人とシステム

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No.56 | システム紹介
導入支援レポート(第3回)
「経験」に基づいた導入支援におけるカスタマイズ方法
PLM事業本部 営業企画部 営業企画部
導入支援グループ
橋口 淳一 / 伊藤 順

はじめに

表イメージ
図1 3次元設計による作業工数
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

一般的に2次元の金型設計から3次元に移行した場合、モデリング工数の増加により全体の工数が増えてしまいます。(図1)
前回は、その解決手法として、テンプレート設計の運用方法についてご説明しました。今回は、3次元金型設計の工数削減方法として、詳細なカスタマイズ手法についてご説明します。

テンプレート構築を含むカスタマイズは、「経験」と「ノウハウ」が重要になります。プログラムを用いて運用するためには、構築者が作りやすいようにするだけではなく、使用者(設計者)にとっても使いやすいようにしなくてはいけません。システム構築には、きちんとした手順(「設計」「製造」そして十分な「検証」)で行うことが重要です。

金型設計におけるカスタマイズの検討

導入支援グループでは、3次元金型設計におけるカスタマイズの検討の手法として、IDEF0による分析を行います。まず、現状の設計フロー図を作成して、設計の全体を見渡してから、詳細な改善手法を検討していきます。立ち上げ支援プロジェクトにおいて、カスタマイズをするポイントを大きく2つに分けると、「過去の経験」と「新規課題の解決」になります。成功プロジェクトをこなしたメンバーほど「経験」を積むことができ、新規プロジェクトでは、「課題へのチャレンジ」に十分な時間を取ることができます。

表イメージ
図2 カスタマイズの検討イメージ
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

カスタマイズの検討で優先させることは、CADの機能を使用したカスタマイズをすることです。この利点は、メンテナンス性が良いことです。後で設計者が修正できるように構築することが重要です。
次にマクロでのカスタマイズの検討を行います。マクロを使用して、処理ができるかできないか、マクロを使用してカスタマイズをすることで対投資効果が出るかどうかなどを検討し、システム構築を行います。(図2)

CATIA V5Rにおけるカスタマイズ方法

CATIA V5では、CADの機能を使用したカスタマイズのことを、ナレッジ機能と呼びます。(KWA:Knowledge Adviserなど)ナレッジ機能の特徴は、簡単なプログラムで構築できることです。
ナレッジ機能で実現できなければ、プログラムを構築して対応します。例えば、ナレッジ機能で制御できない要素のパラメータを変更させる場合は、マクロを用いて構築します。テンプレート部品などにマクロを組み込む場合は、主にKWAのリアクション機能を用いて組み込みます。不特定多数の要素に対しての処理や、複雑な検索や繰り返し作業などを行う場合は、マクロを使用することで実現できます。(属性などが明確であれば、KWE(Knowledge Expert)を用いる手法もあります。)

表イメージ
表1 金型設計におけるカスタマイズの事例と特徴
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

さらに、マクロでは、1つの機能(コマンド)を作成することもできます。3次元設計では、属性を活かしながら設計を行っていきます。「部品表」や「図面枠」など、属性の受け渡しをするさまざまな機能を作成できます。

テンプレートカスタマイズ事例(部品の表示・非表示)

画面イメージ 画面イメージ
図3 表示・非表示機能

テンプレートモデルをカスタマイズする事例として「表示・非表示」機能をご紹介します。スケルトンモデルの表示・非表示をする際に、設計しているモデルとスケルトンモデルのCATPartが別の場合、表示・非表示を変更するための手間がかかります。そこで、表示・非表示のON・OFFボタンを作成し、リアクションの機能で表示・非表示をコントロールします。小さい機能ですが、構築しておくと作業性が向上します。(図3)

プログラムのイメージ 画面イメージ
左--図4 マクロのプログラム文
右--図5 ナレッジのプログラム文
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

ナレッジは、構築が容易ですが、アセンブリ上の構成要素の表示・非表示の制御ができません。そのため、フィーチャ単位で表示制御を行う必要があります。マクロでは、構成要素の表示制御は行えますが、構築が容易ではありません。(図4、図5)
テンプレート構築の際は、メンテナンス性を考慮して、ナレッジをメインにカスタマイズし、高度な処理が必要になった箇所をマクロでカスタマイズします。

コマンドのカスタマイズ事例(部品表作成)

表のイメージ
図6 カスタマイズした部品表
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

コマンドのカスタマイズ事例として、部品表作成マクロをご紹介します。最近のCADでは、部品表作成が標準機能としてありますが、作成される表が自社の仕様に合っていないため、機能を使用せずに、手作業で部品表を修正することがあります。
しかし、手作業の場合には、工数増や転記ミスなどの課題があります。これらの課題を解決するために、NDESでは、指定されたフォーマットに自動出力する機能を、マクロを用いてカスタマイズしています。(図6)

各部品から必要な部品属性情報を取得し、予めExcelで作成した部品表フォーマットに、部品の種類などでソートした順番で記載します。また、部品表で指定した図面番号を、3Dモデルデータ、2D図面にフィードバックする機能も、合わせて構築しています。

おわりに

カスタマイズを行うことで、3次元設計の工数を大幅に削減することができます。各メーカ、または、設計する金型ごとに設計手法が違います。まずは、設計手法を標準化し、システム構築をすることで、3次元設計のさらなる効率化が実現できます。

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