新機能のご紹介
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 製造ソリューション事業本部 クラウド技術開発統括部 技術部 第二サービス課 中島 彩夏 |
はじめに
2020年3月にサービスインしたManufacturing-Space Version 4.5(以下、Ver.4.5)では、お客さまのデータの管理・共有における業務効率と安全性の向上をテーマに、データ管理サービスである「データコンシェルジュ」の機能改良を実施しました。ここでは、従来よりもさらに便利になったデータコンシェルジュの機能について、活用方法と併せてご紹介します。
フォルダ自動連携機能の改良による
柔軟なデータ連携の実現
データコンシェルジュのフォルダ自動連携機能は、専用のアプリケーション「DC-Sync for Desktop」により、ローカルPCとデータコンシェルジュ間でフォルダを同期し、編集、追加、削除されたファイルの自動連携ができます。ローカルPCの起動時に、DC-Sync for Desktopが実行予定に従ってフォルダの同期を開始するため、Webブラウザからデータコンシェルジュにログインするという手間をかけずに、データのアップロード/ダウンロードができます。
Ver.4.5では、「ローカル、データコンシェルジュ間でのデータ共有時の意図しない端末トラブルよるデータ消失を防ぎたい」というお客さまのご要望から、DC-Sync for Desktopを改良し、アップロードのみを行う非同期の設定を追加しました。これにより、例えば、データ作成者が非同期の設定にすると、作成したデータはデータコンシェルジュへアップロードのみされ、同期を設定している他の作業者がこのデータに対して変更や削除を実施しても、データ作成者のローカルPCのファイルは影響を受けず保護できます(図1)。また、他のファイルも自動でダウンロードされないため、データ作成者のローカルPCでのデータ管理が簡素化できます。このように、フォルダ自動連携機能による柔軟なデータ連携を活用いただき、作業の効率化にお役立てください。
安全性の保持と操作性の向上
■ パズル認証の採用による操作性の向上
従来のデータコンシェルジュのログイン画面では、「企業ID、ユーザID、パスワード」の他に不正アクセスを防ぐために「画像認証文字」を入力していました。しかし、認証文字が読みづらく入力に手間がかかり、モバイル端末では、仮想キーボードで認証文字の画像が隠れるという課題がありました。
そこで、Ver.4.5では「パズル認証」を導入しました。ドラッグ&ドロップで欠けたピースをはめ込むだけの簡単操作でログインが可能になり、安全性は従来通り確保できます(図2)。
■ パスワード有効期限の通知メールを送信
管理者は、Manufacturing-Spaceログインパスワードの定期的な変更を促すために有効期限を設定できます。しかし、ユーザーがパスワードの変更を失念して有効期限が過ぎると、Manufacturing-Spaceのアカウントがロックされるので、管理者はユーザーアカウントを解除する作業が発生します。
Ver.4.5では、パスワードの有効期限が近づくと、そのユーザーに自動で通知メールを送信するようになりました。メールによるリマインドを受けてパスワードを変更できるため、期限切れのロックによる作業の停止や、管理者権限を持ったユーザーによるロック解除の作業時間の発生を軽減できます。
ファイルへのカラーラベル付加で作業効率を向上
Ver.4.5では、データコンシェルジュ上のファイルにカラーラベルを付加する機能を追加しました。カラーラベルの設定は、コンテキストメニュー(右クリックメニュー)から簡単に行えます(図3-1)。また、カラーラベルをファイル検索の条件に指定できるため、社内でカラーラベルの運用ルールを規定することで作業の効率を向上できます(図3-2)。
カラーラベルの活用事例を2つご紹介します。
①作業の進捗管理
作業の進捗管理にカラーラベルを利用します。「作業完了したファイルは青」「仕掛は赤」といったルールを定めることで、ファイルの色から視覚的に作業の進捗管理が行えます。さらに、カラーラベルでファイルの絞り込み検索を行い、「作業完了したファイル」のみを表示させるといった活用もできます。
②作業者の割り当て
作業者の割り当てにカラーラベルを利用します。少人数の部門などで作業者を割り振る場合、「〇〇さんは黄」「△△さんは緑」といったルールでファイルにカラーラベルを付加することで、作業者の確認を視覚的に素早く行えます。前項の①と同様にカラーラベルによる検索を組み合わせると、作業者ごとのファイルを簡単に絞り込むことができます。
おわりに
