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No.55 | システム紹介
導入支援レポート(第2回)
「経験」に基づいた導入支援における金型テンプレート構築方法
PLM事業本部 営業統括部
営業企画部 導入支援グループ 橋口 淳一

はじめに

一般的に2次元の金型設計から3次元に移行した場合、モデリング工数の増加により全体の工数が増えてしまいます。そのため、モデリング工数を大幅に削減できるテンプレート設計は、3次元金型設計において重要な手法です。今回は、プラスチック金型を中心とした金型テンプレートデータの構築方法について説明します。

テンプレートデータ構築には、「経験」と「ノウハウ」が重要になってきます。テンプレートデータは、作り込めば作り込むほどいいとは限りません。ある一定以上になると効率性は向上しますが、汎用性は低下してしまいます。テンプレート設計の難しさは、それを十分に流用できるかどうかにあります。さらにテンプレートデータに設計のノウハウを入れることで、設計の試行錯誤を支援することができます。

金型設計におけるテンプレート(CATIA V5)

図1 構想設計テンプレート
図1 構想設計テンプレート
(モールドベースプレートサイズ検討)

金型設計において、構築するテンプレートの種類は、大きく2つにわかれます。金型設計の初期段階に用いる構想設計テンプレート(図1)と、金型部品のレイアウトを決定する詳細設計テンプレートです。構想設計テンプレートは、製品の金型を試行錯誤して検討を行うことができます。詳細設計テンプレートでは、部品形状や属性だけでなく金型計算式や設計ルールなどを盛り込むことで、設計時間を短縮できます。

詳細設計テンプレートは、その部品点数と使用方法の違いから3つに分類しています。

1.金型部品テンプレート

基本となる単品部品データです。金型部品テンプレートは、設計の試行錯誤ができるように、パラメータと連携してモデルを変更できるパラメトリックデータが望ましいです。Moldシステムで使用するために、穴データも作成します。

2.金型ユニットテンプレート

図2 金型ユニットテンプレート
図2 金型ユニットテンプレート
(プラーボルトユニット))

複数の部品から構成された部品データです。通常、金型部品は、組み合わせて使用する部品が多いため、ユニット部品を作成することで大きな効果が得られます。
ユニット部品では、モデリング方法が重要です。パラメータで部品形状を編集するのか、点や面、線などを使って編集するのか、目的に応じた構築方法を十分に検討する必要があります。

構築すると効果がでる金型ユニット部品例としては、外スライドユニット、リフターユニット、プラーボルトユニット(図2)などがあげられます。

3.金型全体テンプレート

モールドベースと通常使用する金型部品で構成された金型テンプレートデータです。置換の機能(パブリッシュ)を活用することによって自動設計を実現できます。

汎用性のある全体テンプレートを構築する場合は、一品一様部品(スライダーユニットやエジェクタピン、コアピンなど)は、構成から外しておいたほうが、実践で活用できます。

テンプレートのメリットとデメリット

テンプレートのメリットは流用すればするほど効果がでるという点です。その反面、デメリットは、流用性の低い部品を作成してしまった場合、効果がでないということです。

部品の種類が少ない場合、テンプレートデータに組み込んでおくことで効果がでますが、部品の種類が多い場合、テンプレートデータに組み込んでも、効果がでないため、あまり推奨できません。その理由としてデータ構築に時間がかかることと、データが大きくなってしまうことです。

そのような場合は、テンプレートでなく、マクロなどでプログラム化をすることで、作業を効率化することができます。

テンプレートの連携

図3 金型テンプレートを中心とした構築イメージ
図3 金型テンプレートを中心とした構築イメージ
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

プラスチック金型のテンプレート設計において、重要となるのが、金型設計の流れの中で使用する情報をスムーズに渡していくことです。その情報は、金型設計パラメータと金型設計形状です。当然ながら、パラメータと形状は設計しながら変更されていきます。その情報の受け渡しをする工程は、大きく分けて3つあります。(図3)

  1. 製品形状から金型構想設計
  2. 金型構想設計から金型詳細設計
  3. 金型詳細設計からデータ出力(部品表や図面)

各工程における設計変更も重要です。設計変更前から設計変更後へとデータを引き継ぐ必要があります。

情報を受け渡すテンプレートを構築する際のコツは、パラメータを十分に活用することです。あまり形状に依存するとエラーを起こす可能性が高くなります。また、テンプレート構築のルールを作成することも大事です。ルール化がされていなければ、テンプレートを使用する場合やテンプレートを拡張する場合において支障をきたすことがあります。

情報を受け渡すテンプレートを構築するには、部品の標準化だけではなく、業務の流れの標準化も重要です。業務の流れをまとめる一つの手法として、IDEF法(IDEF0)を用いて機能図を作成することがあげられます。業務の手順を標準化することは、設計手法の見直しにもつながります。

テンプレート設計の運用方法

図4 理想的なテンプレート設計の進め方
図4 理想的なテンプレート設計の進め方

テンプレート設計の理想的な進め方は、テンプレートを業務の谷間に準備することです。仕事の空いた時間にテンプレートを作成し、仕事が忙しい時にそのテンプレートを使って効率よく仕事をこなしていくことが理想です。(図4)

おわりに

CATIA V5における金型テンプレート手法は、構築方法が多くあるため、難しいこともありますが、効率化をねらう手法としては最適なツールです。

導入支援グループでは、お客様における金型設計や金型製作の効率化を実現していただくためのご支援をします。

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