「金型要件におけるSpace-E V5、CATIA V5の運用事例のご紹介」
システムソリューション統括部 開発技術部 PLM 技術グループ 橋口 淳一 |
はじめに
すでに多くのお客様がCATIA V5、Space-E V5を活用され、実運用で効果を出されています。
そこで、今回からCATIA V5、Space-E V5を用いた金型モデリングでよく使用する機能と、その運用事例をご紹介します。第一回目の今回は、フィレットをはずす方法についてです。
抜き勾配作成手順
最近、ソリッドデータの流通が多くなってきました。そこでソリッドデータに対して、金型要件を盛り込む過程で使用する機能をご紹介します。
ソリッドデータが上流から渡ってきた場合、抜き勾配を付加するための一般的な流れは、
- フィレットをはずす
- 勾配を付加する
- フィレットを作成する
となります。
この作業は、CATIA V5のパートデザイン(PDG)ワークベンチの下記のコマンドを主に使用します。
- フェースの除去、サーフェスをソーイング、フィーチャーを認識(FR1)
- ドラフト角度、徐変ドラフト角度
- エッジフィレット、徐変フィレット、フェースフェースフィレット、3接フィレット
今回は、フィレットをはずす3 つのコマンドを中心に説明します。
ソリッドのフィレット削除
ソリッドのフィレットを削除できない場合があります。その原因としては、「フィレットが複雑である」、「データ変換によって連続性が失われている」など考えられます。その場合、まずサーフェスに分解してからフィレットを削除しなければいけません。さらに、サーフェスで抜き勾配を作成するには、多くのコマンドを繰り返す必要があるので、サーフェスでモデリングすると、工数は必然的に多くなります。(図1)
つまり、フィレットをはずす場合、サーフェスに分解することがひとつの手間になるといえます。そのため、できるだけソリッドでモデリングすれば、効率的な運用ができます。
【フェースの除去】コマンド
■連続性のあるフィレットの指示
ソリッドのフィレットを削除する場合は、連続性のある形状を指示する必要があります。
図2のような指示をしても、フィレットをはずすことはできません。ぼかし面を選択していないので、形状が成り立たないためです。このような場合、図3のように連続性のあるフィレットを指示する必要があります。
■ソリッドを分割
フィレットがはずれない場合、そのソリッドを分割すると、削除できることもあります。
図4のような形状では、フィレットが周回しているので、形状を分割するとフィレットがはずれる場合があります。
■形状を削除し、ソリッドで再作成
部分的に削除するのではなく、多くの形状を削除する方法もあります。例えば、ボスやリブなどでフィレットがはずれない場合、フィレットだけを指示するのではなく、その形状全体を指示すると形状ごとフィレットも削除できる場合があります。そのような場合、全ての形状を削除してから、ソリッドで再作成するのもひとつの方法です。さらにパワーコピー化しておくと効率的なモデリングが可能となります。(図5)
【サーフェスをソーイング】コマンド
サーフェス形状を部分的にソリッドにするためのキーとなるコマンドは、【サーフェスをソーイング】です。この機能では、ソリッド形状に対してサーフェス形状をソーイングする(縫い合わせる)ことができます。そのため、もとのソリッドをサーフェスに分解する必要がなく、ソリッド形状をサーフェスで変形することができます。図6は、フィレットがはずれない形状に対し、サーフェスを作成し、ソーイングした例です。
これは、サーフェスでしかモデリングできない形状のときに有効な機能です。
このソーイング機能は、設計変更があった場合に大きな効果を発揮します。部分的に形状を変更する際に、サーフェスでモデリングし、ソーイングすることで、即座にモデルに設計変更形状を反映させることができます。
【フィーチャーを認識】コマンド
その他に、フィレットをはずす機能としては、履歴を作成する【フィーチャーを認識】コマンドがあります。このコマンドを用いると履歴を作成できるので、フィレットのパラメータを保持できるメリットがあります。このコマンドには、手動で形状を選択するコマンドと、ソリッド形状全体を自動で認識するコマンドの2つが用意されています。
※【フィーチャーを認識】コマンドを使用するには、CATIA製品(FR1)が必要です。
おわりに
今回は、CATIA V5のソリッドの機能を中心に紹介いたしました。
次回からは、Space-E V5の機能も交えて、金型モデリングに有効な機能をご紹介していきます。
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