人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.52 | システム紹介
EOSINTリポート
RPシステム統括部
営業グループ 五十嵐 昌男

はじめに

このコラムでは、3次元CADデータからダイレクトに製品を造形する粉末焼結型RP(ラピッドプロトタイピング)システムEOSINTシリーズとFORMIGAについてのさまざまな情報を発信していきます。

実践されているRM

今まで国内外のラピッドマニュファクチャリング(以下、RM)の事例をご紹介してきました。ここでご紹介した事例の多くが航空宇宙や医療分野などの先端分野が主でしたが、実は国内の身近なところでもRMが活用されています。

3Dデータから直接的に部品を作り出すEOSINTやFORMIGAは、生産ツールの製作も可能です。代表的な一例に鋳造での活用があり、砂型を直接造形できるEOSINT Sと、ロストワックスを直接造形できるEOSINT PとFORMIGAが利用できます。

EOSINT S 750
写真1 砂型が造形できる
EOSINT S 750
EOSINT PシリーズとFORMIGA P 100 EOSINT PシリーズとFORMIGA P 100 EOSINT PシリーズとFORMIGA P 100
写真2 ロストワックスモデルが造形できる
EOSINT PシリーズとFORMIGA P 100

砂型鋳造の場合、既存工法では砂型を製作するための型が必要です。鋳造品の形状が複雑な場合は、型を用いて製作できる形状に砂型を設計します。既存工法では砂型の形状を、設計上で分割してアンダーカットの無いモデルにします。そのため、ひとつの鋳造品に対して、何分割にもされた砂型を製作して、注湯前に組立てる工程が行われます。これらは砂型を製作するための型を作るコスト、リードタイムの削減において負荷となる要素です。また、砂型を組立てるのは作業者の熟練によるもので、品質面でも大きな影響をおよぼします。積層造形法を用いたEOSINT Sを活用することで、型を使わずにアンダーカットに依存しない砂型製作が可能です。ある程度、自由な形状の砂型が製作できるので、砂型設計の負荷が軽減し、型が不要になることでコストとリードタイムの削減につながります。

製品の写真製品の写真
写真3 EOSINT S 750による砂型鋳造用の中子
製作協力:株式会社コイワイ様
製品の写真
写真4
EOSINT Pによるロストワックス鋳造
左:ロストワックス造形品
右:チタン鋳物
製作協力:金森産業株式会社様

ロストワックス鋳造においても、似たようなことが言えます。鋳型を製作するためのワックスモデルは、主に金型を使いますがEOSINT PおよびFORMIGA P 100を使用して、鋳造品の3Dデータから直接的にロストワックスを製作することが可能です。この場合も型が不要になるので、EOSINT Sを使用した砂型鋳造と同様のメリットが得られます。

ここまでは試作での短納期対応とコスト削減に対する効果でありRPとしてのメリットですが、RMとして活用されるには理由があります。それは自由な形状の鋳造品が設計できることにあります。また、付加価値のある少量生産品を、低コストで生産することができます。RP/RMで製作されるのが製品ではなく生産ツールであるため、RP/RMテクノロジーの課題のひとつである、材料のバリエーションなどについては、製品の材質は既存材料がそのまま使えるので、量産品と同等の材質の選択が可能です。さらにEOSINT SやEOSINT PとFROMIGAの鋳造アプリケーションは、工程の一部(鋳型を得るための型製作)をRP/RMテクノロジーに置き換えるだけで、品質を保った部品を製作することが可能です。

このような方法で、RMは自動車をはじめとした現在の工業製品の中でも、高付加価値の製品にも適用されており、製品あるいは部品設計そのものが積層造形技術を前提としています。このように工法の特性を上手く活用した設計手法がRMの適用範囲を拡大しています。

アート業界で活用されるRM

製品の写真
写真5 松浦浩之氏の作品
写真提供:株式会社クリート様

国内のデザイン、アートの世界でも事例が増えており、その中には海外で高い評価を受けている方々もおられます。最近の国内事例では、現代アート作家 松浦浩之氏の作品がそれにあたります。独自のキャラクターをモチーフにした松浦氏のペインティング作品を基に3Dデータを作成し、RMで作られた造形そのものを立体作品とする試みが、㈱クリート様のプロデュースによって行われ、イメージを忠実に表現する品質と高い造形スピードが、現代アートの世界においても証明されました。

近年では3Dデータの作成ツールにもさまざまな種類があり、用途などにより使い分けられていますが、アート関連の分野では、ボクセルモデリングが可能なツールがRP/RMテクノロジーとの組合せでよく利用されます。その他にも3Dデジタイザとの組合せによる手法などもあり、今後はますます活用の幅が広がってくる可能性があります。おしゃれなショップにあるデザイン性の高い小物などが、RMテクノロジーによって作られてショップに並ぶ日も間近です。

RMの今後

製品の写真
写真6
空圧制御ロボットハンド

RMを含み、EOS社が提唱するe-Manufacturingのコンセプトは「迅速に、柔軟に、低コストで、デジタルデータから直接製品を自動的に生産する手法」です。EOSINT/FORMIGAはこれらが求められる分野において、あらゆる可能性を示しています。例えば技術進歩がめざましいロボットの開発においても、さまざまなアプリケーションを生み出していくことが予想されます。ロボットは人のリスクが大きな極地での活動など、あらゆる期待がよせられており、既存工法では実現不可能だった形状と機能を持たせたシンプルな機構として、マニュピレーターなどの部品の研究や実用化が進んでいます。また、3Dデータから直接的に部品を製作できるためスペアパーツなどにも「必要なときに必要な数だけ作る」ことができます。実現すればモノづくりだけでなく、ロジスティックにおいてもメリットを生み出すと考えられます。

挿絵
図1 e-Manufacturingのデザインフロー

レーザーシンタリングRP/RMシステムは、今までいくつかの不可能を可能にしてきました。部品形状の自由度の高さはデザイン・設計ありきで製作工法を選ぶことができます。また、今まで高価になりすぎて作れなかったものや、デザインや機能が制限されたものなどが、安価になる要素も持っています。

将来的には、ロボット自身がRP/RMの機能を持ち、修理や交換部品を自給自足することで、極地などで長期的に自立活動が可能になるかもしれません。

EOSINT/FROMIGAワークショップ【好評開催中】

プラスチックレーザーシンタリングRP/RMシステム「FORMIGA P 100」のオペレーション体験を中心に開催しております「EOSINT/FORMIGAワークショップ」ですが、おかげさまでご参加されたお客様よりご好評をいただいております。これからもお客様への情報発信源として継続します。RP/RMに関連するツールやアプリケーションなどもご紹介しますので、ご興味がありましたら、是非ともお申込みください。また、開設まであと少しの大阪テクニカルセンター(仮名)では金属造形機「EOSINT M 270」を導入予定です。大阪でのワークショップも企画を予定していますので、金属造形にご興味をお持ちの方はご期待下さい。

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