Simufact.forming 8.0のご紹介
EIT 統括部 設計製造システム開発部 営業技術・品質管理グループ 成田 忍 |
はじめに
MSC.SuperForgeは、3次元鍛造シミュレーションシステムとして2000年にリリースされて以来、ご好評をいただいております。この度、開発元であったMSC. Software社(米)によるメタルフォーミング領域のビジネスが、FEMUTEC Engineering Gmbh社(独)(以下、FEMUTEC 社)へ移管されました。これにより、MSC.SuperForgeは、メタルフォーミングプロセスシミュレーションシステムSimufact.formingとしてリニューアルしました。
この移管に伴い、2007年5月末にNDESはFEMUTEC社と日本におけるSimufact製品の取り扱い関する契約を締結しました。

(前列左から、FEMUTEC社 CTO Dr. HendrikSchafstall、NDES取締役 木下、NDES副社長 渡辺、
FEMUTEC社 CEO Mr. Michael Wohlmuth、NDES EIT技術部長 東)
FEMUTEC社は、メタルフォーミングに特化したソフトウェアの開発、販売およびサポートを一貫して行っており、ドイツ国内および周辺国で多くの実績を持っています。また、CAEの世界的なマーケットリーダーであるMSC.Software社は、Marcおよび、Dytranのソルバー技術を通じて、引き続きシミュレーションのコアテクノロジー部分を担います。
図1に、Simufact.formingのコンセプトを示します。

Simufact.formingは、Marcを使ったFEソルバーとDytranを使ったFVソルバーを統合し、メジャーバージョン8.0としてリリースされます。
この統合により、新規機能の追加、既存機能の改善を行いましたので、それらについて簡単にご紹介します。
FEおよびFVソルバーの完全統合
Windows環境であるMSC.SuperForge GUI上にFEソルバーとFVソルバーを完全統合しました。
これにより、同じ操作環境で2つのソルバーを自由に切り替えることが可能になり、静的なモデルから大変形モデルまで、幅広いメタルフォーミングに対応できます。
図2では、ロール成形(4パス)をFEソルバーで計算し、潰し~仕上工程(3工程)をFVソルバーで計算しています。各工程間の結果は、ソルバーの種類に関わらず、引き継ぐことができます。
メッシングの改良
FE ソルバーでは、メッシングアルゴリズムの改良に加えて、プロセス作成時にメッシングが行えるようになりました。これにより、計算実行前に素材のメッシングパラメータを調整したり、そのパラメータを計算中に行われるリメッシングのパラメータとして使用することができます。
計算モデルが2Dの場合は、Quad(四辺形)要素、計算モデルが3Dの場合は、Hex(六面体)またはTetra(四面体)要素を使用できます。
また、図3に示すようなリファインメントボックスを利用して、任意の箇所に対して細かくメッシングすることが可能になりました。これにより、冷間での歯形成形に代表されるような計算モデルで、転写性や接触の計算精度向上に大きな効果が期待できます。
コンタクトテーブルおよびレインフォースメント
リングによる冷間成形用金型の補強(レインフォースメント)や、アッセンブルダイなどの金型同士の接触、変形を考慮した金型応力解析のためのFEソルバー用に、コンタクトテーブルとレインフォースメントプロセスを導入しました。
例えば、図4のような2DモデルでFEソルバーを使用する際に、型モデルを変形体としてメッシングしておきます。このとき、コンタクトテーブルを使用して素材と型の接触を設定することで、素材と型それぞれの変形を考慮したフルカップリングシミュレーションを行うことができます。
おわりに
Simufact.forming 8.1および9.0の新たなバージョン開発も既に開始しており、これまで以上に使いやすく、ハイエンドなソリューションをご提供していく予定です。
また、2008年以降には、Simufact.forming以外のSimufact製品として
- Simufact.joining:機械接合用シミュレーション
- Simufact.welding:溶接用シミュレーション
などの新たな領域のソフトウェアも順次リリースする予定です。
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