人とシステム

季刊誌
NTTデータエンジニアリングシステムズが発行する
お客さまにお役に立つ情報をお届けする情報誌です。

No.43 | システム紹介
Space-E CAA V5 Based R16 Update 新機能のご紹介
システムソリューション統括部 開発技術部
システム開発グループ
鯵坂 昌広 / 田丸 昭洋 / 井土 隆也

はじめに

Space-E CAA V5 Based(以下Space-E V5)は、新バージョンであるR16 Update1,2,3をリリースしています。ここでは、各商品のモールド設計支援機能、コア&キャビティ設計機能、3次元CAM機能の新機能および改善した機能についてご紹介します。

なお、R16 Update2から64-bitプラットフォーム版をリリースしました。Microsoft Windows XP Professional x64 Edition日本語版が動作するIBM PC互換機にてSpace-E V5をご利用いただけます。

Space-E V5 Mold Design R16

Mold Design R16 Update2,3では、モールド設計支援機能として以下に示す機能を追加及び改善しました。

画面例
図1 2プレートタイプ(SAタイプ)
画面例
図2 高剛性タイプ SBタイプ

■登録モールドベースの追加

R16 Update2では、部品付のフタバモールドベースのカタログに、2プレートタイプSシリーズのモールドベースを5種類(SA、SB、SD、SE、SF)と高剛性タイプSシリーズのモールドベースを4種類(SA、SB、SC、SD)追加しました。高剛性タイプは、スペーサブロックの幅を広げ剛性を高めたものです。この追加により、2プレートタイプSシリーズの主要なモールドベースを利用できるようになりました。(図1、2)

追加したモールドベースは、「モールドベース設定」コマンドにより、モールドベースの仕様(取付板の幅、ガイドピンの向き、エジェクタプレートの仕様)を配置後に変更することができます。

■交差水穴作成機能/水穴接続機能

通常、冷却水穴の設計では、複数の水穴を接続して冷却水を流す経路を作成します。そこでR16 Update3では、経路の作成を容易にする2つの機能を追加しました。

画面例
図3 交差水穴作成機能
  • 交差水穴作成機能
    交差水穴作成機能では、プレートの配置基準面と配置位置を指示し、配置位置から指示した水穴に接続するように水穴を新たに追加します。また、追加される水穴に関連する温調関連部品を同時に配置することもできます。(図3)
画面例
図4 水穴接続機能
  • 水穴接続機能
    水穴接続機能では、指示された2本の水穴を互いに交差するように延長します。また、2本の水穴の高さが異なり、延長しても水穴が交差しない場合には、2本の水穴を接続する新たな水穴を追加して経路を作成します。(図4)

どちらの機能でも、水穴を交差部分からさらに延長するときの長さ(オーバードリル)を設定することができます。

Space-E V5 Core & Cavity Design R16

Core & Cavity Design R16 Update1では、新たに次の機能を追加しました。

■穴埋め機能

金型設計の最終段階において、金型の分割面を作成するために製品形状の穴を埋める作業があります。その作業を容易にするため、R16 Update1では、穴埋め機能として次の2つのコマンドを追加しました。

説明図
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

・曲面の全ての穴を一括して穴埋めするコマンド

このコマンドは、複数の曲面を指示して全ての穴を一括して穴埋めします。穴のない曲面を指示した場合は、自動的に処理対象から外されます。(図5)

・曲面の穴を指定して穴埋めするコマンド

このコマンドは、曲面の穴を1つずつ指示して穴埋めします。1つの曲面を処理対象にしているため、複数の穴がある場合は、埋める穴と残す穴をそれぞれ選択できます。(図6)

Space-E V5 CAM R16

CAM R16 Update2では、等高線機能に加工精度を向上させるための機能や、アンダーカット部を加工するための機能を追加しました。

■等高線機能

・平坦部加工モードに、加工品質を重視する加工方法を追加しました。

モデルに対してダウンカットを固定にし、隣接した断面を順番に加工するモード(片側モード)を追加しました。これにより、工具負荷や工具磨耗に起因する仕上がり面の問題を軽減する経路が作成できます。

