NTT DATA — Trusted Global Innovator

株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ

No.34 お客様事例

CATIA V5で新たな提案を確立する

中央発条工業株式会社様は、精密スプリングの総合メーカとして、積極的に研究開発や技術向上に取り組まれ、さまざまな産業分野の製品を開発されています。常に製品が担う役割や重要性を考えて、「良い品をムダなく早く需要家へ」の品質方針を合言葉に、お客様のニーズに対応されています。

今回は、CATIA V5を導入された背景と今後の効果についてのお話を中心に、専務取締役 企画室長 竹内康晃様、技術部 技術課 課長 一級金属ばね製造技能士 橋口啓也様にお伺いしました。

事業概要

人物の写真
専務取締役 企画室長
竹内 康晃 様

昭和19年9月に中央発條株式会社の九州工場として発足し、昭和23年11月に中央発条工業株式会社として分離独立しています。創業以来、弊社は小物精密ばねを得意とし、自動車、建材、その他の産業分野の製品を開発、設計、製造しています。

弊社は、ISO9001認証の取得をした後にも、継続的に改善を行い順次下記の認証を取得しています。

平成12年7月「ISO9001認証」を取得
平成12年7月「QS9000認証」を取得
平成14年2月「ISO/TS16949:1999認証」を取得
平成14年10月「ISO14001認証」を取得

特許の製品について

付加価値の高い製品ということで、自社で開発したものを製造しています。「外装建材下端部取付金具」、「外装建材取付金具」、「防盗型キーシリンダリテーナ」、「クラッチリターンスプリング組立体」は自社開発した製品で、特許を取っています。

外装建材の金具

家を建てる場合も、ハウスメーカー様が大きいボードを工場で作って、施工現場で組付けていく工法に変わりました。そのボードを取付ける金具が必要になり、壁回りの金具の「外装建材取付金具」を開発しました。

製品の写真 製品の写真
外装建材取付金具

自動車盗難防止のばね

自動車の盗難が増えていまして、特にヨーロッパなどは、その自動車の盗難防止性が高いほど保険料が安くなるそうです。2分間ドアが開かなければというボーダラインがあり、「防盗型キーシリンダリテーナ」はドアの内側に入るようになっていて、盗難防止性が高いという付加価値をつけています。

製品の写真
防盗型キーシリンダリテーナ

ATミッションのスプリング

「クラッチリターンスプリング組立体」は、オートマチックトランスミッションの中に入る部品で、プレートが上下にあり、その間にばねを埋め込んでいます。

製品の写真
クラッチリターンスプリング組立体

NASTRAN for Windows導入の背景

20年ほど前に、カーメーカー様から設計ツールとして、解析システム(MSC NASTRAN)を紹介されたのが導入の始まりです。

導入後は、応力解析した結果と実際の歪み現象をさまざまな開発品で検証し、均等な応力になる形状を検討しました。

次に導入したのはPCの2D CADです。

やはり、PCで図面を描くということを最初に体験したのは、出向先のカーメーカー様のところです。弊社は、カーメーカー様に出向し、数年に渡りデザインインとして技術支援サービスをさせていただいています。このように初期段階からもの作りのお手伝いをしている中で、カーメーカー様の最先端の解析システムやCADシステムを使わせていただき、会社へ戻ってから社内展開してきました。

始めに導入した解析システムは、使用できる節点数が非常に少なく、工夫しながら使っていました。そのため、解析をしていたPCの調子が悪くなったのを機に、最新版の解析システムの検討を始めました。従来の機能を網羅し、より安価なシステムをいろいろ検討して、3年前にHZSのNASTRAN for Windowsに決定し、導入しました。

会社風景 会社風景

デザインイン

自動車のモデルチェンジは、頻繁に行なわれていますが、弊社の部品が構成されている構造自体は、あまり変わりません。例えばトランスミッションですが、エンジンの動力を走る力に変換する一番重要な部分で、超精密な部品で構成されているため、非常に長い期間をかけて開発されます。ですからひとつのAT構造の寿命というと最低でも10~15年ぐらいです。

1990~1995年にデザインインをさせていただいて、変速特性など、いろいろなものを考慮して、新規に「クラッチリターンスプリング組立体」を開発しました。これは、ばねをプレート2枚で固定することにより、ねじれ剛性の向上と自動組立を可能にし、組立時の時間短縮や、部品の共通化による低価格などを提案して、受注することができました。

「クラッチリターンスプリング組立体」は従来の問題点を見直して、新しいアイデアを盛り込んで開発することができた製品です。

この部品を使ったATは、今世界中のATの中で、高性能、軽量、低価格という最高の評価をいただいています。このように、先行開発から一緒に設計することによって、早い段階からどのようなばねの部品を作ればいいのかが分かります。また、製造する立場からも、こういう形状にした方が、安くて、耐久性も満足できて品質も安定できるといった提案がレスポンス良くできます。

今後も設計支援サービスには力を入れていきます。

画面例 画面例 画面例
画面例 画面例

CATIA V5導入の利点

弊社の取り組みである継続的改善として、お客様の要求に対して、品質とコストダウン要求をクリアできる体質ということで、いろいろな認証を取得してきましたが、CATIA V5を導入することもその取り組みのひとつです。

