formnext 2017のご報告
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ アディティブ・マニュファクチャリング事業部 営業部 担当部長 川村 孝慈 |
formnext 2017

Additive Manufacturing(以下AM)を中心とした、最先端の技術が集う国際見本市であるformnext 2017が去る2017年11月14日(火)から17日(金)までの期間、ドイツ・フランクフルトにおいて開催されました。formnext 2017にはEOS社が出展し、私たちも同ブースにて日本のお客さまをお迎えしました(図1)。
今回のformnext 2017には、470社が出展し、4日間の来場者は21,429人でした。これらの数字は前年に比べて50%以上増えており、この展示会の注目度がより高くなっていることが分かります。
formnext 2017の開催目的としては、来場者にAM と従来の製造方法のユニークな組み合わせによる次世代のインテリジェントな生産方法を提示し、来場者の皆さまが製品のアイデアをより早く最終製品として世の中に送り出すことを掲げていました。
EOS社の新製品EOS P 500

造形領域:500 mm×330 mm×400 mm
積層厚:0.06 mm~0.18 mm
レーザータイプ:CO2×2 70ワット
【サイズ】
システム:3,400 mm×2,100 mm×2,100 mm
重量:約7,000kg
EOS社はformnext 2017において、競合製品より生産性が75%向上した最新の樹脂粉末積層造形システムEOS P 500のリリースを発表しました(図2)。最近、EOSといえば金属造形というイメージを持たれている日本のお客さまは多いですが、EOS社自体は、これからの数年間は、金属に加え樹脂向け装置の需要も高まると予想しており、樹脂領域にも注力し、さらなるシェアの拡大を目指しています。
EOS P 500の主な特徴と仕様は次の通りです。
①高効率化:最大0.6m/secの速度で材料をリコーティングする革新的なリコータと、2本の強力な70ワットレーザーにより、部品ごとの製造コストを30%以上削減します。
②高柔軟性:300℃までプロセスチャンバー内の温度を上げ造形できるため、さまざまな樹脂材料に対応することが可能です。
③高品質:EOSAME機能によりエネルギーを均質化するため、優れた部品特性を持った部品の造形が可能です。
EOS社のコンサルティングサービス
EOS社は、世界中で300を超えるコンサルティングプロジェクトをサポートした経験により、お客さまがAMを活用した製品を生産できるようになるまでには4つの段階が必要だと提言しています。その各段階において下記のコンサルティングサービスを提供し、お客さまが3Dプリンターを導入してから短期間での最終製品の生産拡大までを実現しようとしています(図3)。
1.AM導入の準備段階におけるコンサルティングサービス
①AMの可能性と制限を明確にします。
②お客さまのビジネスを最大化する最適なパーツの選定を支援します。
2.アプリケーションの開発段階におけるコンサルティングサービス
①実践的なワークショップによりAM最適化設計の習得を支援します。
②AMの可能性を最大限に引き出すためのプロセス・材料の最適化を支援します。
3.生産の立ち上げ段階におけるコンサルティングサービス
①装置の配置、工場全体のレイアウト設計を含んだ生産実装を支援します。
②インプロセスモニタリングシステムを活用した生産の最適化を支援します。
4.認証の取得・生産の拡大段階におけるコンサルティングサービス
①品質管理システムの構築など各種認証取得を支援します。
②技術者のスキル向上、サプライヤーの立ち上げなどによる生産拡大を支援します。
例えば、上記「4. 認証の取得・生産の拡大段階におけるコンサルティングサービス」の①では、お客さまが認証取得時に求められるFAT(工場受入試験)、IQ(据付時適格性評価)、OQ(運転時適格性評価)、PQ(性能適格性評価)における品質管理システムの構築を短期間で実現できるよう、EOS社が培ってきたノウハウをお客さまにご提供します(図4)。
日本でも複数のお客さまがEOS社のコンサルティングサービスを受けています。そしてformnext 2017にご来場された多くの日本のお客さまも、このコンサルティングサービスに高い関心を寄せられていましたので、日本における需要がますます高まると思われます。
広がりを見せるAM周辺技術
formnext 2017では、3Dプリンター以外にもAMにおけるプリプロセス・ポストプロセス領域で非常に面白い技術を持つ企業が多く出展しており、AMでのモノづくりがますます広がりを見せているようです。その中でも特に目を引いたのが、表面処理のソリューションです(図5、図6)。
AMで造形した製品は表面粗度が従来工法と比較して劣るため、表面処理は必須です。この表面処理で特に難しいのは、全体を均一に研磨し、全体の面粗度を改善する過程で、特定の箇所だけが研磨され過ぎないようにすることです。この課題を解決できるようなソリューションを提供する企業も出てきました。


おわりに
20年以上にわたるAMでのモノづくりの経験を持つ私たちNTTデータエンジニアリングシステムズは、今後End To EndのAMソリューションプロバイダーを目指し、AMのプリプロセス・ポストプロセス領域においても、世界中から有効な技術を積極的に取り入れ、お客さまがAMでのモノづくりを早期に実現するためのご提案をしていきたいと考えております。今後の私たちの取り組みにもご注目ください。
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