人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.50 | お客様事例
プロダクトデザイン科新設!
〔CATIA〕実習を含む教育カリキュラムにより、
ハイレベルなデジタルエンジニア養成を目指す
学校法人龍馬学園
国際デザイン・ビューティカレッジ
プロダクトデザイン科教員 石元・山崎

学校法人龍馬学園は、「高度な職業教育を通して、専門知識と人間性豊かな、地域・国家・国際社会に貢献する人材を育成する」という教育理念のもと、高知県に3つの専門学校を運営・教育しております。その内の1校、デザイン専門学校である【国際デザイン・ビューティカレッジ】に今年度、ものづくりに携わる人材を育成するため、プロダクトデザイン科が新設されることになりました。当校には「デザイン専門学校」として長年培ってきたデザイン教育の基礎があります。この強みを活かしつつ、3次元機械CAD〔CATIA〕を導入するなど、最先端の教育を提供し、ハイレベルなデジタルエンジニア養成に向け取組んでいきます。

校長からのあいさつ

人物の写真
学校法人龍馬学園
国際デザイン・ビューティカレッジ
校長 包国 勝 様

工業教育に携わってきた私にとって、3次元機械CAD〔CATIA〕は大変魅力のあるソフトで、機会があれば導入をと考えておりました。おりしも「社会・時代のニーズに合った人材の育成」を大きな柱とする当校で、新学科検討のタイミングと重なり、かねがね構想していたCATIAを主体とする「プロダクトデザイン科」の新設に踏み切りました。CATIA学習を通し、専門性の高いデジタルエンジニアを市場に送り出すことは、地域産業の発展、また貢献にも繋がっていくと確信しております。各方面のご協力を、どうぞよろしくお願い致します。

プロダクトデザイン科 新設のいきさつ

日本における製造業は、全世界での生産部品調達の流れの中に取り込まれ、プロダクトデザイナーによって生み出される工業製品は多種多様です。そのため、製造の根幹を成すCAD/CAMシステムにおいても、グローバルスタンダードなシステムの利用が必須となってきています。世界で最もよく使われている3次元機械CAD〔CATIA〕は、日本でも近年、加速的にシェアを拡大させ続けています。今後、プロダクト製品の設計においては、CATIAが業界の標準となる見通しです。しかし反面、CATIAは最上級クラスのソフトで、金額的に高価なこともあって、業界では慢性的な技術者不足の状態が続いています。このような状況の中、デザイン専門学校として「ものづくり」のためのハイレベルなデジタルエンジニア養成の必要性を強く認識し、プロダクトデザイン科の新設に至りました。

プロダクトデザイン科・教育内容

①CATIA実習

授業風景
授業風景

「株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ」のCATIA電子教材システムであるCATIA-Trainerを使用して教育カリキュラムを実施しています。CATIA-Trainerは、学習者のスキルにばらつきのある場合にも、それぞれの能力や学習速度に合わせて学べる仕組みになっています。本科では教育を始めて間もないのですが、このようなシステムの導入により、単なる集合教育では実現できない高い学習効果を発揮しています。

○ソリッドコース

  • CATIAの基本操作を行い、基本的知識を持つ。
  • CATIAを操作して実際に3次元形状を作成する。
  • 仕様ツリーを操作し構成を理解する。
  • フィチャーの積み重ねで、形状が成り立っていることを理解する。
  • 複雑に見える形状が、フィチャーのかたまりであることを理解する。

<20年度CATIA学習カリキュラム>

○サーフェイスコース

  • アセンブリから複数のパーツを作成する方法を習得する。
  • サーフェスとサーフェスに関連するコマンドを理解する。
  • サーフェスで作成した形状をソリッド部品に仕上る流れを学習する。
  • スケッチや3Dカーブを作成し、さまざまなサーフェスを作成する。

○トラブルシューテイング

  • 実際のモデリングで発生するトラブルに備える。

②機械製図

製図の基礎を十分に把握し、機械製図に関する規格を理解して、機械、器具などの図面を正しく読み、作成する能力を養うとともに、設計製図の基礎的な技術を修得できるよう学習します。

