営業支援の業務を自動化する
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 管理本部 業務管理統括部 人事総務部 事業管理課 平原 正子 |
はじめに
私たちNTTデータエンジニアリングシステムズは、国内シェアNo.1を誇るRPA(Robotic Process Automation)ツール「WinActor」の販売を行っています。WinActorは、WindowsPC上での繰り返し作業を自動化し、ヒューマンエラーを軽減して、作業時間や入力確認のための工数を大幅に削減できる画期的なソフトウエア型ロボットです。例えば経理や人事、営業支援などのいわゆるバックオフィス部門における定型業務を自動化することで、業務の正確性や作業効率の向上を図れます。
私たちも実際に、WinActorを活用して社内業務の自動化に取り組んでいますので、ここでは、その活用事例と効果や課題についてご紹介します。
WinActorの導入について
私たちの部門は、定期保守をご契約いただいているお客さまに関する管理・更新作業を中心に、営業部門の各種サポートなどの業務に当たっています。日次や月次での定例作業が多く、正確性が求められることから、人的ミスの防止対策や自身のスキルを必要とする業務に集中できる時間の確保が課題となっていました。
WinActorは、WindowsPC上で動作するあらゆるソフトウエアに対応しています。対象となる業務を実行するための手順やルールを、あらかじめ"シナリオ"としてWinActorに設定することで、ロボットがそれに沿って作業を正確に再現します。
まずは、効果を検証するという目的も含め、次のような流れで取り組みました。
①定型業務の洗い出しと分析
②WinActorにてシナリオを作成
③処理を行うデータの準備
④WinActorによる業務の実行
⑤各業務におけるWinActor導入の効果を検証
以下、各項目の詳細を説明します。
①定型業務の洗い出しと分析
日々の業務の中で、オペレーションを繰り返し行う定型業務の洗い出しから始めました。それぞれの業務内容や所要時間、実施するタイミングなどを整理した上で、WinActorによる処理が有効と見られる部分と、人による判断や作業が必要な部分とを分析しました。
表1は、複数ある定型業務の一例として、製品Aに関する売り上げ登録作業を分析した結果です。

②WinActorにてシナリオを作成
対象となる業務を行うため、まず作業の流れや条件などをフローチャート(図1)にしてから、WinActorのGUIを使ってシナリオを作成していきます(図2)。このシナリオは、ノウハウを蓄積していくことで、より効果的でスピードアップした工程が作成できます。
③処理を行うデータの準備
処理を行うデータを準備します。データに不備があると、WinActorが処理できない可能性があるため、データは必ず事前チェックが必要です。
④WinActorによる業務の実行
処理を行うデータをもとにWinActorを実行します。データが想定通りに適切に処理が実行されているか、シナリオと照合しつつ確認します。
⑤各業務におけるWinActor導入の効果を検証
処理にかかった時間や結果の正確性、さらに発生したエラーの内容などをもとにして、WinActorの効果について検証を行いました。
WinActorの効果と課題について
前項の流れを経て、WinActorの利用を進めたところ、以下のメリットが得られました。
- 正確な処理が可能であり、人的ミスを防止できる。
- 決まった手順を繰り返す作業に特に有効であり、作業者の精神的な負担も削減できる。
- WinActorが処理を実行している際に、作業者はスキルを必要とする他作業に専念できる。
- シナリオを微調整していくことで、より精度の高い作業が可能となる。
WinActor単独でPC操作を行うことでより効果を得られたため、WinActorの実行には専用のPCを設置しました。
また、次のような課題が見えてきましたので、今後の取り組みとして検討していきます。
- 実行に要する時間は、PCの処理能力、シナリオの出来栄えに大きく左右される。
- 自動化検討の初心者ではシナリオ作成や改善に時間を要するケースがあるなど、運用ノウハウを持つ人のサポートがあればさらに短期間で実施できた。
- 処理するデータをリスト化するのに入手方法が複数ある場合は、業務の標準化を検討する必要がある。
おわりに
WinActorは、日々の業務をより効率的に、より正確に行うために有効なツールです。シナリオの作成に当たって、業務そのものを見つめ直し、改善策や不要な作業の発見にもつながったという副次的効果も得られました。
一方で、処理件数や頻度が少ない業務や、作業フローにおいて場合分けが複雑な業務は、人の方が適している場合もあります。
人にとって代わるロボットというよりは、人がうまく使いこなして共存することで、互いの役割を強化し、大きな効果を生むことができるパートナーのように考えています。
今後、WinActorの特長を生かしながら適用する業務を拡大させ、さらなる業務改善を目指していきます。
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