人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.104 | トピックス
製造業のデジタル改革を実現する
新事業企画室

新事業企画室は、過去2年間においてデジタライゼーション実現のための最新技術における研究開発の成果をベースとし、2022年4月にスタートしました。これまで実施してきた人材育成やクラウド基盤の整備、ケーススタディーによる検証・分析などは、お客さまのIT活用の可視化と最適なデジタル化を提案する上で重要な要素だと考えており、今後の新しいサービスへのご提案につなげていきます。

これまでの歩みとこれからのビジョン

株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 新事業企画室長 髙岡 忠夫 Tadao Takaoka
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
新事業企画室長 髙岡 忠夫
Tadao Takaoka

新事業企画室は、デジタル化によるお客さまの企業価値を向上、持続可能な産業社会づくりに貢献する革新的な事業やサービスの提案および創出を目的に発足しています。組織としては、DX推進部と営業部で活動しています。

過去2年間の活動では、デジタル変革に必要となる要素の分析・分類、新たなサービスを創出する計画・実行において、数多くのケーススタディーに取り組んできました。そのケーススタディーを整理するとともに、さまざまな観点から検証と検討を重ねた結果、新しいサービスをご提供できるようになりました。

ケーススタディー

実施したケーススタディーの一部をご紹介します。

(1)クラウドライセンスサービス

初期投資や環境維持の負担を軽減するため、アプリケーションストリーミング配信サービスの検証を行いました。クラウド環境でアプリケーションを配信することで、ユーザーの利用状況を確認・分析することも可能になりますので、新たなサービスのご提案にもつなげていきたいと考えています。

(2)不具合の予兆検知

撮影した工具画像から工具の摩耗状況をAIで自動判定する仕組みを作り検証しました。クラウド環境に構築した工具摩耗判定サイトに、工具の画像を手動でアップロードすると自動的に結果を出力します。この取り組みで、AIの画像認識による判定と人間の判定を90%一致させることができました。今後も引き続き取り組んでいきます。

(3)ノウハウ共有(技術伝承)

分散されたノウハウを共有し、テレワーク環境でも自己解決できる手段の検証を行いました。インデックスサーバーに情報を収集し、機械学習を利用した全文検索、あいまい検索、レコメンド機能を開発しました。今後はコンテンツを増やす取り組み、クラウド化を視野に入れて取り組む予定です。

新サービス

新事業企画室がご提供する新サービスをご紹介します。

(1)製造業向けアプリケーション共通プラットフォーム

ものづくり業界向けクラウドサービス(Manufacturing-Space)を2013年10月から8年間運営してきました。一方、製造業においてクラウド環境への需要が急拡大することを見据え、新しい製造業向けアプリケーション共通プラットフォームを構築しようとしています。このプラットフォームは、同業ベンダーとの相乗効果を狙っています。私たちと同様に同業ベンダーも、パッケージ販売からクラウドのサブスクリプションのサービスへ移行を検討されていると思います。しかし、ハードウエア・ソフトウエアの面において、クラウド環境の構築・運用にはノウハウが必要となり、これらがクラウドサービスに踏み出せない要因ではないかと考えました。そこで、私たちが構築した製造業向けアプリケーション共通プラットフォームを競業ベンダーにご活用いただくことで自社製品のサービスを容易にクラウド環境で提供できるようになります。これにより、ベンダー同士が競業から協業になることで、さまざまなソリューションが同じクラウド環境になり、利便性の高いサービスをお客さまにご提供できます。

製造業向けアプリケーション共通プラットフォーム サービスのラインアップ 太枠:提供するサービス 水色文字:今後順次提供していくサービス
製造業向けアプリケーション共通プラットフォーム サービスのラインアップ
太枠:提供するサービス 水色文字:今後順次提供していくサービス

(2)解析ソリューション

エムエスシーソフトウェア株式会社の解析ソリューションが、製造業向けアプリケーション共通プラットフォームを基盤としたクラウドライセンスで利用できるサービスの提供を開始する予定です。(詳細は本誌P12-13参照)

産学共同研究

(1)世界唯一の高性能ラティス型ヒートシンク構造

東北大学流体科学研究所との共同研究で、複雑なラティス(格子状)型ヒートシンク構造の創出に成功しました。従来のピンフィン型のヒートシンク構造に比べて、廃熱高率を8%アップするという高性能を実現しています。本年度はさらなる精度改善を行い、その研究成果をNDESの技術として習得していく予定です。

おわりに

新事業企画室に期待されている役割は、お客さまと共にデジタル変革を実現することです。データやデジタル技術を活用する新しい製品やサービスは、私たちのビジネスモデルを刷新し、お客さまのデジタル変革の実現に貢献します。そのためには、とにかくスピード感が大事だと考えています。いち早くスタートして、走りながら大きく成功へと導いていくという姿勢を表し、小さく(C)、生んで(U)、大きく(O)、育てる(S)という言葉からCUOS(キューオス)と名付けた方針を掲げています。

自由な発想でチャレンジを続けている新事業企画室のこれからの活躍にご期待ください。

関連するソリューション

関連するソリューションの記事