人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.91 | お客様事例
データコンシェルジュサービスで実現した
データ管理のセキュリティー強化

群馬県太田市は、自動車製造業を中心とする"ものづくり"産業が盛んな地域です。そこに会社を構える株式会社オオイテック様は50年以上の実績を持つ屈指のプレス金型メーカーです。同社の熟練したスタッフによる最先端技術を駆使した高精度なプレス金型設計・製作はお客さまに高く評価されています。数年前から、データ管理のセキュリティー強化に着手され、NTT データエンジニアリングシステムズ(NDES)のManufacturing-Space 統合型クラウドファイル管理サービス「データコンシェルジュ」を利用いただいています。今回は、導入の背景や使用状況についてお聞きしました。

超ハイテン鋼板に対応する高度な技術

株式会社 オオイテック CAD/CAM課 課長 寺田 昭仁 様
株式会社 オオイテック
CAD/CAM課
課長 寺田 昭仁 様

オオイテック様は、自動車の中でもインナー部品を主力とし、超高張力(超ハイテン)鋼板に対応した金型を製作しています。近年、自動車のインナー部品を中心に鋼材の硬質化が進んできました。このような超ハイテン鋼板は高強度化を実現する反面、金型製作にもより高度な技術が要求されます。

CAD/CAM課課長の寺田昭仁様は、同社の技術力の高さについて話します。「1回目のトライで、求める形状の精度85%は実現できます。同じシステムを使っても同じ精度を出せるとは限りません。おのおのの製品の特性をいかにCAEに織り込むかというノウハウが重要であり、それを実践していることが弊社の強みです」

同社では、引張強度GPa(ギガパスカル)級のニーズも高まる中、それに対応するため、2018年7月に新工場を建設し、1,600トンのプレス機を導入しました。

新工場に1,600トンのプレス機を導入
新工場に1,600トンのプレス機を導入

万全なセキュリティー対策

数年前、オオイテック様にはお客さまから支給されるデータのセキュリティーに対して悩みがありました。当時、NAS(ネットワーク上のHDD)に重要なデータを集約して格納していましたが、情報漏えいの危険性を払拭することはできませんでした。一方で、お客さまからはより強固なセキュリティー環境が求められ、お客さまによっては、毎年セキュリティーの状況を確認されています。

「社内で使いたいときにデータを取り出せて、万全なセキュリティーでお客さまにも安心いただくには、これからはクラウドだという結論にいきつきました。そこで、いろいろと調査しているうちにNDESのデータコンシェルジュサービスを紹介されました」とクラウド選定について寺田課長は振り返ります。偶然にも同時期に、同社の大井孝雄社長が群馬県金型工業会でNDESの製品説明会を聞かれたことも後押しになりデータコンシェルジュサービスを利用することになりました。

実際に使い始めた寺田課長は、「他のクラウドと比較しても、シンプルで分かりやすい操作方法が気に入っています。コストの面は安価でありながら、クラウドサーバーはNTTデータグループのデータセンターなので、高い信頼性が確保できています。このセキュリティーに関しては、お客さまにもご納得いただいていると思います。やはりデータコンシェルジュサービスを選んで良かったと思います」と実感のこもった感想です。さらに、「お客さまのデータを大切に管理することは当たり前のことで、それをデータコンシェルジュサービスで確実に実行しているだけです」と寺田課長は続けます。

利便性と安心を両立

データコンシェルジュサービスは、500ギガバイトのストレージ容量と5ユーザーのアクセス権限を2015年3月に契約しています。現在の登録ユーザー数は約30人で、品質保証や事務の部署でも閲覧することがありますが、運用の中心はCAD/CAM課と設計課です。おのおののストレージ容量の枠を決めて社内ルールに従って利用しています。

データ管理を行う上で社内ルールと使用方法について寺田課長は、次のように説明します。「CAD/CAM課では製品のサーフェスモデルのデータを、設計課では金型の標準書やプレス機の仕様書を格納しています。いずれもお客さまから提供される重要データです。利用者はデータコンシェルジュからダウンロードして、使用後はクライアント端末から削除することでセキュリティーを保持しています。個々に利用しているデータのフォルダをURLに保存する機能は、URLからダイレクトにデータコンシェルジュへアクセスして目的のデータにたどり着けることが利点です。また、削除に関しては、間違いを防止するため、アップロードした担当者以外は削除しないルールにしています」

CAD/CAM課に関しては、オリジナルデータの更新は寺田課長が担われており、その情報はHTML形式で社内に連携しています。それ以外の日常的に使うデータで、重要度の低いものはローカルのNASで一元管理を行っています。金型設計のソリッドモデルはその一つで、金型を作る上では重要ですが情報漏えいという点ではリスクは低いと考えるからです。「現在、ソリッドモデルのファイルサイズが大きいため、使い勝手の問題でNASにしていますが、NASは故障があることを考えると、クラウドでのバックアップも視野に入れています」と寺田課長はNASの現状を話します。

その他にもファイルの履歴管理があり、オオイテック様でもご利用いただいています。「製品形状の設計変更などにより、製品データが何度も改版されることがあり、そういう場合には最新のデータを上書きできる履歴管理が便利です」(寺田課長)。

CAD/CAM課、データコンシェルジュで製品のサーフェスモデルを管理
CAD/CAM課、データコンシェルジュで製品のサーフェスモデルを管理
支給データをHTML形式で社内に連携
支給データをHTML形式で社内に連携
(クリックすると拡大画像が表示されます)

今後について

「要望については、削除の権限を限られた人に設定できるようにお願いしています。それ以外は、十分使いやすく申し分ありません。今後、ストレージ容量が不足すれば増やしていく予定です。NDESに関しては、サポートも充実していて、問い合わせや要望に即座に対応していただき、とても満足しています」(寺田課長)。

会社プロフィール

株式会社 オオイテック
社屋外観

株式会社 オオイテック

URL http://www.ohitech.co.jp/(外部サイトへ移動します)

所在地 群馬県太田市西矢島町84-1
設立 1963年8月1日
資本金 1,000万円
従業員 61名
事業内容 金型設計・製作