~3DEXPERIENCEの活用例~
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ ビジネスインテグレーション事業部 第二ソリューション企画部 第一営業課 時重 良太 |
はじめに
製造業の設計では、3D CADデータの利活用が主流となり、その管理に課題を抱えているというお客さまの声を多く聞きます。本稿では、お客さまの事例をもとにミドルマーケットに向けたCADデータの課題解決のご提案として、ダッソー・システムズ株式会社(以下DS社)の3DEXPERIENCEの活用例をご紹介します。
CADデータ管理の課題例
CADデータを管理する上で特に起こりやすい課題として、CATIA V5などのアセンブリに関する以下の事例が挙げられます。
1) 共同設計で複数人がアセンブリを呼び出して更新するため、保存のタイミングによってはどちらかの変更が失われることがある。
2) CADシステムの機能を使わず、ローカル環境のファイルシステムでアセンブリの複製や移動を行うと、アセンブリの部品間でリンク関係が壊れてしまう。
3) 設計変更後の部品ファイルの命名規則が設計者ごとに異なるため、最新データが判別できずに間違った部品ファイルを使用して問題が発生している。
4) データの更新状況、アクセス権の管理ができていないため、意図しないデータの編集・削除が発生している。
5) 必要なデータを探したり、見つけたデータが最新なのか確認したりすることに膨大な時間を要している。
6) ファイルシステムの管理では、共通部品が複数の製品にある場合、ひとつの製品の部品を更新しても他方には反映されず、古い部品で設計が進んでしまう。
原因と運用ルールの限界
前述の課題は、CADデータなど設計に関連するデータの一元管理や版管理ができていないことが原因だと考えられます。これらの課題について、現場の運用ルールで解決したいというご相談がありますが、私たちはシステム制御による対策をご提案します。表1に示すように運用ルールでの対策では限界があるからです。
3DEXPERIENCEによる対策
3DEXPERIENCEを活用することで、次のような対策を行うことができます(図1)。
対策①:CADデータ管理
共同設計に適したデータベースでCADデータ(部品/アセンブリ/図面)を管理できます。これにより、最新のCADデータが容易に探索でき、ローカル環境でのファイルシステムの管理で発生しやすかった不要なコピーデータの増加も防止できます。さらに、CATIA V5との親和性が高く、強固なアセンブリの管理ができるため、ファイルシステムの管理で問題の多かったアセンブリのリンク関係の課題が解決できます。
対策②:構成管理
Product Structure Editorの機能により、アセンブリ部品構成の視覚的な把握が可能となり、目的の部品に素早くアクセスできます(図2)。
対策③:情報・データ検索
検索方法には次の4つがあり、目的のデータを素早く探すことができます。その上、検索時には、3Dの形状データの表示が可能で、検索結果から形状を確認できます。
- 検索:キーワードを入力して、目的のデータをデータベースから検索します。
- 6WTag:データに対し、独自の6WTag(Who:誰が、When:いつ、What:何を、Where:どこで、Why:なぜ、How:どのように)を付加し、検索条件に利用できます。
- 拡張検索:キーワード以外に、修正日やデータタイプなど、複数の条件を設定して検索できます。
- マイコンテンツ:自分が作成したデータを一覧表示できます。
対策④:版管理
部品の版管理ができます。アセンブリの子部品をリビジョンアップしても、常に最新リビジョンの構成を表示します。また、それぞれの部品に「作業中」「凍結」「承認済み」「廃盤」というステータスを設定し、個別に作業進捗状況を把握できます。
対策⑤:排他制御
予約機能により、CADデータの編集権利を排他制御できます。予約中は、他の設計者がCADデータを保存できないように制限し、意図しないデータ編集を防止します。
対策⑥:セキュリティ・アクセス権管理
データの種類、ステータス、部門、プロジェクトごとにアクセス権を設定して管理できます。
3DEXPERIENCEの基盤構成
3DEXPERIENCEには、「オンプレミス版」と「クラウド版」があります。
- オンプレミス版:自社で準備したサーバーPC、アプリケーションサーバー、データサーバーに3DEXPERIENCEを構築して運用
- クラウド版:DS社のクラウドサーバーに構築された3DEXPERIENCE環境をインターネットを経由して利用
クラウド版は、インターネット環境があれば使用可能で、テレワーク時にも自宅から必要なデータにアクセスできます。サーバーのメンテナンスやバージョンアップ対応、災害復旧対策などを考慮すると、クラウド版をミドルマーケットのお客さまに推奨できます。
おわりに
CATIA V5を既にご利用のお客さまは、3DEXPERIENCEにCATIA V5から直接アクセスし、データを管理できます。また今後、CATIA V6に移行されると、CATIA V6のライセンスを3DEXPERIENCEに追加してご利用できます(図3)。
今回ご紹介した3DEXPERIENCEの導入で、表2の効果が期待できます。CADデータの管理を確実に行い、設計の手戻りを削減して設計時間を有効活用されませんか。
私たちは、ものづくりのプロセス全体におけるお困り事に対し、PLMシステムを融合させた課題解決法をご提案します。ぜひ担当営業までお問い合わせください。
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