人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
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No.36 | お客様事例
初心者向けのCATIAの教材を作成する

ピーシーアシスト株式会社様は、関東・東海・関西・中国・九州という幅広いエリアで、Winスクールを開設されています。また、独自の教材や指導ノウハウで、個人だけでなく、企業向けサービスも行われています。

今回は、機械系CADとしてCATIAの講座開設の背景や、CATIAのeラーニング教材のお話を中心に、代表取締役 下坂大司様、ディレクター 下坂光様、チーフ 本純一様にお伺いしました。

事業概要

人物の写真
代表取締役
下坂 大司 様

当社の母体となる会社がCADの設計、販売を行っていた関係で、ピーシーアシスト株式会社として独立した後、WinスクールとしてCADのパソコンスクールを設立したのが始まりです。Winスクールは、もともと京都から始まったスクールです。

最初はCADだけでしたが、Word、Excelなどの講座も始めていきました。その後はDTPやWeb講座など、現在ある講座を開講し、同時に京都から大阪、滋賀、奈良などの関西方面へ拠点を広げていきました。それで、現在は全国35校のWinスクールを展開しています。

スクールの特長

当スクールは、数十人のクラスレッスンではなくて、一人一人の進捗やレベルに合わせた個別レッスンになっています。クラスレッスンでは日程が合わないとか、レベルが合わないなどありますが、個別レッスンであれば、自分のスケジュールやペースに合わせて授業を予約することができます。また、講師が側にいる受講スタイルなので、質の高い授業を受けることができます。

設計の風景

個別レッスンは、学習時間と受講期間が決まっていますが、これ以外に受講期間内であれば無制限に学習できるフリーレッスンがあります。個別レッスン以外に予習、復習や検定対策をしたいという生徒さんは、空いているPCがあれば、フリーレッスンとして自由に使っていただいています。

機械系CADの新講座

【新講座を開設する背景】

2003年4月に教育訓練給付制度が改定されたので、その前の駆け込み入学が非常に多くありました。そのため、一時的に生徒数は増えましたが、その後は、著しく入学者が減少しました。

そのため各スクールさんは、いろいろな戦略を検討されたと思いますが、当スクールは、機械系CADの新講座を開設することにしました。そこで、何のシステムで機械系CADの講座を開こうかと考えたときに、いろいろな3次元CADを想定し、個人・企業双方からヒアリングを行いました。そして、大手自動車メーカがCATIAを導入し、CATIA技術者のニーズが高まっていたのが分かり、2003年3月から機械系CADの講座にCATIAを加えることを決定しました。

当社は、スクール業界の中では中堅から大手の位置にいると思います。そのため、当社のいろいろな講座の展開は、各スクールさんからも注目されています。

【柱となるCAD講座】

講師は、もともと建築や機械設計の実務経験を持っているので、当スクールは、CADの講座には力を入れています。1年間に約4,000人の生徒さんが卒業されます。講座は半年間が受講期限ですので、常に約2,000人の生徒さんが受講され、その半分はCADの講座を受講されています。生徒さんの数からいっても建築系、機械系CADの講座は、当スクールの柱になっています。

【講師の育成】

社員は50人で半分は講師をしています。非常勤講師は100名ほどです。講師の育成ですが、すでに建築CADの講座を開設していたので、講師はCADのスキルを持っていました。CATIAの講座を開設するにあたり、CATIAのセミナーや研修を受けて講師のスキルアップを図りました。その後は、1~2人が集中的に学習して、講師の指導書的なものを作っています。

CATIAの教材をeラーニングで

これまで、AutoCAD、Jw_cadの教材をeラーニングで制作していたこともあり、CATIAの講座を開設するにあたって、CATIAの教材もeラーニングにしようと考えていました。HZSには、教材の内容充実のため、ご協力していただきました。

【お互いのノウハウを結集する】

当スクールは、経験豊富な講師を揃えていることもあり、全くの初心者の方を対象にした教育内容については自信を持っています。すでにAutoCADなどの教材は、全部独自に作成しているので、その積み重ねがノウハウとなっています。

CATIAの技術的な指導というのは、HZSがノウハウを持たれています。そのお互いのノウハウを結集することで、CATIAの教材を作成することができました。非常に良い教材に仕上がっています。

今までは、CATIAの操作を中心とした技術者向けの教材が多かったと思いますが、作成した教材は、全くの初心者が分かりやすい内容になっています。また、実習とセットになっているので、CATIAの入門者向けの教材としても利用していただけます。

【企業向けと個人向けの講習の違い】

人物の写真
ディレクター
下坂 光 様

企業向けと個人向けの講習には大きな違いがあります。

HZSは、企業向けにCATIAの教育をされています。

企業の方は、設計の技術や3Dなどの基本的な知識は持たれていると思います。そのため、CATIAの技術的な機能を学習する講習内容と教材になっています。

それともうひとつは、企業が教育費を負担するということです。実際、講習内容に関しては、企業側は受講する社員に任せていると思います。

当スクールは、個人の方を対象にしていますので、全くの初心者の方が、自分でお金を払って学習されます。

受講される講習内容や教材に関しては、当スクールが全面的に責任を負うわけです。今は、消費者契約法や特定商取引に関する法律などがあり、生徒さんに合わない講座だったり、内容が悪いとクーリングオフや途中解約もできます。そのため、生徒さんに満足していただける講座の内容と教材になるよう常に努力しています。

CATIAの講座について

【初心者から経験者まで】

CATIAのコースとしては、複数あります。

初心者の方でしたらAutoCADから始めて、機械理論を理解する必要があります。それから共同作業をするためにはネットワークの知識が必要ですし、3次元CADで使う用語、考え方などやCATIAとは?PLMとは?などの概論を学んでいただきます。そのことを学んでから、実際のCATIAの操作に入るという講座の流れになっています。