製造業の多くのお客さまで、セキュリティを確保しながら、効率よく便利にデータを活用していくための検討、取り組みが進められています。このような中、私たちは、クラウド上で設計等のデータを安全かつ便利に管理、活用できるManufacturing-Spaceのデータコンシェルジュに対するお客さまのさまざまなご要望にお応えしていきます。今後もお客さまのお役に立つためにサービスの改良・開発に努めてまいりますので、クラウドサービスでの課題解決をぜひご検討ください。
-モバイル端末の活用-
近年話題になっている5G(第5世代移動通信システム)の影響もあり、業務効率を向上する道具として、加工現場でもタブレットをはじめとするモバイル端末が活用される場面が増えています。
モバイル端末の利点は、持ち運びが容易であり、加工現場への持ち込みも簡単にできます。Space-Eで作成したCAMの加工工程データをデータコンシェルジュにアップロードしておき、現場ではモバイル端末を使用して加工指示書や経路データをプレビューすることで、ペーパーレスな上に、モデルデータを動かして参照したい部分を見られるなど、詳細なデータが確認できるので業務効率の向上が図れます。
関連するソリューション
関連するソリューションの記事
- 2024年04月01日
-
Space-E 新バージョン 2023 R2
リリースのお知らせ
- 2024年04月01日
-
片山工業株式会社 様
金型技術者の育成強化を図り
成長するグローバル企業
- 2023年07月01日
-
5軸加工 技術情報 連載vol.4
負荷制御を活用した5軸荒取り
- 2023年07月01日
- Space-E 新バージョンCAM 2023、Version 5.11リリースのお知らせ
- 2023年01月10日
-
第31回 日本国際工作機械見本市
JIMTOF2022 出展のご報告
- 2023年01月10日
-
第25回 関西 設計・製造ソリューション展
出展のご報告
- 2023年01月10日
-
5軸加工 技術情報 連載vol.3
CAMの自動中取りと3+2の有効性について
- 2023年01月10日
- 新製品「Space-E/5Axis 2022」のご紹介
- 2022年10月10日
- INTERMOLD名古屋 出展のご報告
- 2022年10月10日
-
5軸加工 技術情報 連載vol.2
東台精機/HEIDENHAINの優位性
- 2022年10月10日
- 新商品「Space-E/CAM 2022」のご紹介
- 2022年07月01日
-
5軸加工 技術情報 連載vol.1
異形工具の活用と効果
- 2022年06月14日
- 「IT導入補助金2022」のお知らせ
- 2022年04月01日
- Space-E Version 5.10リリースのお知らせ
- 2021年07月10日
-
金型づくりの自動化を目指した
「Mold Future Space - OKINAWA」の取り組み
- 2021年07月10日
-
4事業部のご紹介(2)
製造ソリューション事業部
- 2021年03月01日
- 補助金・助成金診断サイト開設のお知らせ
- 2021年01月01日
-
Manufacturing-Space® Version 4.6
新機能のご紹介
- 2020年04月01日
-
大連永華技術有限公司と中国における代理店契約締結
-日軟信息科技(上海)有限公司の閉鎖について-
- 2019年10月01日
-
Manufacturing-Space® Version 4.4
サービスインのお知らせ
- 2019年07月01日
-
Space-E Version 5.8リリースのお知らせ
~自動化に向けて進化する~
- 2019年04月01日
-
Space-E
マルチスレッド技術による
特殊隅取りモーフィングモードの高速化
- 2019年04月01日
- Manufacturing-Space® Version 4.3 新機能のご紹介
- 2019年01月01日
-
CAD/CAMシステムオンラインサポートサイト
e-support リニューアル公開のお知らせ
- 2018年10月01日
-
Manufacturing-Space® Version 4.2
サービスインのお知らせ
- 2018年07月01日
-
経済産業省のプロジェクト参加報告
「標準の利用/活用推進委員会」の活動について
- 2018年04月01日
- NTTDATA (Thailand) co., ltd. 活動報告
- 2018年04月01日
-
沖縄マニファクチャリングラボの取り組み
5軸加工機能の強化および実用化に向けて
- 2017年07月01日
-
Manufacturing-Space®が目指す
方向とロードマップ
- 2017年07月01日
-
クラウドを利用した
「ものづくり産業」の生産性向上
- 2017年04月01日
-
Space-E Ver.5.6リリースのお知らせ
~沖縄マニファクチャリングラボの研究成果を反映~
- 2017年01月01日
-
5軸加工への取り組み
沖縄マニファクチャリングラボにおける
5軸加工機能の技術開発
- 2016年07月01日
-
第1回 名古屋 設計・製造ソリューション展
