、特殊ペンシルの仕上げ加工用の機能に搭載し、リリースはSpace-E/CAM Ver.5.6の予定です。

特殊隅取り

特殊隅取りの周回モードでは、折り返し部において削り残りが生じていました(図3)。

また、周回経路の接続部分が離れている場合は回避動作とアプローチが多くなっていました(図4左側:周回)。

そこで、周回経路により隅部を加工するのではなく、形状隅部を埋めていくモーフィング経路を生成するようにしました(図4右側:モーフィング)。このモーフィング経路は、外側から内側へ徐々に変化していく経路です。

(写真)
図3 削り残りの状態(周回)
(クリックすると拡大画像が表示されます)
(写真)
図4 回避動作とアプローチの改良
(クリックすると拡大画像が表示されます)

これにより、回避数を低減し削り残りのない加工結果が得られます。

新加工技術の開発

割り出し加工や5軸加工機能における新加工技術の開発についてご紹介します。

3.5軸加工

(写真)
表1 加工座標系設定と工具軸設定

割り出し加工の改良として、割り出し加工方向を自動的に算出する機能を開発しています。これは仕上げ加工用に開発している機能で、3軸経路を傾けて突き出し長さが最短になるような角度を算出します。本機能のリリースはSpace-E/CAM Ver.5.6の予定です。

一方、手動で割り出し方向を指定する場合があります。このとき、データムや平面を指定することが多いと思いますが、Ver.5.5では加工方向の設定時に「加工座標系設定」と「工具軸設定」では行えることが異なります(表1)。

現状のSpace-Eでも割り出し方向の設定では、回転角度の入力や軸定義のベクトルを指定できますが、Modeler上の形状から指定できるのは平面のみです。

今後は、自動的に割り出し方向を算出する機能やビュー方向を割り出し方向に設定できる仕組みを検討していく予定です。

経路5軸変換

同時5軸加工機能の開発方針を検討する際に市場調査を行っています。そこで、日本国内において5軸加工が普及していない理由を調査したところ、以下のご意見を伺うことができました。

・特殊な形状に使うものだという固定観念
・3軸加工で十分間に合っている
・5軸による加工方法がよく分からない

一方、既に同時5軸加工に取り組んでいる人からは以下のご意見がありました。

・割り出し加工だけでは手間がかかる
・5軸加工は手放せない

実際、同時5軸加工の活用範囲はインペラーやブリスクなどの羽根形状だけではありません。これまで工具の突き出しを長くして送り速度を遅くして3軸加工していたものが5軸加工で突き出しを短くすることにより、ビビリを抑えて短時間で加工できます。

もし、5軸加工が難しいとお考えでしたら、まずは3軸経路を5軸経路へ変換する機能をご利用ください。

今回改良した経路5軸変換機能では、3軸経路を5軸経路に変換する際にホルダとシャンクがモデルやストックに干渉しないよう工具姿勢を自動的に制御します。

これにより、簡単に3軸経路から変換した5軸経路を作成できるようになります。本機能のリリースはSpace-E/CAM Ver.5.6の予定です。

(写真)
図5 加工事例

加工事例

図5のように立ち壁の下部に小径フィレットがあり、工具軸を横に倒すことができないため、手前に倒す必要があります。この場合においてもホルダが干渉しないように工具軸を手前に傾斜させた加工を実現できます。

3軸加工で焼きばめホルダに長く突出した工具を保持して送り速度を下げて加工を行うより、同時5軸加工にてミーリングチャックに短く突出した工具で加工を行う方がリードタイムの短縮が図れます。

おわりに

今回ご紹介した内容は、実際の加工にトライしながら技術開発を行っている機能です。この機能の多くはVer.5.6でリリースする予定です。

また、Ver.5.7以降の機能についても沖縄マニファクチャリングラボにて開発を進めています。

今後、技術開発を行った機能はSpace-E/CAMおよびManufacturing-Spaceに反映する予定ですので、ぜひともご期待ください。

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