人物の写真
チーフ
本 純一 様

2次元CAD経験者の方でしたら、基本的な知識は持たれているということで、CATIAの操作を中心に学習を行います。その後、どの受講生も実践編として、実際の仕様だけを見てモデリングを行う学習に進みます。たとえば、椅子をモデリングする場合は、椅子の高さ、幅や可動する角度などの条件を与えます。先生が横に付きながら、注意事項や設計のやり方を含めて演習をする講座になります。

実践編まで受講された生徒さんは、制作した課題を卒業作品にされています。もちろん作成したい図面があれば、それを作成することもでき、卒業作品は就職活動に利用していただいています。

説明図
eラーニングのトップページ
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
説明図
受講中の講座
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
説明図
CATIAデザイン講座の目次
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
設計の風景

学習の進め方ですが、2つモニターがありますので、左の画面に教材を表示させて、右の画面では実際にCATIAの操作を行います。CATIAは30台を導入し、全国のWinスクールにに割り振っています。

【チュータリング】

説明図
チュータリング
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

eラーニングのLMSは、当スクール用にカスタマイズしたものを使って、生徒管理をしています。それからチュータリングといって、講習内容に関わる指導やサービスとして、生徒さんからの問い合わせができるようになっています。これには図面も添付できます。当スクールは個別レッスンですが、このチュータリングシステムを通信講座の生徒さんに利用してもらっています。生徒さんと先生とのやり取りは、履歴が残っていて、時系列で把握することが可能です。

CATIAの講座開設の効果

【拠点の拡大】

CATIAの講座を開設する前のWinスクールは、28拠点だったのですが、CATIAの講座を開設してスクール自体が好調になり、35拠点まで増やすことができました。今後も拠点を増やす予定です。

【CATIA技術者の求人】

企業側から直接、スクールへの求人依頼としてCATIAの技術者の問い合わせがくるようになりました。

当スクールを卒業して、大手の企業で仕事をされている方もいらっしゃいますので、CATIAの技術的なスキルに関しては、当スクールの講座内容で全く問題はありません。CATIAの基本編だけを受講されて、仕事に就かれている方も、いらっしゃいます。ただ、必ずCATIAで仕事をされたい方は、実践編まで進まれたほうがいいことを説明しています。

【企業向けには新人教育】

このCATIAの教材は、企業向けには、新人教育やオペレータ育成に適していると思います。今、CATIAは設計者が使っていますが、今後CATIAが普及してくると、機械設計が分からないオペレータや新人の方にも覚えてもらって操作するようになっていくと思います。当スクールは、企業向けに、eラーニングの提供、講師派遣をはじめ、CATIAをお持ちでない企業向けに、ソフトも含めた出張スクールのサービスを行っています。

【卒業時のアンケート】

説明図
サーフェスの応用
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

卒業時にアンケートを取っています。個別レッスンということもあり、皆さんの感想はすごくいいです。どのような受講生もきちんとフォローしていきますので、高い満足度を得られています。また講師も、この教材で教えやすくなったと言っています。

説明図
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
説明図
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
ヒントと手順
画面例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
画面例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
画面例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
画面例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
手順のアニメーション

今後について

大手自動車メーカがCATIAを導入されたので、次はその協力メーカがCATIAを導入するようになっていきます。そして、建築も含めてですが、CAD化がどんどん進み、それが地方に広がっています。今は、スクールといえば都心に集中していますが、今後は地方への展開を考えています。

これから新規にスクールを開設するには、経費がかかります。そこでパートナースクール形式で、既存のスクールや派遣会社さんと提携して、フランチャイズのようなスクール展開を考えています。

そのためには、LMSを利用しながらパートナースクールとの親密な連絡ができるようなシステムを作っていきたいと思っています。そしてCATIAだけでなく、CADの講座はWinスクールが全国で一番になるように展開していきたいと考えています。

CATIA研修に関する問い合わせ先

Winスクール

ピーシーアシスト株式会社

ディレクター 下坂 光

Tel.075-353-5400

おわりに

Winスクールで実際に受講されている風景を見せていただきましたが、個人が自分のペースで勉強できる自由な雰囲気を感じました。

大変お忙しいところ、貴重な時間をさいてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

会社プロフィール

ピーシーアシスト株式会社

所在地 京都市下京区七条通烏丸東入真苧屋町207
ネオフィス七条烏丸 2F
設立 平成3年9月
資本金 6,350万円
支店 東京・大阪・神戸・名古屋
事業内容 各種スクール・通信教育
(パソコン、CAD・建築・機械、インテリアコーディネータ、DTP・ホームページ)
下記各種システムの設計、販売及びコンサルティング、運用、メンテナンス
(CADシステム、コンピュータ、パソコン、周辺機器、ネットワークシステム)

全国のWinスクール(35校)
■関東■
新宿校 新宿西口LC 新橋校 銀座校 横浜校 大宮校 藤沢校
■東海■
名古屋駅前校 浜松校 東岡崎校 岐阜校 四日市校
■大阪■
梅田校 なんば校 天王寺校 堺東校 枚方校
■兵庫■
三宮校 姫路校 明石校
■京滋・奈良■
京都駅前校 四条河原町校 宇治大久保校 草津校 近江八幡校 彦根LC 奈良西大寺校
■中国・四国■
岡山校 福山校 広島本校 広島駅前校 高松校
■九州■
博多駅前校 福岡天神校 北九州小倉校

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