Darwin VueによるPLM連携の強化について
| PLM事業本部 開発統括部 PLMソリューション開発部 第一開発グループ グループマネージャ 田中 信治 |
はじめに
前回は、PLM連携の重要性と、PLM連携の各フェーズで非常に有効である各種システムをご紹介しました。今回はその中で、設計思想をスムーズに伝達できる設計打合せツールの「Darwin Vue」をご紹介します。
設計打合せツール
設計思想を伝達する手法としては、紙の図面があり、余白に、注釈や材質など、さまざまな設計情報を記入することにより、設計思想を伝達することに有効でした。しかし、保管性や流用性、検索性という課題があります。2DCADでは、図面の設計思想を伝達する目的を維持したまま、保管性や流用性、検索性に優れ、効率的に図面を作成することができます。
しかし、設計の後工程(例えば、CAMやCAE)に渡すときにモデリングを行う必要があり、前の工程が終了しないと、次の工程に進めないという非効率な業務フローになる課題が存在しました。
3Dモデルを使用した設計では、設計に携わらない担当者でも形状認識できるというメリットがあります。
しかし、寸法公差や注記、材質などの設計情報を記述するためには別途オプションを購入したり、同じ3DCADをそろえる必要があり、コストパフォーマンスに課題があります。
また、通常業務で情報や提案を伝えるツールとしてマイクロソフト社のPowerPointがあり、スライドショーやアニメーションが手軽に使われています。
今回ご紹介する設計打合せツールのDarwin Vueは、PowerPointライクの操作性で、2D CAD、3D CADの課題を解決できます。Darwin Vueは、ドキュメントだけでなく図面や3Dモデルを元に、設計思想を正確にかつ効果的に伝える機能を備えています。
それでは以下に、特徴的な機能をピックアップします。
■各種フォーマットの表示機能(表1参照)
さまざまな形式のデータを表示することができます。
| 分類 | ファイル種類 | 対応バージョン | オプション | |
|---|---|---|---|---|
| CADファイル | CATIA V5 | R2~R1.8 | オプション | 注1 |
| CATIA V4 | ver.4.1.9 ~ 4.2.4 | オプション | ||
| SolidWorks | ver.98 ~ 2007 | オプション | ||
| Pro/ENGINEER | ver.16 ~ Wildfire3 | オプション | ||
| Unigraphics | ver.11 ~ 18 NX1, NX2, NX3, NX4 |
オプション | 注2 | |
| NDES CADファイル |
Space-E/Modeler | ver.4.7 まで | 標準 | |
| Space-E/Mold | ver.4.3 まで | 標準 | ||
| GRADE/CUBE | 全バージョン | 標準 | ||
| 中間ファイル | STEP | AP203, AP214 (形状要素のみ) |
オプション | |
| IGES | 5.3 まで | 標準 | ||
| Parasolid | ver.10.0 ~ 18.0.0 | オプション | ||
| ACIS | R16 SP7まで | 標準 | ||
| その他 | DXF | R12, 13, 14, 2000 | 標準 |
注1 2次元図面ファイル (.CATDrawing) には対応していません。
R18は次期バージョンのVer1.9で対応予定です。
注2 アセンブリファイル 中のパーツ名、アセンブリ名を取得することができない場合があります。
■豊富な計測機能
2点間距離計測、直径半径計測、勾配計測、曲率R測定、MIN-MAXボックス計算など、19種類の計測機能があります。
■設計に有効なチェック機能
面重なりチェック、折れ角部チェック、PL曲線作成など9種類のチェック機能があります。
■注記機能
2D/3Dバルーンの作成、テキストの作成などの一般的な注記機能9種類や型締力、PLシンボルマークなど金型設計に有効な注記が5種類あります。
■シーン(図1参照)
特に相手へ伝えたい場面をシーンとして名称を付けて保存することが可能です。図1の場合は、まず、「Gate位置」というシーンをクリックすると、ゲート位置がどこなのか表示されます。次に、「スライド」シーンをクリックすると、スライド方向がそれぞれ表示されます。このように、見やすい方向や記号・コメントなどを設計者が登録しておくことで誰でも瞬時に設計者の意図が理解できます。
その他、補助要素作成機能や複数言語間コミュニケーション支援など設計プレゼンツールとして豊富な機能があります。
また、Darwin Vueで作成したデータを閲覧できるツールとしてDDDViewer(無償)があり、NDESホームページのDarwin Vue製品紹介のページからダウンロードできます。
DDDViewerには下記の機能があります。
- パーツごとの表示/非表示
- シーン毎の表示
- 断面、外寸、距離計測
また、DDDViewerで閲覧できるサンプルデータもNDESホームページのDarwin Vue製品紹介のページからダウンロードできるので、DDDViewerの機能や表現力を実感できます。
Darwin Vue新規機能
次期バージョンでは、プレス金型設計に有効な下記の機能を実装する予定です。
- 平面領域境界
- 曲げ線作成
- 位置合わせガイド作成
- 曲げ試験
- 剪断計測
- マスキング
今後の予定
今回は、Darwin Vueが、設計思想を相手に効果的に伝えることにより、効率アップやミス削減を目的にしたツールであることをご紹介しました。
ぜひ、NDESホームページのサンプルデータを使用し、その効果をご体験ください。
次回は、Darwin Vueの具体的な活用事例をご紹介します。
