人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.86 | システム紹介
HANNOVER MESSE 2017
EOS社出展リポート
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
カスタマー&サービス事業本部
アディティブ・マニュファクチャリング事業部
営業部 担当部長 川村 孝慈

HANNOVER MESSE 2017

図1 HANNOVER MESSEでは全27ホールを使用し展示を実施しており、来場者はバスを利用しホール間を移動します。EOS社が出展したDigital Factoryだけでも4ホールを使用し、展示が行われていました。
図1 HANNOVER MESSEでは全27ホールを使用し展示を実施しており、来場者はバスを利用しホール間を移動します。EOS社が出展したDigital Factoryだけでも4ホールを使用し、展示が行われていました。

昨年、米国のオバマ大統領が開会式に参列し、大きな話題となった世界規模のファクトリーオートメーションを中心とした産業機械展示会「HANNOVER MESSE」が、去る2017年4月24日(月)から28日(金)までの期間、ドイツ・ハノーバーにおいて開催されました(図1)。私も24日、25日の両日、EOS社のブースにて日本のお客さまをお迎えしてきましたので、HANNOVER MESSEにおけるEOS社の出展についてリポートいたします。

今回のHANNOVER MESSEは、来場者数22万5000人、出展社数6500社、期間中の商談件数560万件を超え、世界各国から要人が訪れるなど、例年同様、政治とビジネスの重要な場となりました。

またHANNOVER MESSEのテーマは、「Integrated Industry - Creating Value(産業システムの統合化-価値の創造)」でした。現在、製造業では、あらゆる機器をインターネットにつなげ、それらを高度に統合管理できる環境の構築を目指していますが、このような統合化された環境を構築することで、設備や機器の高度化のみならず、結果として新たな事業分野が生まれたり、生産性と従業員満足度が向上したりといった新しい価値が創造されるようになります。今回のテーマには、新価値創造がインダストリー4.0の次のステップであると期待が込められていたようでした。

EOS社の展示内容について

EOS社は、現在お客さまからよく聞かれる下記の問いに対して、その回答を来場されたお客さまに伝えることを目的に展示を行いました(図2、3、4)。

図2 装置としてはEOS P 396を展示しました。造形物や専用モニターを利用し、お客さまにインダストリアル3Dプリンティング技術の可能性について説明しました。
図2 装置としてはEOS P 396を展示しました。造形物や専用モニターを利用し、お客さまにインダストリアル3Dプリンティング技術の可能性について説明しました。
図3 お客さまと会話ができるスペースを広く設けていたEOS社のブース。常に多くのお客さまが立ち寄られ、インダストリアル3Dプリンティング技術への関心の高さを再認識しました。
図3 お客さまと会話ができるスペースを広く設けていたEOS社のブース。常に多くのお客さまが立ち寄られ、インダストリアル3Dプリンティング技術への関心の高さを再認識しました。
図4 EOS M 400-4で造形したロケットインジェクター。8000個の穴を持つ122のノズルを1回の造形で製造しています。
図4 EOS M 400-4で造形したロケットインジェクター。8000個の穴を持つ122のノズルを1回の造形で製造しています。

1. 生産可能な製品のアイデアをどう導き出すか?

EOS社のコンサルタントがAM(Additive Manufacturing:積層造形法)の可能性を説明し、それがロケット・サイエンス(非常に難解なこと)ではないことをご紹介しました。

2. どのような新しいアプローチと目に見える利益をAMは提供できるのか?

新しいビジネス領域を開拓し、サプライチェーンを刷新するための方法を紹介しました。EOS社のお客さま事例は具体的に数値化された利益が明確になっており、製造コスト50%削減・製造期間80%削減などは特定のお客さまの特別な数値ではないことを説明しました。

3. インダストリアル3Dプリンティングの技術を既存の製造プロセスに組み込めるか?

(1)ソフトウエアサイド

EOS社のシステムは、ソフトウエアインターフェースを介し、シームレスにお客さまがすでに導入されているMES、ERP、QMSなどのシステムと連携可能なことを紹介しました。

(2)ハードウエアサイド

オートメーション化や自動搬送を考慮した装置・周辺機器を提供することにより、既存の製造プロセスにインダストリアル3Dプリンティングの技術を組み込めることを紹介しました。

4. インダストリアル3Dプリンティングの技術を使い、いかに量産へ持っていくのか?

EOS社の専門家が経験と知識に基づいて、どのようなステップを踏んでお客さまがインダストリアル3Dプリンティングの技術を利用しつつ量産化を進めていくかについて紹介しました。

Roboy

図5 EOS社のブースにおいて一番注目を集めていたヒューマノイドロボットRoboy。最先端ロボティックスの紹介もHANNOVER MESSEの大きなテーマでした。
図5 EOS社のブースにおいて一番注目を集めていたヒューマノイドロボットRoboy。最先端ロボティックスの紹介もHANNOVER MESSEの大きなテーマでした。

EOS社のブースにおいて一番注目を集めていた展示品がRoboyでした(図5)。Roboyはミュンヘン大学とチューリヒ大学が共同開発したヒューマノイドロボットで、Roboyを構成する部品はEOS社のシステムを使って製造されています。筋肉を模倣した高度なケーブルシステムを装備し、人間のような動作をすることが可能です。

Roboyの手と上腕は、センサーと腱用のケーブルを備えた一体部品となっています。従来は多くの小さな部品から手を作り、組み立てに長時間かかっていましたが、3Dプリンティングの技術を用いることにより、一つの部品内に多くの機能を統合できるようになったため、製造期間を大幅に短縮できました。実際Roboyの製造に費やされた期間は2?3日とのことでした。

Roboyの部品はポリアミドPA 2200を使用し製造されています。ポリアミドPA 2200はヒューマノイドロボットを構成する部品として十分な強度を持っています。Roboyの場合、頭蓋骨、顔の白い殻以外のほぼ全ての部品はEOS社の装置を使用し製造されています。EOS社はPEBAというより弾力性のある樹脂材料を使い、今後皮膚にあたる部品の製造も視野に入れています。

ヒューマノイドロボットのような複雑な駆動構造を支える部品の製造などにも、今後ますます3Dプリンティングの技術が利用されることになると思われます。

おわりに

図6 SAP社のブース内に展示されていたEOS社のM 290。多くのPLM、ERPベンダーのブース内に3Dプリンターが展示されていました。
図6 SAP社のブース内に展示されていたEOS社のM 290。多くのPLM、ERPベンダーのブース内に3Dプリンターが展示されていました。

今回2日間HANNOVER MESSEに参加して再認識したのが、もうドイツではインダストリアル3Dプリンターは、ものづくりに欠かせない重要な設備の一つと認識されているということです。大手のPLM、ERPベンダーはこぞってインダストリアル3Dプリンターとの連携を含めたソリューションを発表し、展示会場でもPLM、ERPベンダーのブース内には3Dプリンターが展示されていました(図6)。

もう製品設計の段階からインダストリアル3Dプリンターでの製造を念頭に製品設計をすることや、3Dプリンターに搭載されたカメラなどで取られた造形状況などの膨大なデータを収集、管理、分析し、品質保証などに生かすことが当たり前になる時代がすぐ目の前に来ているようです。

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