Darwin Vueによる図面レス運用の事例紹介
PLM事業本部 開発統括部 PLMソリューション開発部 部長 広崎 貴 |
はじめに
日本の製造現場を見る限り2D図面の利用比率はまだ高いようです。形状情報の伝達については3Dビューワで充分に渡すことができていますが、寸法、公差、仕上げ、材質などの属性情報がまだ充分でなかったり、CADやツール毎に仕様がばらばらであることが、図面レス運用が進まない大きな一因と思われます。JAMA、JEITAなどの3D単独図標準化が進み、ツールがみな準拠すれば図面レスは加速しそうですが、現段階では3D伝達の良さを活かし、不足部分は図面運用も残して補う形が現実的です。
金型メーカの事例:金型組立資料
Space-E/Moldを利用して3次元金型設計を行っている金型メーカ様の事例です。
■金型組立工程で金型部品番号の確認
設計部が作成したモールドベース(3D CADデータ)のモデルを組立工程で確認するため、現場にDarwin Vue専用PCを設置しました。3D CADデータはLANで共有しています。
Darwin Vueを使って、イジェクタピンなどの金型部品の部品番号を閲覧できるので、3Dでの配置位置を見ながら部品情報を確認できます。
これまでは、部品表を紙で渡していましたので、新規金型の立ち上げ時や設変がある場合は、組立工程向けの部品表を作成する必要がありました。それが3D CADデータをDarwin Vueで閲覧することで、効率的な組立資料として活用しています。
3D CADデータの部品と構成ツリー、その部品の属性情報(部品コード、材質、名称など)がDarwin Vue内で連動して参照できます。
※ 他社MOLDシステムや部品表DBと連携させる場合にはカスタマイズが必要です。
成形メーカ・金型メーカの事例:見積・検品
見積・検品にDarwin Vueを利用している事例です。
■アンダーカット部の検出
システムが部品形状から自動的にアンダーカット領域を検出します。熟練した金型技術者でなければ、つい見逃してしまいがちなアンダーカット領域を見つけ、スライド検討などをすばやく正確に行えるようになります。


■正確な見積作成
Darwin Vueの見積支援機能では、部品データが配信された際にプラ部品のCAVI抜き方向投影面積、プレス部品の剪断周長を簡単な操作で求めた後、型内圧力、取個数などを設定して必要型締め力、必要剪断力を算出できます。この見積支援機能と3Dの形状確認により、正確な見積をすばやく作成できるようになりました。
■バリ位置の記入

検品時の問題箇所や計測値の記入の他に、バリ発生位置を形状に書き込むことができます。これにより正確でわかりやすいフィードバックが可能になり、事例の蓄積もできます。
事務機メーカ 生産技術部、金型メーカの事例:金型構想書
金型構想書にDarwin Vueを利用している事例です。
■コメント履歴機能の活用
3D空間や形状に沿って、文章での注記や作図による指示などを記録して、返信のコメントを追記できるコメント履歴機能があります。この機能を活用して、部品の立ち上げ時に、担当者間、部門間、取引先との間でのキャッチボールを記録・配信・蓄積していくことで、2D図面を使ったコミュニケーションでは得られない効果がありました。
注記、朱書き(PL案、設変依頼、加工方指示など)を書き込むだけでなく、時間や記入者、課題管理項目などで整理して記録できます。
自動車部品メーカの事例:生産要件盛り込み
生産要件盛り込みにDarwin Vueを利用している事例です。
■打合せの効率向上
Darwin Vue導入前は、生産技術要件の打合せに時間がかかったり、説明内容が相手にスムーズに理解してもらえないケースが多々起こっていました。
それがDarwin Vue導入後には、生産技術要件の盛り込みに関して、製品設計者との打合せの効率性が向上しました。また、打合せ記録を残すことで、スムーズに修正作業ができるようになりました。
Darwin Vueは、情報とモデルの連動ができるので、CADシステムでは難しい「意思入れ」、「意図伝達」を補助する役割があります。
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