お客様と相互通信できるソフトまたはハードを持っているという取り決めがISOにあります。そのため、弊社はいろいろなカーメーカー様との取引きを前提にしているので、3D CADを検討するときに、お客様との互換性を重視し、慎重に選定しました。その結果、CATIA V5に決定し、HZSから導入しました。

CATIA V5の3Dデータをいただくことにより、周辺との干渉や位置関係の確認など、今までできなかった提案をしていこうと考えています。

人物の写真
技術部 技術課課長
一級金属ばね製造技能士
橋口 啓也 様

【デザインインで即戦力】

これまでは、デザインインとしてお客様のところで、設計支援ツールを使わせていただきましたが、やはり、使いこなせるまでに時間がかかります。

お客様のCADも2次元から3次元に替わってきていますので、弊社はデザインインのときに、即戦力になることを考えてCATIA V5を導入しました。

CATIA V5を使いこなすまでには時間がかかりますので、事前に弊社で機能を習得することで、CATIA V5を使った弊社の製品設計の技術支援だけでなく、周辺部品の設計のお手伝いができれば、強力な武器になると思います。

製品の発注になると、より低価格で高性能の製品を求められますので、弊社がカーメーカー様としての仕様を決定する初期開発の時点で技術協力をしていても、競合他社数社に対して条件を提示されます。そこで一線上に並びますので、弊社も製品、価格を提案させていただきますが、設計支援サービスをしていることで、よりお客様のニーズに合った製品を開発していこうとしています。

【一歩進んだ提案】

これまでは弊社の部品は、見た目で形状が理解できるため、寸法だけ決まっていれば、3D CADで、ばね形状を緻密に表現する必要性はありませんでした。

しかし、最近では、例えば外装品のサンルーフ用スプリングの設計にCATIA V5を使うことを考えています。

サンルーフを開いて高速で走ったときに、風が入ってこないようにデフレクターと言って小さい羽の壁が出てきます。サンルーフ用スプリングは、サンルーフが後退したときに、そのデフレクターを風の抵抗に負けることなく上げておくためのばねです。

デフレクターを開発されているメーカー様は、CATIA V5を導入されていましたので、弊社がCATIA V5を導入したことをお伝えすると、喜んでいただき、戦力になるとのことでした。

これまでは、デフレクターの開発の方から2次元の図面化したものをいただいて、この形状で、このくらいの反力が出せるスプリングは成り立つのか、という問合せからスタートしていました。それがCATIA V5を導入したことで、デフレクター周辺の3Dデータを受け取ることができます。

そして3Dデータから指定されたスペース内で、形状と反力が成り立つばねを弊社が設計して、その3Dデータを返すということが可能になってきます。このように、周辺データをCATIA V5でいただくことにより、一歩踏み込んだ提案ができると思います。

製品の写真
レキシブルホースクリップ
画面例

【周辺との干渉チェック】

自動車の外装、内装、エンジン関係で、単独の部品として周辺との干渉をチェックすることができるようになります。例えば、エンジン部品でワイヤークリップという部品があります。これは車のO2センサーのリード線が途中で下がらないように止める部品で、車の底の隙間をぬってボルトで留めます。回したいリード線の方向に対して、他と干渉しないように、どういう形状のばねがいいかの検討が弊社でできるようになります。

【CATIAデータのやり取り】

現在、仕事の受注をするときは、3Dデータでやり取りができることが取引条件になっています。そのため、お客様が持っておられる3Dデータを受け取るためには、CATIA V5が必要でした。相互通信としての役割をCATIA V5は担っています。多くのばねの部品は、CATIA V5の中で設計が完了するわけではなく、CATIA V5でデータを受け取って、2次元化したIGESデータにします。それをもとに社内で金型を製作する2次元図面を作成しています。

【社内的にも効率を図る】

3DデータがCAMまで含めて、社内で流れていくような方向で検討していくことも今後は考えています。CATIA V5には、いろいろな可能性があります。導入された企業によっては専門が違いますが、その専門ごとにCATIA V5を使いこなして効果を出されているので、弊社もCATIA V5の良さを理解して、使っていこうとしています。

HZSについて

CATIA V5導入後に何かとサポートしていただきたい問題もあると思っています。HZSからCATIA V5を導入すると決めた要因のひとつは、HZSの営業の方の誠実なお人柄と、長い目で見て良いお付き合いをさせていただける会社だと期待しているというのはあります。

CATIA V5の操作に関しても社内で使いこなせる者が何人もいるわけではないので、いろいろなサポート、情報の提供をお願いします。

おわりに

「ばね」というとワイヤーが巻いた状態のものを思い浮かべますが、板状のばねが身の回りにたくさんあることが分かりました。いろいろな「ばね」について分かりやすく説明していただきました。

大変お忙しいところ、貴重な時間をさいてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

会社プロフィール

会社の写真
本社・工場
本社・工場 大分県日田市新治町503番地
分離独立 昭和23年11月
資本金 5,000万円
従業員 210名(2004年5月現在)
事業内容 自動車部品、建築金具、その他商業分野のばね、スプリングなどの開発、設計、製作
製品例 製品例

― この記事に関連するソリューション ―