| システムソリューション統括部 開発技術部 システム開発グループ グループマネージャ 小日向 章 チームリーダ 田丸 昭洋 |
はじめに
Space-E CAA V5 Based(以下Space-E V5)の新バージョンR18の新機能および改善された機能についてご紹介します。R18では、お客様のご要望を反映したシステム改善を行っています。
Space-E V5 Mold R18
■配置コマンドの操作性改良
配置コマンドでは、ダイアログボックスの「すべてを管理」のチェックを外すことで、角度、方向を個別に指定することが可能になりました。これにより、角エジェクタピンのような方向のある部品でも、1個ずつ配置するのではなく、スケッチなどを使用した一括配置ができるので、操作性の向上につながります。図1では、先端の向きが異なる複数の角エジェクタピンを同時に配置しています。
■配置時の形状置き換え
部品を配置するときに、他の部品と干渉するような場合は、入れ子などの部品形状を置き換えることが可能になりました。
変更が予想される部品の別形状を、あらかじめ外部参照として作成しておきます。そして、部品を配置するときに変更が必要な場合は、外部参照の形状に置き換えることができます。配置した部品に外部参照がある場合は、置き換えを促すメッセージが表示されます。(図2)
パワーコピーとは違いがあり、パワーコピーの場合は、既存のCATPartにフィーチャを作成するのに対して、置き換えの場合は、CATPartファイルを新しく作成してフィーチャを修正します。
■その他
その他に、次の機能が追加されました。
- 最終穴とパッドの作成
- プレートの置換
穴に付加される[技術結果]フィーチャが必要な情報を持つため、「穴を展開」コマンドは廃止されました。加工するためのフィーチャは、MPA(プリズマティック・マシニングの準備アシスタント)の「グローバルフィーチャ認識」または「ローカルフィーチャ認識」コマンドで作成します。
Space-E V5 CCD R18
■「フィレット半径を縮小」の改良
「フィレットを検索」コマンドで検索しなくても、「フィレット半径を縮小」コマンドで、対象曲面の選択が可能になりました。曲面の選択では、関連する曲面を個々に指示したり、曲面全てが含まれる形状セットを指示することで、一度に複数のフィレット処理が可能です。
フィーチャのないIGESから取り込んだデータの場合は、「フィレットを検索」コマンドで検索して、「フィレット半径を縮小」コマンドで半径を変更します。また、既にフィレット位置が分かっている場合は、「フィレット半径を縮小」コマンドで、曲面を指示して半径を変更するなどの使い分けができます。
Space-E V5 CAM R18
■自由経路のゾーンの作成機能の改善
自由経路やリブ溝加工から使用できる、ゾーンの作成機能を改善しました。文字彫りなど、指示対象が多くの曲線で構成されている場合でも、対象の曲線群を「囲んで指示」することで、連続性や距離順を考慮し、加工に適したグループ化・並び替えされたゾーンが作成できます。これにより、従来の操作と比べ画面指示回数を大幅に削減できます。
■アイソパラメトリック加工の改善
Space-E V5のアイソパラメトリック加工の改善を行いました。加工対象面群が閉じていて加工開始端と加工終了端がつながっている場合、ピック動作は回避動作を行わないようにしました。その他には、曲面間の乗り移り処理を強化しました。
■安全平面の参照方法の追加
Space-E V5加工オペレーション・編集機能の回避動作において、安全平面に回避する方向として、従来の「工具軸方向」に「安全平面に平行」を追加しました。これは、傾斜した工具軸を設定した場合の加工経路に対応します。対象となる機能は、自由経路、アイソパラメトリック加工、隅取り加工、リブ溝加工、走査線加工、等高線加工および経路編集です。
■工具パス再生(別ウィンドウ)の起動方法の追加
選択した加工オペレーションのみを、再生するモードを追加しました。従来の加工シミュレーションとして起動する場合と比べ、起動時間を大幅に短縮できます。特定の加工オペレーションを確認したい場合に有効です。
■工具パス編集・コーナー減速機能の改善
減速対象の部分に、連続した微小要素が存在する際の処理を改善しました。




