人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
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No.96 | システム紹介
Project-Space® Version 2.3
新機能のご紹介
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
ビジネスインテグレーション事業本部
ビジネスソリューション企画室
ビジネスソリューション部 部長 原辺 文景

はじめに

2020年2月にProject-Space Version 2.3(以下、Ver2.3)のリリースを予定しています。

Project-Spaceは、設備工事、建設、造船、橋梁、新電力など、受注生産型製造業に特化したERPソリューションです。NTTデータグループで開発した純国産のERPであるBiz∫(ビズインテグラル)をベースに、業界特有の機能を実装していることでカスタマイズを最小限に抑え、基幹業務システムとして必要な業務領域をカバーしています。

Ver2.3では、これまでご要望が多かった「実行予算機能」「未払工事費機能」の強化に加え、近年ますます需要が高まっている「グループ会社利用機能」に対応しました。

本稿では主にVer2.3の概要についてご紹介します。

実行予算機能の強化

受注に基づいて作業を行う建設業などでは、契約や現場ごとに予算を立てて管理していくこと(実行予算)が重要とされ、収益を確保するためにも、原価予算を正しく運用することが求められてきます。その運用に必要なのが以下の点です。

  • 適正な実行予算の計画および見直し
  • 予実管理の細やかさ
  • リアルタイム性、見通し

また、2021年4月からは、新たな会計基準である「新収益認識基準」の適用も控えています。

Project-Spaceでは、これまでにも「実行予算機能」としてプロジェクトごとに予算を管理し、見込み原価と実際の原価を参照できる機能を設けていましたが、これらを踏まえ、Ver2.3で実行予算機能を強化しました。

1)実行予算と購買管理の連携

図1 実行予算・原価見込み・購買依頼のアップロード画面
図1 実行予算・原価見込み・購買依頼のアップロード画面
(クリックすると拡大画像が表示されます)

取引先業者への購買依頼、発注、仕入れ、検収処理を行う「購買管理機能」に、実行予算機能で登録した予算明細を連携させられるようになりました。従来のバージョンでは、予算と実績の対比がプロジェクト単位でしかできませんでしたが、今回の機能強化によって、詳細な品目レベルでの対比が可能となります(図1)。

2)限界利益管理への対応

予算品目ごとに、変動費か固定費かの属性情報を登録できるようになりました。これにより、限界利益(損益分岐点)の管理が可能となります。

3)ワークフローによる承認

実行予算の登録や変更、着地見込み額の入力時に上長が承認を行える機能を追加しました。これまで、システム外で運用されていた承認の手続きを、システム内でできるようになります。

4)原価管理台帳の充実

原価管理に役立つ各種レポートを充実させました。「工事別予算実績比較表」「実行予算履歴比較表」「実行予算および見込原価登録台帳」「変動費固定費別原価管理表」「月別発生額管理表」「工事原価管理表(総括/明細)」などを出力でき、さまざまな角度から実行予算進行の状況を把握、分析することができます。

未払工事費機能の強化

図2 未払い工事計上フロー
図2 未払い工事計上フロー
(クリックすると拡大画像が表示されます)

取引先企業への発注後、まだ、検収や支払いが済んでいない工事費などについて、Project-Space上で自動計上できるようになりました(図2)。未払い費の会計処理は、会計監査においても重要な確認項目です。今回の機能強化により、今まで会計伝票入力にて対応していた未払工事費の計上を、専用画面を用意することで入力をしやすくし、また自動計上処理機能も追加しました。

グループ会社利用への対応

1)マスタ配信機能

グループ会社間でのマスタ一元管理を実現する「統一マスタ配信機能」を追加しました(図3)。これにより、いずれか一社にマスタメンテナンスを行っていただくことで、他のグループ会社にそのマスタが配信され、登録の漏れ・誤り、メンテナンスタイミングの差異による不整合などが減少し、作業負荷の軽減、登録ミスの抑制につながります。

図3 グループ会社間でのマスタの一元管理を実現するBiz∫の統一マスタ配信機能
図3 グループ会社間でのマスタの一元管理を実現するBiz∫の統一マスタ配信機能

2)会社(テナント)切替機能

図4 会社(テナント)の切り替え機能
図4 会社(テナント)の切り替え機能
リストボックスから会社を切り替えることで、ブラウザを立ち上げたまま、複数会社の同時並行作業が可能です。

Project-Spaceは、同一の環境を複数の会社(マルチテナント)で共同利用することが可能です。 複数会社に所属しているユーザーの場合、これまではいったんログアウト後に再ログインして別の会社の画面に入り直す必要がありましたが、Ver2.3では、ログインした状態で、会社を切り替えることができるようになりました(図4)。

この機能は、小さな改良ではありますが、シェアードサービスを導入されているお客さまにとっては、作業効率化のための大きなメリットになります。

その他の機能強化

さらに、以下の機能強化を行い、ユーザービリティーの向上、会計や工程管理のさらなる適正化を図りました。

1)前渡金支払および相殺機能の外貨対応
2)売上機能の強化
3)仕訳登録機能の強化
4)単価契約機能の強化
5)配賦材配賦機能の強化
6)補助材料配賦機能の強化

おわりに

Project-Spaceは、今後も時代のニーズやお客さまの要望に沿った新機能の追加および既存機能の強化を行い、「はやく、ながく、確実に」お客さまにご満足いただける製品を目指していきます。

ぜひとも、これからのProject-Spaceにもご期待ください。

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