Windowsフォルダとの同期によりBCPを実現
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ クラウドサービス事業部 第一営業部 第一営業課 課長 服部 正太郎 |
はじめに
Manufacturing-Space Ver.4.2は、お客さまからのご要望をもとに機能強化を行いました。WindowsPCとクラウドのフォルダを同期させて、いつもの作業を行いながら大切なデータを簡単にクラウドへアップロードすることができます。
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策として、いち早く本サービスのご利用を始めた株式会社ツラジマ様(岡山県倉敷市:代表取締役 千住比呂志様)は、社内ファイルサーバーのバックアップツールとして運用されています。
本誌では、ツラジマ様の事例とWindowsフォルダとの同期についての機能をご紹介します。
ツラジマ様 -導入前の課題-
ご導入前は、次のような課題を抱えていました。
- 恒久的な社内データのBCP対策
- 災害時の素早いデータ復旧
- バックアップ作業工数の低減
ツラジマ様 -導入背景と活用-
ツラジマ様の事業内容は、自動車向け鋳造金型・木型の設計・製造、シェルモールド用主型・中子の製造です。金型設計は設計者が3次元CADシステム(CATIA V5)を利用し、早くから3次元ソリッド設計に取り組まれています。
金型設計・製造業のお客さまにとって、設計データは企業のノウハウが詰まった知的財産です。ツラジマ様も細心の注意を払って設計データを管理するため、社内にファイルサーバーを構築し、設計データをチーム内で共有するという一元管理を実現しています。さらに、社内ファイルサーバーの設計データは、毎月一回テープ装置を利用してバックアップし、外部の貸金庫に預けるという徹底したデータ管理とBCP対策を実施しています。
このたび、社内ファイルサーバーの設計データをクラウドへバックアップする取り組みを開始されました。これは、テープ装置でバックアップした後、次にバックアップを行う1カ月後までの間の社内ファイルサーバーの設計データを保管するためです(図1)。
その背景として、昨年7月に西日本を中心にした「平成30年7月豪雨」の被災地を目の当たりにされたことがあげられます。設計データだけでなく、社内に点在するさまざまな重要データを確実に保管することが真のBCPであることを実感されたそうです。
その経験を千住社長は次のように話します。
「被災地を訪問した際に、被害に遭われた企業の方から聞いた話では、社員の勤務記録が無ければ正しい給料を支払うことができないし、固定資産台帳が無いと保険申請すらできない状況とのことでした。今まで想定していたBCPの対策は、大地震のような大規模な震災に対するものでしたが、昨年の台風や大雨などの異常気象を考えると、いつどこで災害が起きてもおかしくありません。企業にとって企業データは資産です。これらの消失は、企業にとって命取りになりかねないので、中小企業こそもっとクラウドを活用し、必要なデータ資産を確実に守るべきと改めて思いました」
Windowsフォルダとの同期の機能紹介
Manufacturing-Space Ver.4.2の「Windowsフォルダとの同期」の仕組みには、専用アプリケーションである「DC-Sync for Desktop」を利用しています(図2)。
ローカルPCの特定フォルダとクラウド上のフォルダを関連付け、同期させることができる機能です。
従来のようにWebブラウザーを起動し、ログインしてフォルダを選択するという操作は不要となり、設定したローカルPCのフォルダにデータを保存するだけで、データをデータコンシェルジュ上のフォルダに自動でアップロードします(図3)。
クラウド上でデータ共有が可能
Windowsフォルダとの同期を行う利用者が複数いる場合、それぞれのPCでフォルダ同期の設定ができます(図4)。
利用者間で、同期フォルダ内のデータを利用したい場合は、データコンシェルジュ経由で利用が可能です。
また、担当者が不在の場合や外出先からデータを確認したい場合もデータコンシェルジュ経由で、クラウド上のデータを利用できます。
おわりに
クラウドサービスは重要なデータを安全に管理するためのサービスとしても定着しつつあります。この機会に、ぜひデータコンシェルジュサービスを利用したBCP対策をご検討ください。
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