人とシステム

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No.43 | システム紹介
新商品Space-E CAA V5 Based 5Axis のご紹介
システムソリューション統括部 開発技術部
システム開発グループ
グループマネージャ 小日向 章

はじめに

このたび、Space-E CAA V5 Based(以下Space-E V5)の新商品として、5軸CAMであるSpace-E V5 5Axisをリリースしましたので、その機能をご紹介します。

Space-E V5 5Axisとは

説明図
図1 Space-E V5シリーズ構成
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

Space-E V5 5Axisは、CATIA V5の「マルチ・アクシス・サーフェス・マシニング2(MMG)」をベースに、NDESが機能拡張を行った5軸CAMです。MMGの機能とNDES拡張機能が使用できます。Space-E V5 5axisを使用するためには、R16 Update2以降のSpace-E V5 CAM Addonが必要です。

Space-E V5 5Axisは、5軸経路作成機能およびポストプロセッサー機能があり、同時5軸までの加工経路を作成することができます。

経路作成機能

■3軸経路の5軸経路への変換機能

画面例
図2 隅取り加工の5軸経路化の例

既存の3軸加工用の経路作成機能で作成されたボールエンドミル工具用の加工経路に、工具姿勢を付加して5軸制御の加工経路を作成します。パラメータの組み合わせにより、割り出し加工イメージの経路から同時4軸、同時5軸の経路が作成できます。工具姿勢を制御する豊富なバリエーションに加え、工具ホルダーなどの干渉部に対する自動回避の機能もあります。

工具姿勢の制御には、以下の方法があり、場面に応じて選択することができます。(図3)

説明図
説明図
説明図
説明図
図3 工具姿勢設定の例
  • 切削方向に対する傾き
  • 固定軸に対する傾き
  • 一定傾き
  • ガイドカーブからの傾き
  • ガイド点からの傾き
  • ガイドカーブへの傾き
  • ガイド点への傾き
  • ガイドライン参照

干渉チェック機能では、システムが認識した干渉箇所に対して、以下の方法で干渉を回避することができます。(図4)

説明図
図4 干渉回避方法の設定
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
  • 工具軸方向に退避
  • 指定方向に退避
  • 傾きによる回避
  • 干渉部除去
  • 干渉点で工具パス計算を停止

また、5軸加工の特性に合わせたクリアランスやアプローチ・リトラクトの設定も豊富に用意しています。
(図5、6)

説明図
図5 クリアランス設定画面例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
説明図
図6 アプローチ・リトラクト設定画面例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

■アイソパラメトリック加工

5軸制御ができる面沿い加工機能です。曲面の法線方向を基準にした工具軸制御や、指定面内に複数設定した基準方向間を補間する工具軸制御を使用できます。

■多軸スイープ

5軸加工ができる走査線加工です。リード・チルト角などの工具軸制御により、3軸から5軸加工を行うことができます。

■多軸輪郭ドリブン

Space-E V5 CAMの3D輪郭加工機能のようなガイドカーブ間に経路を作成する機能です。多軸スイープと同じような工具軸制御を設定することができます。

■多軸曲線加工

曲線を利用して5軸加工経路を作成する機能です。形状が持っているエッジ曲線を利用する以外にも、CATIA V5が持つ様々なモデリング機能を合わせることで、自由度の高い加工経路を作成できます。

加工シミュレーション

画面例
図7 加工シミュレーション例

Space-E V5 CAMの工具パス再生のビデオモードは、同時5軸加工に対応しているので、3軸経路と5軸経路が混在している場合や、複数方向からの経路に対しても加工シミュレーションを行うことができます。(図7)

ポストプロセッサー

Space-E V5 CAMのポストプロセッサーを従来通りの操作方法で、同時5軸制御の加工データ出力に対応させました。事前に設定されている工作機械に合わせてNCデータを出力します。(図8、9)

説明図
図8 工作機械設定例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)
説明図
図9 NCデータ例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

CATIA V5製品(オプション)との連携

【工作機械シミュレーション】

画面例
図10 工作機械シミュレーション例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

5軸加工では、3軸加工と比べて工作機械の動作が把握しにくいため、事前のシミュレーションによる干渉の有無や稼働制限の確認が重要です。CATIA V5 R16より「CATIA NCマシン・ツール・ビルダー(MBG)」と「CATIA NCマシン・ツール・シミュレーション(MSG)」が工作機械シミュレーション機能として使用可能になりました。Space-E V5 5AxisおよびSpace-E V5 CAMで作成した経路は、CATIA V5の工作機械シミュレーション製品にて、シミュレーションを行うことができます。(図10)

画面例
図11 5軸経路編集例
(上図をクリックすると拡大図が表示されます)

MBGは、CATIA V5のモデルを使用して、MSGで使用する工作機械の機構定義を行います。

MSGによる工作機械シミュレーションは、Space-E V5に統合された環境で動作するので、経路作成の作業中でも加工経路の検証を容易に行うことができます。また、干渉部分を検出した場合や特定のアプローチを付加する場合など、経路編集機能で干渉を回避する工具姿勢の変更や移動情報の付加が可能です。工具姿勢はコンパスを使用して、より見た目のまま制御できます。(図11)

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