~沖縄マニファクチャリングラボの研究成果を反映~
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ カスタマー&サービス事業本部 クラウドサービス事業部 第一営業部 営業推進課 担当課長 岸本 智治 |
はじめに
2017年5月にリリースするSpace-Eの最新バージョンであるVersion5.6について、概要をご紹介します。
Version5.6では、高品質、高効率、5軸加工の機能強化をテーマとし、機能改善を実施しています。近年、5軸工作機械を導入して加工の効率化を図るお客さまが増えています。しかし、5軸加工のデータ作成は難しいと感じている方は多くいらっしゃいます。そのご要望にお応えするため、Version5.6では5軸機能の強化を行い、5軸加工のデータが簡単に作成できるように機能改善しました。
Space-E/CAM
特殊隅取り機能の改善
経路の品質向上のため従来の特殊隅取り機能に搭載されていた計算ロジックを見直し、切り込みモードに最も深い箇所からオフセットして形状隅部を埋めていく、モーフィング(外側から内側へ徐々に変化させている)経路の作成を可能にしました。このモーフィングモードを利用することで、周回モードよりも高品質な経路を作成できます。
これにより、回避する回数を低減できるので削り残りのない高品質な加工結果が得られます(図1)。
高品質な仕上げ加工の実現
従来のアプローチ方法を見直し、工具の接触面を最小限に抑えたアプローチ方法に変更しました。
これにより、工具負荷を軽減した高品質な仕上げ加工ができます(図2)。
5軸経路の自動干渉回避
3軸加工機能で作成した経路をもとに自動的に工具の傾き情報を付加する機能があります。Version5.6では、この機能におけるストック形状の認識を可能にしたことで、仕上げ経路だけでなく荒取り経路も作成できます。
また、同時5軸経路を利用することで自動的にシャンク・ホルダの干渉を回避できます。このように5軸経路の作成が簡単になると、今まで放電加工が必要だった形状は、直彫りが可能となり納期が短縮できます。また、割り出し回数が多い形状も工程の集約により加工工数が大幅に削減できます(図3)。
5軸加工/割り出しの自動化(仕上げ)
これまで5軸加工における割り出し角度は、熟練者がさまざまな経験とノウハウをもとに決めていました。Version5.6では、この割り出し角度を自動算出し、さらに工具突出し長の自動算出も実現しました。これにより、割り出し加工における手間を大幅に削減するだけでなく、より簡単に5軸経路の作成が可能です(図4)。
Space-E/Modeler
STLデータ比較・評価機能
実際の製品とCADデータの誤差を評価することを目的に、測定したSTLデータとSpace-Eのデータを比較し誤差を判定する機能を追加しました。この機能は、高精度なモノ作りに役立ちます。使用用途に応じてご活用ください(図5)。
①指定した位置の誤差値をバルーン表示します。
②誤差判定結果をCSVファイルへ出力します。
Space-E-JT DirectTranslator(オプション)
国際標準化機構(ISO)に認証されているJTフォーマット*に対応するため、Version5.6からSpace-Eのオプションとして、Space-E-JT DirectTranslatorを追加しました。主要なエンタープライズCADシステムで利用されているJTフォーマットを扱うことで、データ授受の幅を広げることができます。
*:JTフォーマットは製造業界向けの高性能で軽量、柔軟なファイルフォーマットです。
Windows 10の対応
Version5.6からマイクロソフトWindows 10 Pro(64bit)に正式対応します。Windows 10に対応することで、パフォーマンスの向上およびセキュリティーの強化を実装した最新のハードウエアでSpace-Eをご使用いただけます。
おわりに
Version5.6のCAM機能については、沖縄マニファクチャリングラボの研究成果を反映しています。引き続き、既存機能のブラッシュアップや5軸加工の機能アップ、クラウドサービスとの連携など、さまざまなサービスの向上に向けて取り組んでいきます。
また、Webからの情報提供やサポートの充実を行い、お客さまが知りたい情報をいつでもご確認いただける環境をご提供していきます。
今後もお客さまにご満足いただけるようなサービスをご提案いたしますのでご期待ください。
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