製図に関する日本工業規格および各専門分野の製図について、基礎的な知識と技術を修得させ、製作図、設計図を読み、図面を構想し作成する能力と態度を育てます。

具体的取組みとして、「製図用具を正しく使用できる」、「線や文字を正しく書くことができる」、「立体を平面上に正しく表現でき、また図面から正しく把握できる」、「機械要素の種類・構造・用途および規格などを理解し、それらの図面を正しく読み、書くことができる」、「思考し、創造する能力を身につける」があります。

③材料学

いろいろな工業製品を作りだすために用いられる工業材料の基本的な知識を学習します。工業材料の身近な利用例から、どのような材料が使われているかを学び、従来から使用されている材料、最新の材料の基礎を理解させます。また工業材料を環境問題の観点から、リサイクルなど省エネルギーとの関係を学習し、これからの工業材料について考える能力を育てます。具体的取組みとして、「材料の有用性や材料をつくりだす上でいろいろな要素の関係、構造、性質を学ぶ」、「金属材料の種類と性質、製造方法、加工方法を学ぶ」、「セラミックス、近年のファインセラミックス、高分子材料、複合材料、新素材を学ぶ」、「工業材料の代表的な検査、測定について学ぶ」、そして「工業材料のリサイクルと、これらの材料に求められる技術について学ぶ」等があります。

④CAD実習

AutoCADを使ってCADソフトの基本的な特性の理解と、2次元製図の操作方法、操作手順を習得します。また、CADソフトの概念を理解することにより、あらゆるCADソフトに対応できるようになります。

⑤デッサン

デザインに必要なデッサンの基礎を学びます。対象物を正確に捉える観察力や、描写力を身につけ、表現力の幅を広げます。

⑥造形

製品の写真
造形機による実習

デザインや造形活動をしながら自然と環境、立体物と人間との関係を考え、造形に対する感覚・直感力を鍛え、ものづくりをしながら計画性・心理的機能・物理的機能を理解し、デザイン力をつけていきます。造形物を制作することにより、デザインの基礎的な構成力、創造力などを育成します。

⑦ベーシックデザイン

デザインとは何かをテーマに、デザインと人間の関わり方を学習し、デザインに対する探究心を養います。デザインの基本を学習し、単に知識や技術の向上のみに留まらず、デザインを通じて精神的な成長を促します。

⑧レンダリング

デザイナーにとって必須である「モノを自在に描く」という技術を習得します。アイデア段階のスケッチから、プレゼンテーション時のレンダリングまで幅広く学習します。

⑨雑貨デザイン

雑貨の基礎知識を理解し、雑貨クリエイターとしてのセンスや発想力、市場動向やマーケティングに基づいた商品の企画力を身につけます。雑貨業界のマーケティング知識の習得、雑貨クリエイターとしての知識の理解、企画力、発想力、想像力を習得します。オリジナルの雑貨の企画、制作を行わせることにより、モノを創りだす技術を習得させます。

⑩雑貨アクセサリー

製品の写真
雑貨アクセサリー

様々な素材を使い、アクセサリーの基本的な製作技術を学びます。様々な企画に対応できるよう、ものづくりのアイデアとテクニックを身につけます。商品として成り立つレベルの製作技術を身につけることで、「文部科学省許可(財)日本余暇文化振興会認定 クレエ&クレイアクセサリーコース技能」の資格を取得します。技能だけでなく、具体的に体験談などを聴習することで、クリエイターとしてのイメージやプロ意識を身につけさせます。

⑪プロダクトデザイン演習

ものづくりの基本は手を使って発想し、創る作業です。学内外での実践体験を通して、手を動かし身体を使って、モノのデザインをしていきます。傑作製品のスケール模型を制作しながら、模型の持つ役割から、基礎的な知識を学び、設計デザインに生かしていきます。また、ディテールを理解しプランに反映させていきます。製品のデザインの意味を理解し、社会性をもって各自の美意識を高め、ものづくりをしながら、個々のデザイン観を完成させていきます。

⑫色彩設計

文部科学省が後援する「色彩能力検定」の内容を中心に、色彩知識を習得します。1級色彩コーディネーターで、AFT認定色彩講師でもある、本科講師のモットー「適色適所」を、専門分野で駆使できるようなカラースキルを身につけさせます。

