「金型要件におけるSpace-E V5、CATIA V5の運用事例のご紹介」
システムソリューション統括部 開発技術部 開発技術部 PLM 技術グループ 橋口 淳一 / 伊藤 順 |
はじめに
CATIA V5、Space-E V5の実運用として前回は、フィレットをはずす方法についてご紹介しました。今回は、Space-E CAA V5 Based Core&Cavity Design(以下Space-E V5 CCD)を用いた運用方法をご紹介します。Space-E V5 CCDは、CATIA V5のCore&Cavity Design(以下CCV)を包含し、キャビコアモデリングに特化した製品です。
Space-E V5 CCDのコマンド適用箇所

金型の構想設計から、金型詳細設計、そしてCAM用のデータを作成するには、製品形状に金型要件を盛り込み、キャビコア分割を行います。今回は、PL(パーティングライン)作成、キャビコア分割、PL面作成について、大幅な効率化を実現できるSpace-E V5 CCDのコマンドの運用方法をご紹介します。特にR17より多くの便利な機能が追加されます。
パーティングライン作成機能
PLは自動で作成されるのが理想ですが、実際の金型設計では設計者の判断が必要です。「エッジをチューニング」コマンドでは、設計者がPLを判断しながら決定していく際に、半自動的にトレースできます。このコマンドでは、最大ギャップや最大角度を入力できるので、エッジが滑らかでない形状でも有効です。(図2)
PLを作成する場合、CATIA V5では通常、「抽出」や「リフレクトライン」コマンドを繰り返しながら作成していきます。これらのコマンドを統合した機能が、「パーティング ライン」コマンドです。「エッジをチューニング」、「リフレクトライン」コマンドの機能に加えて、製品面上にスプラインの作成、削除ができます。PL の検討・作成を、素早く、スムーズに行うことにより、リードタイムの短縮、工数の削減につながります。(図3)
キャビコア分割機能

「抜き方向」コマンドは、キャビコア面を分割するための機能です。ただし、面を指示して分割したり、手動で移動したりするので、製品形状によっては作業工数が多くかかってしまうことがあります。「キャビコア分割」コマンドは、PL を選択するだけで、キャビとコアに分割できる便利な機能です。(図4)
「分割」コマンドを使用してキャビコア分割する場合、形状の中に穴があるとエラーを起こす場合がありますが、「キャビコア分割」コマンドでは、問題ありません。さらに、キャビとコアの属性を自動で付加しますので、そのまま金型設計にデータを使用することができます。また、「パーティング ライン」コマンドと組み合わせて使用することにより、大幅な作業の効率化が図れます。
コマンド名 | キャビコア分割* | 抜き方向(CCV) |
---|---|---|
メリット | 工数が少ない | 抜き方向における面の分類を自動的に行える |
適用箇所 | 構想設計: おおまかなキャビコ分割 詳細設計: PL決定後のキャビコア分割 |
構想設計: 抜き方向の決定 詳細設計: 金型要件盛り込み後のキャビコア分割 |
* はSpace-E V5 CCDのオリジナル機能です。
パーティング面作成機能

「パーティング サーフェス」コマンドでは、PLの基準となるスケッチを作成した後に、PL面を作成します。きれいな面を作成することはできますが、面ごとに方向や使用コマンドを選択するので、手数がかかります。「パーティング フェイス」コマンドは、PLを基準として法線方向にPL面を作成します。少ない操作でPL面を作成できますので、工数短縮につながります。また、複雑なPL面の初期検討などにも適しています。(図5)
このようにSpace-E V5 CCDでは、複数のコマンドを用意していますが、その目的に応じてコマンドを使い分けることで、効率的なモデリングができます。(表2)
コマンド名 | パーティング フェイス* | パーティング サーフェス(CCV) |
---|---|---|
メリット | 工数が少ない | きれいな面を作成できる |
適用箇所 | 構想設計: PL、PL面の検討 |
構想設計: 抜き方向の決定 詳細設計: 金型要件盛り込み後のキャビコア分割 |
* はSpace-E V5 CCDのオリジナル機能です。
工数の比較
CATIA V5でモデリングした場合に比べ、Space-E V5 CCDを用いてPL面作成からキャビコア分割までを行った場合、工数を大幅に削減できます。CATIA V5(MD2)の場合、パーティングを作成するためにコマンドを繰り返すことが多くなります。効率良くモデリングを行うためには、使用方法を十分に把握し、これらの機能を用いることが必要です。金型モデリングにおいても、適用箇所と運用方法を標準化することが重要になります。
おわりに
今回は、Space-E V5の機能を中心にご紹介いたしました。次回も、実運用で有効な機能をご紹介いたします。
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