人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
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No.85 | システム紹介
「受注設計製造プロセス統合ソリューション」のご紹介
~3DEXPERIENCE Platform ENOVIA V6とProject-Spaceの連携~
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ
技術開発本部 エンジニアリングシステム統括部
第一システム開発部
第三PLMシステム課 松尾 千紘

はじめに

本誌前号(No.84)では、プロジェクト管理と題し、ダッソー・システムズ株式会社の次世代製品である「3DEXPERIENCE Platform ENOVIA V6」(以下、ENOVIA)のプロジェクト管理機能についてご紹介しました。

今回は、個別受注型製造業のお客さまが抱える課題を解決するためのご提案として、ENOVIAとProject-Spaceを連携した「受注設計製造プロセス統合ソリューション」をご紹介します。

個別受注型製造業における課題

個別受注型のお客さまが抱える課題として、主に以下の3つが考えられます。

図1 受注時の見積もり精度の低さ
図1 受注時の見積もり精度の低さ
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1.受注時の見積もり精度の低さ

受注ごとに製造する製品が異なる個別受注では、原価の算出は担当者のノウハウに依存するため、見積もり精度にばらつきが発生します。

また、設計変更の発生や品質不備による手戻りや、トラブルなどのリスク(納期遅れ・コスト増)を十分に考慮できていないことも見積もり精度の低さの要因です(図1)。

図2 業務のコンカレント化とタスク管理の複雑化
図2 業務のコンカレント化とタスク管理の複雑化
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2.業務管理の重要性

全体の納期を短縮するには、従来の直列型をコンカレント(並列)型に変更する必要があります(図2)。

さらに、業務のコンカレント化に伴い、今まで以上に業務管理の重要性が増すことになります。

3.設計変更におけるタスク管理の複雑化

設計変更が発生すると、コンカレント化した業務プロセスでは調達・製造などが先行した状態で対応することになります。このことから、設計変更におけるタスク管理の複雑化が課題として挙げられます(図2)。

課題への解決策

前述した個別受注型製造業における課題がある中、お客さまの要求に対応するには、以下の4つの解決策が挙げられます。

1.管理単位の考え方・標準化

製品同士のコストとスケジュールを比較するために、まず管理単位の基準を定義します。「製品構成×業務プロセス」(図3)の考え方に基づいて行列で管理する最小単位をワークオーダー(以下、W/O)とします。

W/O単位で標準リードタイムやコストを設定し、製品ごとにテンプレート化すると、類似案件の適用時には見積もりの精度向上を図れます。

2.W/Oに基づく日程管理(WBS:Work Breakdown Structure)

テンプレート化したW/Oとその前後関係から、WBSの作成・管理を行います。W/Oの単位をタスクとした標準スケジュールを作成し、実績を投入することで、予定と実績の比較・管理ができます(図3)。

3.設計変更におけるスケジュールの対応

設計変更によるW/Oの追加・変更が発生した場合、全体スケジュールへの影響を検証します。その結果をW/Oに反映することで、即時にスケジュールへの影響度を精度よく把握できます(図4)。

4.設計変更における原価の対応

設計変更を考慮し検証して、計画原価、実績原価を基に見通し原価を立てる必要があります。このとき、原価への影響を早期に把握することで、設計変更による改善見込みや悪化リスクを予測できます(図5)。

図3 製品構成×業務プロセスと日程管理
図3 製品構成×業務プロセスと日程管理
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図4 スケジュールの対応
図4 スケジュールの対応
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図5 原価の対応
図5 原価の対応
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受注設計製造プロセス統合ソリューション

図6 統合ソリューション概要図
図6 統合ソリューション概要図
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前述の解決策を実現する手段として、「受注設計製造プロセス統合ソリューション」をご紹介します。

これは、ENOVIAとProject-Spaceを連携したソフトウエアパッケージであり、それぞれ以下の特長があります(図6)。

ENOVIA

・M-BOMを基準とした部品構成管理
・「部品構成×業務プロセス」のテンプレート形式によるマスタ管理
・設計変更による影響の検証/可視化

Project-Space

・個別原価の予算実績管理
・間接費を含む複雑な配賦ロジック
・サプライヤとWebを介した電子調達

統合ソリューションを導入することにより、次の効果が期待できます。

・個別受注型に特化したソリューションであり、設計 / BOM管理 / 計画 / 製造 / 原価管理で必要な情報を統合的に管理できます。
・設計から納入までの「品質(Q) /コスト(C) / スケジュール(D)」の見積もり精度の向上が図れます。
・設計段階でも可能な「高度シミュレーション」により、QCDの影響範囲(インパクト)を早期に特定し着手できます。

おわりに

「製品構成×業務プロセス」の考え方をテンプレート化し、そこから作成したプロジェクト情報を連携していくことで、管理体系の標準化と効率化を図ることができます。

ぜひとも、個別受注型製造業における課題解決にENOVIAとProject-Spaceを連携した「受注設計製造プロセス統合ソリューション」をお役立てください。ご質問等につきましては、担当営業までお問い合わせください。

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