⑬人間工学

実際に人間工学に基づいて作られたモノを参考にしながら、人間が自然な動きや状態でモノを使えるように設計(デザイン)することを学びます。そのために、人の物理的な形状や動作、群衆の動き、動きにともなう心理や医学的な人体の変化など、基本的な知識を習得し、デザインに活かす力を育みます。

⑭ユニバーサルデザイン

製品の写真
椅子の製作
製品の写真
家具の製作

文化・言語の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)を学びます。今日、我々の生活環境の中にある多くのモノが、ユニバーサルデザインを前提に企画され生産されています。人間工学とも密接に結びつくユニバーサルな(誰もが使いやすい、簡単に使用できる)モノの企画・設計を、利用者の視点から考える能力を培います。

⑮福祉住環境学

高齢化社会に伴い、福祉・介護の問題が深刻化する現在、ものづくりの現場では福祉住環境コーディネーターの能力が大変注目されています。これは高齢者や障害者に対して住みやすい住環境を提案するアドバイザーのことですが、医療・福祉・建築について体系的で幅広い知識を身につけている必要があります。このような福祉住環境の知識や技術を十分に習得し、社会のニーズに応えられる能力を養います。

プロダクトデザイン科の人材育成

現在では、コンピューターを使わない実務は考えられません。本科では、現場に即したあらゆるコンピューター業務に対応するため、設計支援ソフトやワープロソフト、表計算ソフトの基本的操作を習得するデジタル教育に力を入れております。中でもプロダクトデザインに欠かせない、3次元機械CAD〔CATIA〕を活用した3D教育ではCATIAスペシャリスト資格取得に向けてサポート体制を整え、多種多様に渡り活躍できるプロダクト系・機械系の人材(デジタルエンジニア)養成を目指しています。

プロダクトデザイン科 CATIA認定技術者資格

3次元機械CAD〔CATIA〕の操作能力を証明する資格です。CATIAのベンダーであるダッソー・システムズが主催し、「パートデザイン」、「サーフェスデザイン」、「アセンブリデザイン」という3つのプロダクトトラック毎に、3段階のグレードレベルの試験(スペシャリスト→エキスパート→マスターの順)が実施されています。

当校では、スペシャリスト(対象となるプロダクトに関して基本的な操作技術を有するレベル)を目指すためにCATIA-Trainerを使用した教育カリキュラムを組むなど、確実なサポート体制を準備しています。

プロダクトデザイン科 今後の取り組み

今年度からスタートした学科ではありますが、今後、関連業界と密に連絡を持ち、業界が求めている人材を育成していきたいと思います。教育法に縛られない専門学校の強みとして、民間企業からの最新のニーズをフレキシブルに反映させた教育を行っていくことが可能であると考えています。

企業の皆様へのお願い

デジタルエンジニアを志す学生達にとって、実際の製造現場を体験することは、大変有意義であると考えています。そのため企業の皆様方には、何卒そういった学生達に会社訪問や、見学の機会を与えて下さいますよう、ご協力をお願い申し上げます。

また、平成22年3月には【国際デザイン・ビューティカレッジ】のプロダクトデザイン科第一期生を社会に送り出します。その折には、是非彼らに、やり甲斐や使命感を持って働ける環境を、ご提供していただきたいと思っています。デジタルエンジニアやCATIAオペレーター等の求人などございましたら、どうぞ当校までご一報下さい。

重ねてお願い申し上げます。

【お問合せ先】
龍馬学園 就職部 担当/平尾
TEL:088-825-3303

学校プロフィール

会社の写真

学校法人龍馬学園 国際デザイン・ビューティカレッジ

URL http://www.ryoma.ac.jp/cid/(外部サイトへ移動します)

住所 〒780-0935 高知県高知市旭町2-22
電話番号 088-875-0099
開校 平成4年4月1日
教職員 31名(2008年5月現在)
事業内容 全8学科を擁する専門学校。
文化教養課程として、全国で初めて漫画の専門教育を開始した「マンガ・アニメ科」や、「グラフィックデザイン科」、「インテリア建築科」、「プロダクトデザイン科」、「デザイン研究科」のデザイン系学科を設置。
工業課程として、二級自動車整備士を目指す「オートメカニック科」を設置。
衛生課程として、美を追求しエステティシャンを養成する「トータルビューティ科」と、美容師を養成する「美容科」を設置。

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