Simufact Forming 16.0 のご紹介
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 製造ソリューション事業本部 ソリューションビジネス事業部 CAEソリューション部 第一サービス課 廣川 啓 |
はじめに
本項では、メタルフォーミングプロセスシミュレーションシステムSimufact Formingの最新動向をご紹介いたします。
Simufact Formingの新機能
Simufact Formingは現在、最新バージョンとして16.0を提供しています。主な新機能を以下に示します。
- 新しいプロセスタイプの追加(誘導加熱、浸炭)
- モデル形状のチェック機能
- 結果評価機能の追加と改良
- 境界条件設定機能の見直し
新しいプロセスタイプの追加(誘導加熱、浸炭)
誘導加熱
既存の「加熱」においては、ニアコンタクト機能を使った熱伝達による昇温を計算できましたが、新たに加わった「誘導加熱」では、電磁誘導による高周波加熱を再現できます(図1)。すべてのアプリケーションモジュール(基本機能:HUB)で使用可能です。
浸炭
「浸炭」がアプリケーションモジュール「熱処理」に加わりました。炭素雰囲気中における熱処理で炭素濃度が変化する様子、およびそれに伴う材料プロパティの変化が確認できます(図2)。浸炭させたくない領域(ペースト塗布など)も設定できます。「浸炭」を使用するには、別途ライセンスが必要です。
モデル形状のチェック機能
インポートしたモデル形状データをチェックする機能が搭載されました。これまではモデル形状にエラーがある場合でも、GUI上での確認が極めて難しいケースがありました。16.0からは、メッシングあるいは計算中に不具合を引き起こす可能性がある形状エラー部位をハイライトできるようになりました(図3)。
結果評価機能の追加と改良
結果評価のための各種機能の追加および改良が行われました。ここではその代表として「"形状の比較"機能」、「3Dセクターの展開」、「ポストパーティクル」をご紹介いたします。
「形状の比較」機能
計算結果の形状と成形後のCAD形状(あるいは、ほかの参照形状)を簡単に比較できる「形状の比較」機能が搭載されました(図4)。
3Dセクターの展開
対称性を考慮してn分の1モデルとした3次元モデルについて、その計算結果をフルモデル表示にして評価できるようになりました(図5)。また、n分の1モデルの計算結果をフルモデルに拡張して、次工程の計算に利用することもできます。
ポストパーティクル
2次元モデル・3次元モデル双方において、計算後、素材およびデフォーマブルダイに対してパーティクルを作成できるようになりました。
境界条件設定機能の見直し
これまで実装されていた境界条件の設定機能が見直されました。15.0までのオーバーラップを除く境界条件機能は、「ボリュームメッシュの直接作成」で作成したデフォーマブルダイにしか使用できませんでしたが、16.0よりユーザーが作成したすべてのメッシュを構成するノードに対して使用できるようになりました。16.0にて設定できる境界条件は、「固定変位 (Fix displacement)」「ノードを保持 (Hold nodes)」「荷重を適用 (Apply force)」「オーバーラップ (Overlap)」の4つです(図6)。
この中で、特に型締めの計算において有効な「ノードを保持」機能の使用例をご紹介いたします。型締めの計算を行うと、インナーの外径面が締め付けられることで、インナーの内径面の寸法が当初の寸法(設計寸法)よりも小さくなり(図7)、その後続けて成形計算に使用する場合は、計算結果に影響を及ぼします。これを避けるために、型締めの計算時にインナーの内径面を構成するノードに対して「ノードを保持」を使用すると(図8)、型締めの影響で発生する応力分布に影響を及ぼすことなく、内径面の寸法を維持できます(図9)。
おわりに
新バージョン16.0は、本項でご紹介した以外にもさまざまな新機能が追加されています。また、従来の機能の安定性などの改善も図られています。ご興味がございましたら、ぜひとも担当営業までご連絡ください。
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