人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
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No.92 | システム紹介
3DEXPERIENCE CATIAによるモールド設計プロセスフローのあらたな革新②
「Mold Tooling Designer編」のご紹介
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
ビジネスインテグレーション事業本部
ソリューション企画室
PLMソリューション部 第一営業課 時重 良太

はじめに

本誌前号では、ダッソー・システムズ株式会社(以下、DS社)の次世代製品である「3DEXPERIENCE Platform CATIA」のモールド設計について、2018年6月27日(水)に開催した第1回Webセミナー「3DEXPERIENCE CATIAによるモールド設計プロセスフローのあらたな革新~Core & Cavity Separation編~」の内容をご紹介しました。

今回は、その続編として、2018年9月20日(木)に開催した第2回Webセミナー「3DEXPERIENCE CATIAによるモールド設計プロセスフローのあらたな革新~Mold Tooling Designer編~」の内容をご紹介します。

3DEXPERIENCE CATIAにおける
金型構造設計の機能紹介

1.モールドベースの配置

3DEXPERIENCE CATIAには、次に示すモールドベースの配置方法が3種類あります。この機能を適宜利用することで、効率的なデータ活用を可能にし、モデリング工数の削減を図ることができます。

1)プレートのみの配置

内製のモールドベースで設計を行う際に有効なプレートのみを配置する機能です。各プレートのサイズは、ドラッグ操作で簡単に変更できます。数値入力でのサイズ変更も可能です。

2)既存モールドベースの配置

作成済みのモールドベースを検索して配置できる機能です。各社の設計ルールやノウハウを盛り込んだテンプレートモデルや、既にガイド部品を組み付けてあるモールドベースを配置したい場合に有効です。

モールドベースコンテンツを利用することで、この機能で使用できるテンプレートモデルを作成できます。

図1 メーカー製モールドベースの配置
図1 メーカー製モールドベースの配置
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3)メーカー製モールドベースの配置

各メーカーで販売しているモールドベースを配置できます。登録してあるモールドベースの型番を選択して配置します(図1)。選択時、モールドパーツのインサートのサイズを参照し、XYサイズがインサートより大きいものに絞り込まれます。プレートだけでなくガイド部品の配置もでき、ガイド部品の配置位置への穴あけも同時に行うことができます。

2.金型部品の配置(エジェクタピン)

図2 エジェクタピンの配置(ピン先端カット図)
図2 エジェクタピンの配置(ピン先端カット図)
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フォームエジェクション構成要素で設定したすべての配置位置に一括してエジェクタピンを配置できます。個別の位置への配置も可能です。ピンが配置されると同時に、フォームエジェクション構成要素で指定したカット面で、ピン先端がカットされます(図2)。配置位置から成形品までの長さは、自動計測して穴形状を作成します。必要長さは算出されるので、それを基に適切な部品の発注ができます。

3.スライドの設計

図3 スライドの設計による配置位置の調整
図3 スライドの設計による配置位置の調整
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部品の配置前に「構成要素仕様を定義」コマンドで、配置位置と配置する部品の種類を指定します。事前に配置する部品を指定することで、指定した部品以外の配置ができなくなり、配置ミスを防止できます。

また、配置位置の調整や、スライドコアのモデリングが簡単に行えるので、モデルのユニット部品を容易に構築できます(図3)。3DEXPERIENCE CATIAには、スライドの設計を効率化するためのスライドユニットのサンプルが用意されています。

4.冷却回路の設計

図4 冷却回路の設計(ドリル冷却回路)
図4 冷却回路の設計(ドリル冷却回路)
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CATIA V5のコンパスにあたる「ロボット」を使用し、リアルタイムに冷却回路を作成できます。さらに、スケッチを用いた水管作成も可能です。回路検討時に作成したスケッチを使用することで、検討した情報を有効活用し、作業の手間を大幅に省くことができます。

ロボットとスケッチのどちらを使用しても、ドリル穴は同時に作成されます。ドリル穴あけ方向の切り替えも可能です(図4)。

5.解析用モデルの抽出

図5 抽出した解析用モデル
図5 抽出した解析用モデル
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DS社の解析モジュールSIMULIAで金型充填解析、冷却解析を行う際の準備データを設計した金型構造データから簡単に抽出できます。解析に使用したいモデルにチェックを入れ実行するだけで、解析用モデルを抽出して3Dパーツを作成します(図5)。手間のかかる解析用のデータ抽出が容易にできます。

NDES金型部品ライブラリの提供
(NDES専用サービス)

図6 NDES金型部品ライブラリ(ミスミのエジェクタピン)
図6 NDES金型部品ライブラリ(ミスミのエジェクタピン)
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私たちが保有する金型部品ライブラリを3DEXPERIENCE CATIAへご提供するサービスを行っています。NDES金型部品ライブラリには、メーカー製の金型部品を豊富に登録しています(図6)。このNDES金型部品ライブラリの活用により、金型部品作成という設計前の準備時間も省くことができ、設計の幅が広がります。3DEXPERIENCE CATIAでは、既存データおよび資産の活用が可能です。

おわりに

次号では、今回の続編にあたる第3回Webセミナー「3DEXPERIENCE CATIAによるモールド設計プロセスフローのあらたな革新~Advanced編~」(2018年11月28日開催)をご紹介する予定です。

<開催済みセミナー視聴のご案内>

開催済みの第1回、第2回セミナーは下記より視聴できます。

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