人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
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No.100 | お客様事例
アナログとデジタルの融合で
2代にわたり旭日単光章を受章

古くからお付き合いのある株式会社田口型範の代表取締役田口順様が、令和に改元した初めての年となる2019年秋の叙勲で、旭日単光章 [きょくじつたんこうしょう] を受章されました。ここで皆さまにご紹介させていただきます。

株式会社 田口型範 代表取締役 田口 順 様
株式会社 田口型範
代表取締役 田口 順 様
田口順様が受章された旭日単光章の勲章と勲記
田口順様が受章された旭日単光章の勲章と勲記

旭日単光章を2代にわたり受章

旭日単光章は、国家または公共への功労があり、顕著な功績を挙げた方に授与されます。この輝かしい勲章を受章された田口順様は、「実力や努力だけではなく運が味方してくれたもので、私だけではなく田口型範に対して授けられた勲章だと考えています。まさか先代の昭和60年勲六等単光旭日章に続いて受章するとは夢にも思っていませんでした」と言います。

お話をお伺いすると、継続的に雇用を増やしながら、右肩上がりの成長を続けてきたというその経営手腕や日本のものづくりに対する熱意が伝わってきました。

さらなる発展を目指して

1947年に創業し、埼玉県川口市と福島県二本松市に拠点を置く田口型範様は、鋳造用の木型製作、金型製作、試作品製作、5軸加工機による削り出し加工を4つの柱に据えています。

「全体としては自動車関連分野が多くを占めていますが、産業機械や航空機、宇宙開発関連分野などにも製品を供給しています。この4つの分野がバランスよく機能していることが当社の強みです。また、特定のお客さまに偏らないことも当社の特長で、お取引が大きなお客さまでもシェアとしては全体の10%を下回っています。その分、お客さまによって異なる納期や商習慣に対応する工夫が必要ですが、多くのお客さまとお取引することで経営状況が安定しています」と、田口社長は話します。

職人技と最先端技術の融合に成功

こうした堅調な経営を支えるのが、長年にわたり築いてきた職人技と最先端技術の融合です。

たゆまぬ成長を続けられてきた田口型範様では、同業他社に先駆けていち早く私たちの3次元CAD/CAMシステム「GRADE」やNC工作機械を導入され、確かな技術力と経営戦略で改革を進められています。

田口社長は、「先代の社長は、“木型の神様”と呼ばれていて、昭和44年現代の名工に当たる優秀技能賞、昭和53年黄綬褒章もいただいています。その一方で、これからはさらに精度の高い製品が求められてくるので、デジタル技術が必須だという意欲的な考えの持ち主でした。実際に、1980年代にはNC工作機械1号機やCADシステム、1990年には5軸制御マシニングセンターを導入しています。これまで手作りでやってきた社員に機械やシステムを使いこなしてもらうには、しっかり教え込む必要があると言われ、その頃入社していた私も試行錯誤しながら習得しました」と振り返ります。

先代社長の姿勢を引き継ぎ、技術力の向上や経営体制の強化に尽力されてきた田口社長は、CAD/CAMやNC工作機械を積極的に増設し、2000年代には現在のような戦略の多角化を確立されています。

熟練の職人技と最先端機器が共存する川口工場
熟練の職人技と最先端機器が共存する川口工場
熟練の職人技と最先端機器が共存する川口工場
熟練の職人技と最先端機器が共存する川口工場
代表取締役 田口 順 様  専務取締役 田口 脩一郎 様
代表取締役 田口 順 様  専務取締役 田口 脩一郎 様

現在、代表取締役の右腕となり田口型範様の次代を担っているのが、ご子息の専務取締役 田口脩一郎様です。

田口専務からは「社長とは、これからさらに違う分野にもビジネスを広げていこうという話をしています。具体的には、半導体やロボット、航空機器関連を考えています。また、製造技術についても、例えばロボットやAIなど、適性や効果を見極めながら取り入れていきたいですね」と、将来へ向けた話をお伺いしました。

会社プロフィール

本社・川口工場
本社・川口工場

株式会社 田口型範

本社 埼玉県川口市中青木2-20-15
創業 1947年
設立 1953年
資本金 2,000万円
従業員数 140名
生産拠点 川口工場・川口工場内五軸加工課・福島二本松工場
事業内容 鋳造用木型、鋳造用金型、五軸加工、試作、解析、計測