出展報告
- 2016年04月01日
-
Space-E Version 5.5リリースのお知らせ
~生産準備業務の効率化を目指す~
- 2016年02月22日
- ものづくり業界向け「オートサーフェス」サービスを提供開始
- 2016年01月01日
-
沖縄マニファクチャリングラボにおける
5軸加工機能の技術開発
- 2015年07月01日
-
トータルソリューションのご提案(4)
PDMを活用した鍛造解析向けトータルソリューション
- 2015年07月01日
-
Space-E Version 5.4 リリースのお知らせ
~まずは削ることから刷新~
- 2015年04月01日
-
トータルソリューションのご提案(3)
NDESがご提案するトータルソリューションとは
- 2015年01月01日
- マニファクチャリングラボ(沖縄)の取り組みについて
- 2015年01月01日
-
トータルソリューションのご提案(2)
フロントローディングソリューション
- 2014年10月01日
- CAXA社との協業について
- 2014年10月01日
-
トータルソリューションのご提案(1)
STLの活用例
- 2014年07月01日
- Space-E Version 5.3 リリースのお知らせ
- 2013年09月25日
-
金型業界初のクラウドサービス「Manufacturing-Space®」
10月1日サービス開始
- 2013年07月10日
-
東南アジア地域における
Space-E販売代理店の支援強化について
- 2012年10月01日
- 雲をつかむような話し
- 2012年01月01日
-
導入支援レポート(第11回)
Space-E/Moldにおけるカスタマイズについて(2)
- 2011年10月01日
- Space-E Version 5.1 新機能のご紹介
- 2011年10月01日
-
導入支援レポート(第10回)
Space-E/Moldにおけるカスタマイズについて(1)
- 2011年10月01日
-
Space-Eで実現する
デジタルエンジニアリングにおける4つのCサイクル
- 2011年07月01日
-
導入支援レポート(第9回)
Space-Eにおけるプレス金型向けユニット部品構築方法(2)
- 2011年04月01日
- Space-E Version 5.0 新機能のご紹介
- 2011年04月01日
-
導入支援レポート(第8回)
Space-Eにおけるプレス金型向けユニット部品構築方法(1)
- 2011年01月01日
- 5軸加工およびSpace-E/5Axisのメリット
- 2011年01月01日
-
導入支援レポート(第7回)
Space-Eによる3次元金型設計を中心としたシステム構築
- 2010年10月01日
-
3次元CAD/CAM/CAE一体型システム
Space-E/Pressのご紹介
- 2010年10月01日
-
導入支援レポート(第6回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(3)
- 2010年07月01日
-
導入支援レポート(第5回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(2)
- 2010年04月01日
- Space-E Version 4.9 新機能のご紹介
- 2010年04月01日
-
導入支援レポート(第4回)
Space-Eによる3次元金型設計の実現(1)
- 2010年01月01日
- Space-Eの有効活用「電極設計の効率化」
- 2005年07月01日
- Space-E最新バージョンのご紹介
- 2005年01月01日
- Space-E Version 4.3のご紹介
- 2004年07月01日
- Space-E Version 4.2 Modeler & CAMのご紹介
- 2004年04月01日
- Space-E/Global Deformation Version 1.0のご紹介
- 2002年04月01日
- Space-E Version 3.1のご紹介
- 2002年04月01日
- Space-E/STEPのご紹介
- 2001年07月01日
- Space-E最新バージョンのご紹介
- 2001年07月01日
- Space-E/Mold Version 2.0のご紹介
- 2000年10月01日
- Space-E/SolidCAMの紹介
- 2000年07月01日
- Space-E/Moldのご紹介
- 2000年04月01日
- Space-E Version 2.1 のご紹介
- 1999年10月01日
- WindowsNT版 製図支援システム Space-E/Draw のご紹介
- 1999年07月01日
- Space-E Version 2.0 最新機能紹介と今後の展望
- 1999年01月01日
- Space-Eのご紹介