画面例
図7 スパイラルモード(従来)
で作成した経路
画面例
図8 片側モード(新機能)
で作成した経路
画面例
図9 通常の等高線経路:太線
片側モードの経路:細線

・ピン角部を保護する[コーナー保護]オプションを追加しました。

モデルのピン角部に、円弧によるループ形状の経路を挿入することで、コーナー部で発生する角ダレを回避できます。

画面例
図10
[コーナー保護]オフ
画面例
図11
[コーナー保護]オン

・アンダーカット部の加工に対応しました。

T-スロッタ工具、ロリポップ工具を使用して、部分的なアンダーカット部を加工するモードを追加しました。

関連するソリューション

関連するソリューションの記事

2021年07月10日
4事業部のご紹介(2)
製造ソリューション事業部
2019年01月01日
CAD/CAMシステムオンラインサポートサイト
e-support リニューアル公開のお知らせ
2010年07月01日
Space-E CAA V5 Based 新機能のご紹介
2010年01月01日
Space-E CAA V5 Based R18 Update1 新機能のご紹介
2010年01月01日
導入支援レポート(第3回)
「経験」に基づいた導入支援におけるカスタマイズ方法
2009年10月01日
導入支援レポート(第2回)
「経験」に基づいた導入支援における金型テンプレート構築方法
2009年07月01日
導入支援レポート(第1回)
「経験」に基づいた導入支援の進め方
2009年01月01日
Space-E CAA V5 Based R19 新機能のご紹介
2008年07月01日
PLM技術レポート(第7回)
CATIA V5を使用した設計業務におけるカスタマイズ事例
2008年04月01日
Space-E CAA V5 Based R18 新機能のご紹介
2008年01月01日
PLM技術レポート(第6回)
「Space-E V5、CATIA V5を使用した、
カスタマイズ事例(3次元加工テンプレート)」
2007年10月01日
Space-E CAA V5 Based R17 Update2 新機能のご紹介
2007年10月01日
PLM技術レポート(第5回)
「Space-E V5、CATIA V5を使用した、
カスタマイズ事例(マクロによる自動化)」
2007年07月01日
Space-E CAA V5 Based R17 Update1 新機能のご紹介
2007年07月01日
PLM技術レポート(第4回)
「Space-E V5、CATIA V5を使用した、
カスタマイズ事例(マクロによる自動化)」
2007年04月01日
PLM技術レポート(第3回)
「Space-E V5、CATIA V5を使用した、
カスタマイズ事例(穴あけの自動化)」
2007年01月01日
PLM 技術レポート(第2回)
「金型要件におけるSpace-E V5、CATIA V5の運用事例のご紹介」
2007年01月01日
Space-E CAA V5 Based R17 新機能のご紹介
2006年10月01日
新商品Space-E CAA V5 Based 5Axis のご紹介
2006年10月01日
PLM 技術レポート(第1回)
「金型要件におけるSpace-E V5、CATIA V5の運用事例のご紹介」
2006年01月01日
Space-E CAA V5 Based R16 新機能のご紹介
2006年01月01日
PLMレポート(第4回)
「型設計効率50%UPを実現させるために」
2005年10月01日
PLMレポート(第3回)
「型設計効率50%UPを実現させるために」
2005年10月01日
Space-E CAA V5 Basedの新たな取り組み
2005年10月01日
Space-E CAA V5 Based R15 新機能のご紹介
2005年07月01日
PLMレポート (第2回)
「型設計効率50%UPを実現させるために」
2005年04月01日
PLMレポート(第1回)
「型設計効率50%UPを実現させるために」
2005年01月01日
Space-E CAA V5 Based R14 のご紹介
2004年04月01日
Space-E CAA V5 Based CAM 今後の開発について
2004年01月01日
Space-E CAA V5 Based R12 新機能のご紹介
2003年01月01日
Space-E V5のご紹介